第106話 ギルドの異変
久しぶりの冒険者ギルドは変わらない風景だ。
夕方を過ぎていることもあり、隣で併設されている酒場で一杯やっている冒険者も多い。
酒と血の匂いがする。
約一週間ぶりに戻って来たこともあるため、少し懐かしさを感じる。
空いている受付カウンターに行く。
「どのようなご用件ですか?」
金髪の受付嬢、エリザベスだ。
いつもは自分を見下すような目線をするが、今日は違う。
まるで初対面のような感じで話してくる。
「冒険者ギルドで保管してある素材の運搬手配をお願いしたい」
クイーンアント三体は、ギルドで保管してあるとローレライに聞いてある。
「何の素材でしょうか?」
「クイーンアント三体と言えば分かるか?」
「えっ?あの素材ですか?」
不審そうな顔をする。
「冒険者ギルドのカードを見せて頂いてもよろしいですか?」
荷物運び(ポーター)のカード、そしてAランク冒険者オブシディアンのカードを一瞬だけ提示する。
「ポーターのスノウっ!」
エリザベス嬢が、信じられないと驚愕の声を上げる。
その声で、周りの冒険者たちの注目を浴びてしまった。
受付嬢として、個人の名前を出すのはいかがなものか。
「声がでかい。オブシディアンの代理引き取りで、運搬の手配をしてくれ」
冷めた声で、少し圧をかける。
受付嬢としての教育がなっていない。
「もっ申し訳ございません。運搬する場所はどこでしょうか?」
スノウから向けられた圧に、エリザベス嬢は萎縮している。
「場所を声に出すのはやめろ。ここに手配してくれ」
ドルガンの鍛冶場の場所を書いた紙と運搬の手配料金を支払う。
声に出されると、鍛冶場が襲われる可能性がないとは言えない。
自分の名前を聞いた一部の冒険者が数人、冒険者ギルドから出て行ったのは確認している。
入った時よりも、視線や冒険者ギルド内の雰囲気が明らかに変わっている。
「訓練場はまだ空いている時間だな?」
「はっはい」
「少しの間、使わせて貰うから」
そう言って、訓練場に向かう。
さて何人ついて来るかな?
スノウが訓練場に向かったことを確認して、受付嬢のエリザベスは足早にギルドを早退した。
106話です。
素材の運搬手配のために冒険者ギルドに来ましたが、不穏な気配ですね。
休眠状態から身体面も変わっているため、荷物運びに見られていないです。
次回も是非読んで頂けたら幸いです。よろしくお願いします。




