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「殺す、ね……本気で言ってる?」最強格闘JK、転生先では拳を開放する  作者: Gai


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第17話 現実味を帯びる

SIDE 試験監督


『……どうする』


『どうすると言われてもな…………ふぅーーーーーーーー』


スランを見張る試験監督二人は、彼女が今回の試験において足を踏み入れることを推奨されてないエリアへと向かう様子を見て……やっぱりかと、同じ気持ちを共有していた。


『……まだ、よっぽどのことは起こっていない。つまり、私たちは動けないということだ』


『それはそうだが……いや、あそこら辺に生息してるモンスターたちであれば万が一が起きてもなんとか出来るが……だとしても、あまりにも躊躇がなさ過ぎないか?』


『…………スランお嬢様にとって、これは試験ではないのだろう』


『あぁ~~~……薄々気付いてたけど、やっぱりそうか…………』


薄々気付いていた、という言葉に嘘はない。

だからこそ、これまでのようにあり得ない光景を見て驚くことはなかった。


もう何があっても驚かない……そう思っていた二人。


(スランお嬢様はまだ殆ど闘気を使ってねぇし、そこら辺も問題ないっちゃ問題ないか……それに、体力までズバ抜けてるしな)


(本来はあまりよろしくないが、何かあれば我々が陰ながら手を貸せば良い……いや、スランお嬢様ならそういった状況であってもなんとかしかねないか)


スランであれば問題ないか……そう思っている間に、あっという間に別エリアへと到着。

そして直ぐにゴブリンナイトの投擲が引き金となり、新たなバトルが始まった。


『ゴブリンナイト……早速上位種とぶつかるか…………てか、この戦いも闘気を纏わねぇのかよ』


『まだまだ戦い続けるからこその温存……ではないな』


顔を見れば、解る。

スランは、本気でゴブリンナイトとの戦いを楽しんでいる。


ゴブリンやスライム、ファットボアなどとは比べ物にならない強敵を前に、まだ闘気を纏う身体強化を行わず、素の身体能力と短剣だけで戦う。


(これまでの戦いと比べて、どの攻撃もスランお嬢様の近くを通ってる……つか、そもそも短剣とロングソードじゃリーチの差が……)


(……その差を解らないはずがないと思うが…………それも込みでの笑みだとでも言うのか……いや、多くの得物と比べて徒手格闘が得意……気に入っているスランお嬢様からすれば、寧ろなんとも思わない……当然の感覚なのだろうか)


片方の騎士の考えている通り、短剣とロングソードのリーチ差は、スランにとって特に不利となる要素ではなく、当たり前の感覚。


とはいえ、スランにも最初こそ苦手意識はあった。

異世界転生してから初めて味わう、明確なリーチ差。


どう踏み込めば良いのかと、最初こそ苦労したが……それに関しては膨大な練習量が解決した。


さすがの雷華も速攻で対応、慣れることはなかった。

であればどうするか……答えは単純も単純であり、慣れるまで……リーチ差というものを突破出来る感覚を染み込ませるまでひたすら繰り返すのみ。


『………………俺さ、基本的にモンスターに同情することはないんだけどよ』


『あぁ……解るぞ。言いたい事は解る…………僅かではあるが、あのゴブリンナイトに同情する』


数分……五分……そして十分が経過。


ゴブリンナイトは最初から笑ってはおらず、本気で目の前のメスを仕留めようとしていた。

そんな時間が、普段の戦闘とは比べ物にならないほど掛かる。


それに加えて、剣を交え始めた人間のメスは最初から笑みを浮かべており、どれだけ時間が経っても笑みを浮かべ続けている。


そして、ゴブリンナイトはその笑みにいつしか気味の悪さを覚え始めた。


『あっ……ようやくかぁ………………い、いやいやいや……なぁ、今の』


『あ、あぁ……狙っていた、というわけではなさそうだな』


『……はぁ~~~~~~~~~…………ありゃあ、末恐ろしいなんてもんじゃねぇな』


『傑物や鬼才……そんな言葉ですら表現するのが難しいな』


相手を怒らせる。

それは戦いにおいての常套手段であり、彼らも偶に使う。


そして怒りに身を任せた単調な攻撃を見極め、その隙をバッサリ斬り裂くかブスっと貫く。


だが今回、おそらくスランは意図的にゴブリンナイトの怒りを引き出してはおらず、偶々勝手にゴブリンナイトが怒りの一撃を繰り出しただけだった。


しかし……スランはまるでそれを予見していたかのような速さで斬撃をいなし、ゴブリンナイトの喉を搔っ捌いた。


(あの若さで反射的に動けるのか……もしかしなくても、まぐれじゃないよなぁ……はぁ~~~~~。もう、今日は驚くことはないだろうと思ってたが…………うん、疲れたな)


(これは、本格的にあの話が現実味を帯びそうだ)


一人は一日の間にあまりにも驚き過ぎて、大して動いていないにもかかわらず疲れを感じていた。


そしてもう一人は……屋敷の中で度々語られている内容を思い出していた。


それは、五女という継承者争いにすら参加出来るか怪しい立場のスランが、本当にその争いに加わるのではないかという話。


『っっ…………まぁ、大丈夫か』


スランが戦利品であるゴブリンナイトの魔石を手に入れた直後、新たなモンスター……コボルトが投石でスランを奇襲。


コボルトもゴブリンナイトと同じく、基本的にこの試験を受ける子供たちが戦うのを推奨されていない存在。

本来であれば、止めるべきか否かを迷うところではあるが……今の二人は、完全にあのスランであれば問題ないだろうという心理状態となってしまっていた。


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