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「殺す、ね……本気で言ってる?」最強格闘JK、転生先では拳を開放する  作者: Gai


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第3話 報告

(なんという……一振り………………本当に初めて……いやっ、しかし……)


子供が……それこそ、一歳児が放った上段斬り。

それに良いも悪いもクソもない……というのが当たり前の感想。


だが、違った。

スランが放った上段斬りは、明らかに剣を初めて握った者が降れる斬撃ではなかった。


「っ、っ! やっっ!!!」


(―――っ……先程の斬撃がまぐれではない、か…………っっっ……は、はは。言葉が、見つからないな)


初めて武器を持った子供というのは、大抵が無邪気に振り回す。

レドルドはもう三十を越えた良い大人だが、それでもその頃の記憶がまだ残っていた。


しかし、目の前で自分が用意した木製の剣を振るうスランからは、剣士や戦士などが何年も何年も鍛錬を重ねて至る確かな姿勢の線を感じさせた。


(私の見間違えでは、なかった………………才能がある、だけで済ませて良いのでしょうか)


武家の名門であるデリルガーナ家のメイド……とりわけ、デリルガーナ家の子供の傍にいることを許可されたメイドということもあり、その実力はそこら辺の騎士を凌駕する実力を持っている。


そんな彼女から視ても、スランが木製剣を振るう姿は、あまりも異質だった。


既に武器を振るう姿勢というのが整っており、ただ闇雲に振るうのではなく、正解をなぞるように正確に振るおうとし……どこか気に入らないといった表情を浮かべ、同じ角度から木製剣を振るうこともある。


(お、おいおいおい、待てよ…………スラン様は、今日初めて剣を、握ったんだよな?)


(天才……天才って言葉で、片付けて良いのかしら?)


(は、ははは……あぁいうのを、麒麟児って言うんだったか)


既に多くの戦場、激闘を経験している騎士たちも感じ取っていた。


雷華ことスランが振るう剣が、あまりにも一歳児が振るうものではないと。


「……レドルド様」


「あぁ、そうだな……」


メイドの言葉に、レドルドは小さく頷く。


明らかに異質な光景……既に騎士たちの中でも解る者は解っており、知られてしまった。

であれば、ここだけの話にしてしまうのは得策ではない。


この後、メイドはこの一見はスランの母であるアンナに伝え、レドルドは夕食を食べ終えた後……自室である人物への手紙を書き始めた。









「こんなものか」


年齢は既に四十を越えていることが伺える風貌ながら、肉体はそこら辺に若造よりも遥かに鍛えられている。


獅子の鬣のような銀髪を揺らす男の周りには、人間の大きさを優に上回る怪物たちの死体が転がっていた。


「当主様」


「イルズか……どうした」


「レドルドから手紙が届きました」


「ほぅ、レドルドからか……面白い候補生でも見つかった、といったところか」


共に戦場に来ていた騎士から手紙を受け取り、おおよそ名家の当主とは思えないほど勢いよくビリっと封を破って中にある手紙を取り出す。


「………………っ………………ふっ、ふふふ、はっはっは!!!!!!!!!」


「「「っ!!!!!!!」」」


笑う。

ただ、嬉しそうに笑う。


それだけで森が、大気が揺れる。


その光景だけで、目の前の男が……デリルガーナ家の現当主、ランゾがどれほどの高みに到達した剣士なのかを思い知らされる。


「当主様……レドルドからは、なんと?」


「……ふっ。見てみるが良い」


「っ!!?? 僭越ながら、失礼いたします」


当主に向けて送られた手紙ということもあり、基本的には彼の傍で戦える騎士たちであっても読むことは出来ない。


そんな手紙を恐る恐る拝見し、漏れがないように読み進めていく。


「―――っ!!??」


ある箇所まで読み進めた瞬間イルズの視線が止まり、顔が驚愕に包まれた。


「私が笑った理由が解ったか」


「は、はい……っ…………とても、喜ばしいことかと」


イルズの声は、信用半分と不信半分といった状態だった。


レドルドという騎士のことは良く知っており、ここでは呼び捨てで呼んでいるものの、彼にとって剣の先輩とも言える人物。


そんな先輩騎士は裏でこっそり危ない薬をやっているという噂もなく、酒はそれなりに呑むものの酔い潰れて失態を犯すこともない。


そういった男だと、先輩だと知っているため、当主への手紙に嘘が書かれているとは到底思えない。

それでも……それでも、今回の手紙に書かれている内容を完全に信用することは難しかった。


「全てを信じることは出来ないか」


「っっ……はい。彼のことを信用していないわけではありませんが、それでも……常識という枠を越えた……その外を更に越えた話のように思えました」


「ふっふっふ、そうだな。安心しろ、俺の考えも似たようなものだ……とはいえ、だ。同じく俺もレドルドほどの男が手紙に嘘を記す……見たものを正確に読み取れないということもないだろう」


「はっ! 仰る通りで」


「………………このまま討伐を続けるつもりだったが……一度屋敷に戻るか」


そう言うと、ランゾは山詰みの死体の更に奥へと向かい……大剣を地面に向けて薙ぎ払う。


次の瞬間、斬撃による突風が舞い上がる。


「では、行くぞ」


砂煙が静まると、一つの……大きな大きな、非常に長い線が地面に刻まれた。


それは、圧倒的強者からモンスターに対する警告線だった。


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