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第111話 冒険者ギルドの不正

先ほど様子を見に来たギルド職員とともに、ダークエルフの女性が訓練場に入ってきた。

傾国の美女、副ギルド長ローレライだ。


「スノウ様!ここで何をしてたんですか?」


ローレライは、自分が冒険者ギルドの訓練場にいることが意外だったようだ。

月刊冒険者ギルドの臨時版の影響があるため、しばらくは人目を避けて外出しないと思っていたのだろう。

訓練場で起きたことを順を追って説明する。

受付嬢エリザベスと猛るサソリが結託し、過去のクイーンアント討伐依頼を不正に処理していること。

そして、訓練場に現われた暗殺者ギルドの連中についても話した。

ローレライは少し考えると、すぐにギルド職員に指示を出す。


「第一クランの治安兵を呼んでください。スノウ様以外の者は、到着次第、身柄を引き渡します」


「受付のエリザベスが対応したクイーンアントの運搬記録をすぐに持ってきてください」


さすが副ギルド長だ。

指示が的確で早い。


「仕事を増やしてごめん。今日は何時ごろ仕事が終わりそうかな?」


「何かありましたか?」


ローレライはほかに何か用事があっただろうかと、首を傾げた。


「この後、一緒に食事に行かない?ディナーのお誘いなんだけど」


傾国の美女をディナーに誘っている。

ギルド職員は声には出さないが、無理だろうと表情に出ている。


「まぁ、スノウ様の誘いなら。すぐに退勤の準備をしますね」


普段は聞いたことがないローレライの甘い返事に、ギルド職員は呆然とした。

あり得ない。

あの傾国の美女が、なぜこの男にはこんな態度を?

訓練場の光景が衝撃的すぎて、月刊冒険者ギルドの臨時版に載っていた駆け落ち相手だとは思いもしなかったのだ。


「副ギルド長、クイーンアントの運搬記録をお持ちしました」


ローレライは、受け取った運搬記録を自分に渡してくれた。

記録に記された運搬先は、ドルガンの鍛冶屋ではなかった。

代わりに、見覚えのない倉庫の名前が記載されている。


「運搬先が違う、エリザベス嬢はやっぱり黒だ」


自分の言葉を聞いて、ローレライは溜息をつく。


「治安兵に、エリザベスの逮捕を早急に依頼してください。」


運搬記録を持ってきたギルド職員は足早に訓練場を出て行く。


「スノウ様、本当に申し訳ありません。こちらの管理不足で、行き届かない点があったようです」


「ローレライが謝ることじゃないよ。悪いのは不正をした受付嬢だから」


運搬記録を再度見る。


「クイーンアントの素材は、自分が直接運んだ方が安全そうだね」


クイーンアントの素材を引き取るために、訓練場を出て保管庫へ向かった。

途中で解体担当の職員にも声をかけ、同行してもらう。


「ここが素材の保管庫です。副ギルド長が直接見るとは思ってなくて、片付いていないと思いますが」


解体担当の職員が申し訳なさそうに話をする。


「いつもありがとうございます。皆さんには、日頃から助けていただいていますから」


ローレライは労いの言葉をかける。

解体担当の職員は、先ほどまでの緊張が嘘のように表情を緩めた。


「さて、クイーンアント三体の素材はどこかな?」


保管庫の奥に並べられたクイーンアントの素材を確認する。

クイーンアントの素材が、どこか欠けているように見えた。


「おいおい!素材の一部が剥ぎ取られてるじゃねぇか!」


解体担当の職員が、慌てた声を上げた。

皇帝クラスのクイーンアントの素材には、手をつけられた形跡はなかった。


「ここも調査が必要ですか」


ローレライの顔が曇る。


「そういやこの前、受付のエリザベスがギルド長の印が押された書類を持って、中に入っていたな」


その証言を聞き、自分とローレライは思わず溜息をついた。

エリザベスが、ギルド長の印が押された書類を使って保管庫に出入りしていた。

素材の一部がなくなっていることも考えれば、彼女が不正に関与している可能性は高い。


「エリザベスは、ギルド長の印まで無断で使用したのですか」


ローレライの声は冷静だったが、その表情からは怒りが感じられた。

エリザベスの逮捕は、すでに治安兵に依頼している。


「スノウ様、申し訳ありません。せっかくのお誘いですが、今夜のディナーはご一緒できそうにありません。このまま内部調査を進めさせていただきます」


ローレライは、本当に残念そうな顔をしていた。

この状況なら、食事に出かけてもきっと楽しめないだろう。


「それなら、また一緒にいこう」


そう約束すると、ローレライの表情は少し和らいだ。

クイーンアント三体を空間収納に収めて、この場から離れた。


「明日は冒険者ギルドを臨時休業とします。全職員を招集しなさい!」


ローレライの声が、ギルドの外まで響き渡った。


111話です。

油断して誤字脱字が非常に多い話でした。もうないといいのですが。

自分が書いた小説を見直すと、説明が長い、まわりくどい、表現方法が間違っている・・・色々出てきます。毎回反省しながら、微修正をかけています。

最低限の説明が必要な回もあるため、省略しすぎも良くないので毎回悩んでます。

これからも楽しい話を読んで頂けるように頑張ります。よろしくお願いします。

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