第十話
35層Bossエリア前
本来のお茶会は楽しく世間話や恋バナで美味しいスイーツと紅茶を楽しんでいるはずだが、ここはBossエリア前で自分の魔力念糸によるBossエリアの索敵の反応がよろしくない。
「う~ん」
美味しいスイーツと紅茶の感想とはほど遠いテンションの低いため息しかでない。きっと眉間にも皺が寄っているだろう。
「どうしたの~?何か変な反応があった~?」
精霊の頬にベリータルトの後が残っているのを指で拭う。そのまま口に入れてしまうのは毎度のこと。
「今回のクエストはストーンアントの一斉駆除なんだけど、貧乏くじ引いたかも」
「前と同じく100匹くらいの蟻を駆除するんでしょ~?」
「それが・・・3~4体?Bossがいる気がする」
「うん?Bossエリアには基本1体のBossじゃないの~?」
「何か地形もかなり変わっているし、直感的にかなり良くない」
「ソエルちゃんにお願いがあるんだけど?」
真面目な言葉のトーンなので精霊も真面目な顔に変わる。普段はのらりくらり、良い意味でおっとりしている印象もあるが、長年一緒にいるとonとoffの切り替えは早い。
「命令じゃなくてお願いなのね?」
「うん。お願いなんだけど、先行して状況確認して貰える?危険度はMaxで、出し惜しみなくフル戦闘予定。」
「あと・・・誰か死にかけてる冒険者が一人いるから」
「わかったわ、あなたの望みを叶えることが私の存在意義だからね」
そう言って、目の前の精霊は一瞬で姿を消す。
光と闇は本来ならば相反する。しかし混合精霊であるソエルはなぜか相反することが全くない。光にも闇にもなれる。本人は言わないがすでに上級精霊に達していると思う。
さて、そろそろ自分もお仕事モードに切り替えますか。お茶会の余韻をもっと楽しみたい所だが、Bossエリアの中にいる冒険者があまりもたないような感じがする。空間収納でお茶会セットを一気に片付ける。そして魔装を展開し黒色の全身鎧を装着。城の宝物庫にあった大型の全身鎧を黒く塗り、内部を精霊銀の糸でコーティングした特注の鎧なのだが、大きすぎて自分の体型には全く合っていない。魔力念糸で黒色の全身鎧を動かしている状態なのだ。Aランク、オブシディアンの仕事がこれから始まる。
こんちには。北海道は朝方寒い日が多くなってきました。
土曜日の夜に投稿することが基本多いのですが、最近は土日の日中でも書くことができています。
次の次くらいでBoss戦くらいにいけるはず・・・きっと。頭の中では10話先くらいの構成はできていますが、実際に字におこすとなかなか上手くいきません。また2週間以内に投稿できたらいいかな。