金髪翠眼の姉弟
「翼竜に少年が攫われそうに! 俺達、恐竜の世界にタイムスリップしてしまったのかぁ?!」
「ドラゴンにエルフの男の子が攫われそうに! 私達、異世界に来ちゃったって事ぉ?!」
「「え」」
緊迫した状況に俺と三琴は同時に叫び、顔を見合わせた。
「お兄、恐竜って……、普通このシチュエーションはファンタジー世界でしょうが?」
「そ、そうなのか? 俺、あんまり本とか読まないから……」
三琴に呆れたように言われ、頭を搔いていると、翼竜に捕らえられた少年の関係者らしき金髪翠眼の女性が急いで駆け寄って来た。
「あっ。あなた達、レイさんの子孫さんデスか?」
「えっ。日本語?」
「あ、ああ。俺にも聞き取れるぞ?」
さっきは、知らない国の言語で叫んでいた女性が、今度は日本語を話し始めたので俺達は目を見開いた。
「『レイさん』って、おじいちゃんの事かな? エルフのお姉さん、たしかに私達は一ノ瀬零の孫ですけど……」
「レイさんの、お孫さん!! よかった! 私、彼が村に残してくれたこの宝で、あなた達を呼びマシタ! どうかあの子を助けて下サイ!」
三琴が話し掛けると、その女性は安堵したようで、彼女が身に着けていた赤い石のネックレスに触れ、次に翼竜に捕らえられた少年を指差して悲愴な表情で頼み込んで来た。
「ふんふん……。要するに、彼女はあの男の子・彼女の弟を助ける為に、じいちゃんに縁のあるらしいネックレスを使って、私達をこの世界に召喚したみたい!」
「なるほど、彼女は弟を助ける為に、俺達を……。あれっ? 弟なんて言っていたか?」
「ん? さっき、『ロフィーニ〜〜ッ……!! 私の弟を返して!!
』『レフィーナ姉ちゃん!!』ってやり取りしてたじゃん?」
「いや、さっきのは、何を言ってるか分からなかったが……」
「はっ。なるほど、コレ、異世界召喚ものにつきものの、特殊能力か……! 私は言語解析能力! そしたら、お兄はきっと……!」
「ああっ。ロフィーニ〜!!」
「「!」」
俺達が話し合っている間にも、翼竜は少年を捕らえたまま、飛び去ろうとしていた。
「あ〜、詳しく説明する時間ないから手短かに! お兄、 私達はこの世界に来る時、自分の得意分野の能力がアップしているの! だから、お兄の身体能力は爆上がりで何でも出来るよ! とっととあの男の子をドラゴンから救っちゃって!!」
「なるほど、よく分かった! 助けてくる!!」
びしぃっと人差し指を突き付けて、指示する三琴に、大きく頷いた。
災難に見舞われた美しい金髪翠眼の姉弟をこのまま放って置くのは、寝覚めが悪い。それが、じいちゃんに縁のある人なら尚更だ!
「お姉さん、弟くんを取り返して来ますから、安心して下さい!」
「お孫さん、お願いしマス……!」
「お兄、頑張って!」
俺は弟を心配して涙を流している金髪のお姉さんに親指を立てると、飛んで行く翼竜を追いかける。
ビュンッ……! ドダダダッ!
三琴の言う通り身体能力が向上している ようで、体が羽のように軽い。
特にアンクレットをしている足に韋駄天のような速さで、翼竜との距離を縮め、あっという間に追い抜かし、巨岩の崖を駆け登る。
数瞬で頂上まで来ると、翼竜と捉えられた少年がもう少しで、丁度真上1メートル程の距離に来るところだった。
バキャッ! ゴトッ!
俺は足元の岩を蹴って切り崩し……。
「ふんぬぁっ!!」
ドガッ!! ↑↑ バゴン!!
『グアァァッ!!』
岩の欠片を思い切り蹴り上げると、それは翼竜の頭に命中した。
堪らずその足から、少年がこぼれ落ち……。
「ウワアァーーーッ……!」
「おっと! ハァーッ!!」
悲鳴を上げて落下していく少年に向かって、俺は崖の上の地面を蹴り、ダイブした。
ガシッ!
「っ……!」
「ふぅっ。セーフ!!」
少年をしっかり抱き止めると、俺はそのまま、崖の側面を滑るようにして、落下の勢いを殺しながら、無事地面に着地した。
「ロフィーニ!!」
「お兄!!」
そこへ、金髪のお姉さんと三琴が駆けて来る。
「ウワァン! レフィーナ※β%〜〜!」
「ううっ。ロフィーニ〜〜!!」
「よかったね。エルフの姉弟さん」
「ああ。本当によかったな……」
姉弟の涙ながらの再会に、俺と三琴も胸の温まる思いだった。
✽あとがき✽
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