第十六話
「ソエル、まずい。特殊個体のお腹にたぶんもう1体いる」
そう気が付いてしまったのだ。特殊個体のお腹の中にはもう1体Bossが隠れていることを。
特殊個体が皇帝クラスならお腹の中にいるのは皇帝クラス以上のBoss=魔王。
特殊個体が魔王を産み出すためにあえて戦闘に参加しなかったのであれば、いまの状況に説明がつく。
魔王とは・・・
最強の魔物・魔族の王、魔に属する最上位クラスの総称、意志を持った災厄。
通常個体の魔物や魔族が進化を経て行き着く、進化の最終形態。
または皇帝以上のクラスが産み出した最上位の魔の存在。
通常個体→将軍→王(女王)→皇帝→魔王
この進化のピラミッドは上に行けば行くほど数は少なく稀少な存在。
冒険者ギルドのランク制度と同じピラミッドともいえる。
魔王が何故最強と呼ばれるのか?
個体の身体的なスペック、魔力、スキル、生存能力etc.・・・。
その中でも魔王に共通するスキルがある。
そのスキルは「吸収」。
最弱の魔物=スライムのスキル「吸収」を魔王は必ず持っている。
「吸収」・・・体力が尽きなければ、全てを分解し体内に血肉として吸収する。
つまり体力があれば(死ななければ)、攻撃も魔法も状態異常もスキルも分解吸収して会得できるということ。
例を出そう
1匹のスライムが冒険者と戦って、火の魔法攻撃を受けて瀕死で生き延びたとする。
その後回復したスライムは、再度冒険者と戦って斬撃を受けて瀕死で生き延びたとする。
それを繰り返し生き延びることで、ある時スライムに変化が起きる。
火の魔法に強く、斬撃も効かない(効きにくい)耐性がついたスライムになる。
冒険者をそのまま吸収すれば持っているスキルを会得する可能性がある。状態異常や魔法が使えるスライムは進化したスライムなのだ。
唯一の救いが、最強のスキルを持ったスライムが体力面では最弱であるということ。核さえ攻撃できれば子供でも倒せることができること。
ただスライムの魔石の中に、何百万分の1個に吸収のスキルがついた物が存在する。
特殊個体のクイーンは35層の生態系での頂点。稀少な鉱石や様々な魔石も食事として体内に入れている。つまり吸収の魔石を取り込んでいる可能性があるこの特殊個体は、時間が経てばいずれ魔王に進化するのだ。
余談だが人は魔石を取り込めない。魔に属していないからだ。そのため魔石は武器や防具、魔道具、アクセサリーに加工して使っている。
皆さんこんにちは。北海道はこの後荒れそうな天気です。
雪道の運転が得意ではありませんので、毎日ヒヤヒヤしてます。
次回が今年度の最後の投稿になりそうです。この小説が楽しめるものであればと思ってます。