第112話 散歩という名の害虫駆除
メイド長マーサは、新しい主のいる貴族街の住居に戻っていた。
残念なことに、主であるスノウは不在だった。
精霊ソエルとデートに出かけた後だったのだ。
雷龍王とのお茶会の準備もすでに終わっている。
このままスノウを追いかけようかと考えていた。
「マーサ様、暗殺者ギルドがスノウ様にちょっかいをかけているようです。どうしますか?」
魔女やエルフの関係者、そして暗殺者ギルドが水面下で動いていることは知っている。
主であるスノウには賞金が懸けられているからだ。
痺れを切らしたのか、ついに直接狙ってきたらしい。
「どこの暗殺者ギルドなのか調べなさい。それと、ギルドの首領の居場所を特定することも忘れずに」
メイドたちに指示を出した。
マーサは元々暗殺者、夜の住人。
貴族街のメイドたちは、マーサから直接教育を受けている。
彼女たちはメイドであると同時に、暗殺者としての顔も持っていた。
メイドの皮を被った暗殺者たちなのだ。
スノウは、雷龍国の暗部を担う黒いメイドたちに守られていた。
世間では雷龍王の子は一人娘だけとされている。
それも、黒いメイドたちが情報を統制し、スノウの存在を隠してきたからだ。
「害虫駆除の準備をしないといけませんね」
マーサは少し考える。
「スノウ様のデートを上手く使わせて頂きましょうか」
表ではスノウとソエルのデート、裏では暗殺ギルドの壊滅。
マーサは新しい主のため、最適な行動に移す。
「まずは害虫、そして首領の駆除ですね」
マーサは自分の部屋に向かい戦闘準備を整える。
見た目はメイド服、だがロングスカートの中には様々な暗器が隠されている。
本気を出したマーサを止められる人間は、この世に何人いるだろうか?
過去に雷龍王の暗殺を実行し、失敗したマーサ。
雷龍王の怒りを買い、呪紋で力を制限されたまま監視下に置かれていた危険人物である。
マーサは久しぶりの本業に、どこか胸を躍らせていた。
胸の呪紋を剥がし、“俺のもの”と言ってくれたスノウ。
そんな主を得たマーサには、もう怖いものは何もなかった。
自分の全てを貰うと言ったスノウの邪魔をする存在は消さなければならない。
「用意も終わりましたし、散歩に行きましょう」
散歩という名の害虫駆除が始まる。
112話です。
仕事が長引いてしまい、投稿が遅めになってしまいました。
メイド長マーサ・・・このキャラは大好きです。ギャップと時折見せるウブな所が好きです(笑)
これからも楽しみにして頂けると嬉しいです。いいね、ブックマークもよろしくお願いします。




