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処刑の日

 なぜクラリスは魔法を使って王様や兵士を殺して逃げないのかと思いませんでしたか?

確かにクラリスにはそれが出来ました。

でもそうしたらどうでしょう。

もはやクラリスの味方は誰もいなくなるのではないのでしょうか。

だからクラリスはじっとその時を待っていました。

やがて兵士が塔に入ってきてクラリスを呼びました。

「時間だ」

 クラリスはそうして9年ぶりに外に出ました。寒い日でした。

外に出ると白魔女の処刑を見るために町の人のほとんどが塔の前に集まっていました。

王様もいました。白魔女の死を確認するためにわざわざやってきたのです。

役人が何かを読み時始めましたが、クラリスは聞かないで周りを見渡していました。

そして、本当に目をこらさないと分からないような人の影に、捕らえられたレミの姿を見つけたのです。

クラリスは隣の兵士に尋ねました。

「なぜ彼が捕らえられているの?」

兵士はぶっきらぼうに答えました。

「あんたが一番よく分っているだろう」

クラリスは動揺しました。レミだけは何としても助けたいと思いました。が次の瞬間役人がクラリスに処刑台に上るように命じました。

 階段を上りながら、クラリスは祈りました。

(……どうかあと一度だけ魔法を使えるならレミを助けられる魔法を使わせてください)

しかし魔法は相変わらず使えませんでした。

クラリスは処刑台に座らされました。

その間もクラリスは祈り続けます。

(……どうかあと一度だけ魔法を使えるなら…)

そこからはレミの顔がよく見えました。レミはその時もクラリスを助けようと兵士に取り抑えられながらも、もがいていました。

レミはクラリスが一番見たくない悲しげな、そして本当に辛そうな顔をしていました。

その時処刑の鎌が上がるのをクラリスは感じました。

クラリスは目を閉じて頭を垂れました。

そして振り下ろされるその直前にクラリスは必死にこう祈りました。

(レミをもう悲しませることのない、そんな魔法を――――――)

その瞬間、すべての音が消えました。


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