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第109話 暗殺者とリハビリ

スノウは訓練場で準備体操をしていた。

この時間帯、訓練場に人が来ることはほぼない。

酒場で一杯飲んでいる時間帯だからだ。

スキル講習会ぶりに訓練場に来ているが、一人だと静かだ。


出入り口には人の気配がする。

足音がしない。

暗殺者ギルドのようだ。

自分を狙っていると判断、魔力念糸で人数を確認する。


ざっと30人くらい。

荷物運び一人のために、よく集めたものだ。

感心してしまう。

まぁ、リハビリにはちょうどいい人数だが。


「おいっ、お前がスノウだな?」


ガラの悪そうな男が声を掛けてくる。


「違いますよ。間違っていませんか?」


とりあえず別人のふりをする。


「兄貴っ!こいつですよ。お前っ、下水道に流した借りは返すからな!」


どうやら下水道に流した害虫が、紛れていたようだ。


「憧れのローレライ様に気に入られているからって、調子に乗んじゃねぇぞ」


ローレライのファンは暗殺者ギルドにもいるようだ。

さすが傾国の美女、人気が凄い。

駆け落ち相手の自分も少し嬉しい気分になる。


「お前の居場所の情報で金貨100枚、捕らえると金貨500枚。本当に美味しい仕事だぜ」


人数優位もあるため、絶対に負けないと思っている。

早くこの馬鹿面を潰したい。


「もう少し人数は集まる。今日は朝まで酒と女が楽しめそうだ」


訓練場に集まった暗殺者ギルドのメンバーたちは、一斉に歓声を挙げる。


「あっそ」


そう言って、兄貴と呼ばれた男を魔力念糸で逆さに吊り下げる。

逆さに吊り下げられた男は、自分が何をされたのか分かっていない。


「おっおめえら、全員でやっちまえ!」


この場にいる全員が自分に向かってくる。

体はどのぐらい動くのか。

暗殺者ギルドとの対人戦は、リハビリにちょうど良い。

全員身ぐるみを剥がして、面白いオブジェにしてやろう。

阿鼻叫喚の声が、訓練場に響き渡る。


数分もかからなかった。

あまりにも手応えがなさ過ぎて、リハビリにならない。

自分の周りには身ぐるみを剥がされ、裸になった暗殺者ギルドのメンバーが気絶して転がっている。

汚いお尻のパレードだ。


「さてっ、出入り口にいる害虫も駆除しておこう」


訓練場の様子を伺っている数人を、魔力念糸で連れてくる。

四人しか残っていない。

もう一人いたような気がしたが、逃げたか?


「仲間外れはよくないから、一緒に脱ごうか?」


返事する暇もなく、四人は一瞬で意識を飛ばされた。

ゴミを捨てるように、生れたままの姿で転がされる。


「そういえば、重力魔法のスクロールがあったっけ」


訓練場にテーブルと椅子を置いて座る。

スクロールだけを見るには、口が少し寂しいので空間収納の中のお菓子を探す。

魔女のスイーツ店で、あれだけ大量に買ったはずのお菓子がほとんどない。

ソエルとリッカで七割以上は食べたようだ。


「ソエルお嬢様、食べ過ぎでしょ。しばらく買いに行けないのに」


精霊ソエルの甘党はいまに始まったことではない。

溜め息まじりに焼き菓子を口に入れ、スクロールを見る。

重力魔法の初級スキルを無事に獲得できた。



109話です。

北海道は急に寒くなってきました。峠では雪がすでに積もっているようです。

皆さんも体調管理は気をつけましょう。

明日も投稿予定となります。よろしくお願いします。

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