妹は兄のプロポーズに物申す!
《一ノ瀬三琴視点》
私こと、一ノ瀬三琴(22)は、都立外大に通う大学4年生。
卒論のテーマが『地元の素晴らしさを海外の人に伝えるには』っていう事もあって、実地調査を兼ねて、夏休みに久々に帰省したんだけど……。
空気が美味しいし、周りのじぃちゃん、ばぁちゃんはあったかいし、いや〜、やっぱ田舎は都会にない良さがあっていいね〜?
久々に合ったお兄は、30回目の見合いに失敗して凹んでたけどさ……。
お兄、一ノ瀬一(30)は、性格は真面目で誠実で愛情深い。長身で顔も悪くない。ずば抜けた身体能力を持っている働き者。
本人の条件はかなりいいと思うんだけど、住んでいる場所が高齢者率75%以上の過疎地域というのに、都会の女子は引いちゃうんだろうな。
まぁ、他の男に走って婚約破棄をしやがった従姉妹の弍乃ちゃんをやっと吹っ切れて、結婚を前向きに考えられるようになったのは進展だし、「次こそは婚活で成果出すよ!」って言う兄を、妹は全力で応援するぞって思ってたんだけど……。
色々あって、NOW WE ARE IN 異世界──。
「レフィーナさんっ! 俺と結婚して下さいっ!!!」
「えっ? えーーっ!??////」
目の前で、会ったばかりのエルフのレフィーナさんにプロポーズする兄に私は度肝を抜かれた。
「??」
「ちょ、ちょっと待て、兄ぃーー?!」
「うわっ。何だよ、三琴!」
状況が分からず、弟のロフィーニくんが可愛らしく小首を傾げている中、私は大慌てで二人の間に入り、兄に詰め寄った。
「お兄? そりゃ、私も婚活応援するとは言ったけれど、今、ここで頑張っちゃう感じか〜っ?! お兄、ここがファンタジー異世界だってよく分かってないから、レフィーナさんの事、ただ綺麗な外国人の女の人としか思ってないかもしれないけど、相手はエルフさんだよ? 人間とは種族違うんだよっ?」
ずびしっと、人差し指を突き出して捲し立てる私に、お兄は目を瞬かせた。
「えっ。『エルフさん』って種族違うのか?(エルフさんっていう苗字だと思っていた……!)」
「そうだよ? 寿命とか生活とか全然違うんだから! そういうの、ちゃんと考えないと!」
「!! あ、あの、エルフさんの寿命ってどれくらいなんですか?」
「え、ええっと……。// 私達の種族はエルフの中でも比較的短命ですが、それでも1000年ぐらいですかね……? こう見えて、私は77歳になります」
「……!!」
「ホラぁ。レフィーナさん喜寿じゃない。佐川婆ちゃん(75)より年上だよ?」
戸惑うレフィーナさんに御年を告げられ、衝撃を受けるお兄に諭すように言ってやったのだけれど……。
「(俺が30だから、結婚したらレフィーナさん、姉さん女房になるのか……くぅっ。萌えるなぁ……♡♡)」
?!
ボソッと呟き、ポッと頬を赤らめる兄を見遣り、私は戦慄した。
えっ。今、萌えるって言った? 47才差だよ? 年上萌えにも程があるでしょ……!!
私の諌めで、逆に燃え&萌えてしまったお兄は、レフィーナさんに訴えかけた。
「お、俺っ! 年下で、頼りないかもしれませんが、頑張ってあと800年ぐらい生きて、レフィーナさんを守れる強い男になりますんで、どうか俺と結婚して下さい!」
「一さん……!!/// また、『結婚して下さい』って……!!」
お兄、またプロポーズしちゃったよ。800年生きるとか絶対無理だから!! 勢いだけでそういう事言っちゃダメェ!!
私はお兄をどう説得したものかと、額に手を当ててため息をついていたけど……。
「【今すぐHして子供を作りましょう!? な、なんて男らしい人♡♡】」
レフィーナさんは真っ赤になった頬に両手を当てて、エルフ語で呟いた。
えっ! まさかの脈あり?! あと、なんか、言葉の意味、間違って伝わってないかい??
✽あとがき✽
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