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「殺す、ね……本気で言ってる?」最強格闘JK、転生先では拳を開放する  作者: Gai


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第22話 さて困った

SIDE ランゾ


「…………ふっふっふ、はっはっは!!! はっはっはっはっは!!!!!!!」


ある程度と落ち着いた……ランゾが力で落ち着かせた戦場で、彼は届けられた手紙を読み、腹の底から笑い声を上げた。


(……おそらく、スラン様の事なのだろう)


手紙を渡した騎士、イルズは何故主君がここまで嬉しそうに笑っているのか……その理由を直ぐに察した。


「ふぅーーーー……もしやとは思っていたが、またも俺を笑わせるか…………」


「スランお嬢様がまた活躍された、ということですね」


「そうだな……だが、当主として見れば驚くのはそこだけではない」


そう言うと、ランゾはイルズに手紙を渡した。


一礼して受け取り、イルズは端から端までじっくりと読み進めていく。


「…………………………っ、これは…………文章にも書かれていますが、やはりスランお嬢様の影響、と考えて良さそうですね」


「自分のことにしか興味がなさそうな顔をしていたが、意外とそうではないようだな…………さて、悩みどころだな」


「…………お嬢様の功績への褒美に関して、ですね」


スランが今回の試験で、歴代最高の点数を獲得した。

まず、これだけでも当主自ら選んだ褒美を受け取るに値する。


そして……今回の全体の試験結果を考慮すると、彼女の影響があってこそ、スランの点数を抜きにしても平均点が非常に高い……ここも、功績の一つとして考えても問題ない。


単純計算で、二つの褒美……もしくは、その二つを一つに合わせても問題ないほど超上等な褒美を渡すことになる。


「しかし、そこまで悩まれることなのですか? スランお嬢様は武器に大変興味を持たれていますし、将来の成長を見越して武器全種セットなどでも喜ぶかと思われますが」


「当主としては剣に集中してほしいところだが、あいつの場合はそれを妨げない方が良さそうだからな……だがな、あまり高い性能の物を渡せば、渋い表情をするんだ」


「そ、そうなのですか……それは、いったい何故」


「今の自分には扱えない代物だからこそ、らしいぞ」


「………………それは……なんとも、高い志をお持ちで」


少し考えれば、当たり前のことではある。


だが、普通は……普通は、今はその高性能な、超高性能な武器を操れるほどの力量がなくとも、そういった武器を持てることへの嬉しさが上回る。


しかし、ランゾの様子を見る限り、本当に渋い表情をされたのが……今でもスランがその武器を殆ど使っていないのが……少なくとも、今回の試験では絶対に使っていないのが解る。


「では、アクセサリーであればと思ってな……一応、喜ばれはした。ただ、そこそこといった様子でな…………綺麗な服やアクセサリーなどよりも武器に興味があるというのは、デリルガーナ家の者として喜ぶべき点だが、その点で困ったのは初めてだ」


女性に服やアクセサリーをプレゼントすれば喜ばれる。

そういったやり取りが得意ではないランゾだが、それぐらいの常識は長い生活の間で身に付いていた。


しかし……子供とはいえ、女性がそういった物にあまり興味を持っていないとなると、褒美の内容に困る。


「だからこそ、今回の褒美は何にすれば良いのかと迷うのだ」


「…………功績という点で考えますと、圧倒的なものですからね」


功績に相応しい褒美を……それでいて、スランが素直に受け取ってくれそうな褒美。


中々に上手くバランスを取る必要があり、がっつりおっさんな騎士とおっさん手前の騎士は二人して考え込む。


「……武器、という点でスランお嬢様が遠慮してしまうのであれば、耐性方面での褒美を渡す、というのはどうでしょうか」


「耐性か……」


「おそらくですが、今回の話を試験監督の騎士たちが極力喋らないようにしたとしても、どこかで漏れるでしょう。そうなれば、この段階からスランお嬢様は他のご兄弟姉妹方に狙われ始めるでしょう」


手紙に記された内容から、既に狙われ始めている可能性も高い。


人間を殺す手段というのは、なにもモンスターをけしかけて殺すことだけではない。

他にも……毒殺という方法もある。


デリルガーナ家の人間として生まれた者たちは少なからずそういった状態異常に対して生まれながらの耐性を有しているが、それでもスランはまだまだ子供。

中級程度の毒でも命を奪われる可能性は大いにある。


「……それがデリルガーナ家だ。しかし、そうだな……俺自身が、あの子の行く末を気になってしまっている………………イルズ、一先ずお前が思いついた案を伝え使わせてもらうぞ」


「光栄です」


「それと、今回の内容を……あの子の普段の様子も含め、リゼスに伝えろ」


「っっ、リゼスお嬢様に、ですか。かしこまりました」


リゼスとは、数いるランゾの子供の一人であり……現在のデリルガーナ家の長女でもある人間。


彼女もまた、デリルガーナ家の中では変わった部類の人間。

それでも……彼女は高位継承権を持つ人間であることは変わらず、実力に関してはスランと同じく同世代の者たちよりも二つ……三つ四つ飛びぬけた実力を有している。


そんな彼女とスランを引き合わせたらどうなるのか……不敬にも、イルズはその会合に高揚感を感じずにはいられなかった。

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