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「殺す、ね……本気で言ってる?」最強格闘JK、転生先では拳を開放する  作者: Gai


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第21話 それが、俺たちの仕事

SIDE 試験監督たち


「あぁ~~~~、うめぇ~~~」


「ほどほどにしておけよ」


「解ってるって。そこら辺ちゃんとしねぇと、二度とこういう時に呑めなくなるは忘れてねぇよ」


一部の騎士たちはある一室で酒を呑んでいた。


子供たちは既に夕食を食べ、大浴場で汗を流した後に速攻でベッドに沈んで夢の中へと飛び立っていった。

それはスランとて例外ではなかった。


「……まっ、あれだな。クソ驚きまくったが、それでもデリルガーナ家の歴史に、新たな……記録? が刻まれる瞬間を見れたのは良かったな」


「そうだな……まさに、役得ではあったな」


「あんた達はお嬢様の様子を見てたのよね……やっぱり相当ヤバかったの?」


「ヤバいなんてものじゃなかったぜ。最初に遭遇したのはゴブリンだったが、全くビビッらず速攻で仕留めたんだよ……それに、モンスターの中を見ても、気持ち悪さを感じる素振りすらしなかった」


「それは……必死に耐えてて、とかじゃなくて?」


「そういった様子はなかった。寧ろ、そういった話を私たちから聞いていたからこそ、それを感じない……嘔吐しないことを不思議に感じていたな」


「それは……ヤバいね」


女性騎士の言葉に、その場にいた者たち何度も頷く。


彼女たちはデリルガーナ家に仕える騎士ではあるが、耳に入ってくる情報はデリルガーナ家の内容ばかりではなく、デリルガーナ家と同じく武家として高名な家の情報も入ってくる。


どこどこの家の令息がどの大会で優勝し、どういったモンスターを一人で討伐し、襲ってきた刺客を逆に返り討ちにしたなどなど……特に情報収集をしようとせずとも勝手に耳に入ってくる。


それらの情報と比べても、スランが今回打ち立てた実績の数々は群を抜いていた。


「ポイズンスネークみたいな状態異常攻撃を持ってるモンスターも難なく倒しちまうしよ」


「一体目との対峙である程度の戦力を把握したのか、二体目のファットボアに関しては逃げることなく真正面から正拳突きで倒されていた」


「「「「…………」」」」


それはさすがに話を盛り過ぎては? とツッコみたいところだが、彼らもスランが同世代の中では頭二つ三つ飛びぬけていることは事前に知っていた。


そして、採点の間にスランが仕留めたモンスターの魔石、素材の数々を見ていた。

それらを総括すると……話を盛り過ぎている、とも思えない部分があった。


「ただまぁ、最後がなぁ……」


「あぁ、そうだな」


「? どうしたんだい。何か良くないことでもあったのかい?」


「良くないっつーか……この家じゃあ当たり前なんだろうけど、おそらく誰かがモンスター寄せの花香、香り袋かなんかを使って数十を越えるゴブリンをスランお嬢様に差し向けやがった」


「「「「っっ!!!! …………」」」」


誰がそんな事を、と思うと同時に、今……スランが生きていることを思い出し、一旦怒りを鎮める。


「ふぅーーー……あんたらでも、気付かなかったんでしょ」


「あぁ。匂いに気付くのすら直前のタイミングだった」


「ゴブリンの集団にはライダーやナイト、ウォーリアーにアーチャーやメイジたちもいた」


「――っ…………けど、スランお嬢様は一人で戦い、解決したと」


頷く騎士二人と、何とも言えない表情を浮かべる女性騎士たち。


結果としてスランが無事なのは、彼女たち彼らとしても喜ばしいこと。


ただ、現場を見てなかった彼女たちとしては、スランどのようにして切り抜けたのか気になって仕方ない。


「あれを見て思ったね。スランお嬢様が凄ぇのは解ってたけど、勝手に解ってたつもりになってたってな」


「全くもってその通りだ……それまでの実戦で勘が冴えわたっていたという可能性もあるが、スランお嬢様はゴブリン軍団と対峙した際、間違いなく全方向の感覚を捉えられていた」


「っっ……なるほどね。それが出来るなら……いや、そうだよねぇ~~~。普段別にそんな顔してないのに、闘争心と向上心の塊みたいな方だからねぇ…………」


だとしても、という感覚が騎士たちの頭に残る。


彼らからすれば、スランが手に入れている感覚はどれもセンスがあるから、才能があるからという理由では説明がつかないものばかり。


それでも、実際に出来てしまっている。


「戦い方も様になってたっつーか……鍛錬でやってた事は殆ど実戦でもやってたし……モンスターを掴んでぶん回したりしてたな」


「ほほぅ……やはり、スランお嬢様はそちらの方面にも適性がありそうだな」


ゴリマッチョ騎士は、その報告内容に嬉しそうな笑みを浮かべていた。


モンスターの体を振り回すというのは、一見無茶に見えて合理的な攻撃方法でもある。

モンスターの体を掴まえるまで……掴んでからも危険はあるものの、それでも振り回せば他のモンスターを潰す武器になり、地面に叩きつけてそのまま仕留めることも出来る。


「……ねぇ。これさ、全部報告するの?」


「「「「「…………」」」」」


当然ながら、今回の試験で確認された内容を全て纏めて洋紙に記載し、当主へと渡される。

盛った報告をするなど、論外も論外。


ただ……スランは、現在デリルガーナ家の中でもあまりにも目立ち過ぎている。


結果、他の継承権を持つ兄弟姉妹たちから嫌がらせや牽制が始まりかねない。

なんなら、何かしらのアイテムを使用してゴブリンの集団が集まったことを考えれば、既に始まっている可能性が高い。


「…………それが、デリルガーナ家だ。それに……そこをどうするかは、当主様が決めることだ」


あくまで、自分たちは今回の試験で起きた内容を纏め、当主に報告することが仕事。


男性騎士の言葉に、異議を唱える者は……一人もいなかった。


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