表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
面倒な僕を助けてくれ  作者: 柱蜂 機械
第三章 二年一学期編
66/69

第61話 文化祭二日目[3]妹達

 もうすぐ○○○○○! 楽しみだなー。


Q.○○○○○に入る文字は何でしょう? 四択です。


 1.地球の滅亡

 2.期末テスト

 3.小学一年生

 4.私は大統領


 正解は後書きで!

「で、さっきの人何なの?」

「分からん」

「『分からん』って、でもあの方(りく)くんと同じクラスなんですよね?」

「そうみたいなんだよなぁ……」

「ダメダメ。お兄クラスでハブられてるから、クラスの人の顔と名前分かんないの」

「あぁ、なるほど」

「納得しちゃうのかぁ……」


 文化祭二日目。

 仕事の終わり際に、妹の(そら)四ノ宮(しのみや)紅葉(くれは)の妹の奈津(なつ)と遭遇し、成り行きで一緒に文化祭を見て回ることと相成った。昨日に引き続き、まさかの「第二回文化祭見学会」爆誕である。イェーイ。


 廊下を歩いていると、人目が少し気になる。何せ、僕の前方を行くJC二人は控えめに言っても、余裕で可愛い。顔もそうなのだが、二人ともこの高校の制服とは異なるセーラー服を着ているものだから余計に目を引く。セーラー服には、おしゃれに勝るとも劣らない魅力があると思いますええ。まぁ逆にそれが僕を背景にしてくれている訳だが、何となく、見知っている人にジロジロと視線が向けられているのはあまり気持ち良くはない。本人たちはそれを知っているのかいないのか、別段気にする様子もないが。


 空はうーんと言って天を仰ぐ。


「にしても……何か馴れ馴れしかったなぁ、あの人」

「そうだねぇ。ちょっと気持ち悪かったかな」


 へぇあの顔はそんなことを内包していたのか……怖ーい……。

 だがまぁ、気持ち悪かったり、馴れ馴れしかったりするのは横で見ていて明らかだった。というか僕にも馴れ馴れしかったなあのモブ坊主。一体何様のつもりなのか。

 だが、そんなことよりもこんな年端もいかない少女二人にナンパ紛いなことをしたことの方が問題か。許すまじ……。


 僕が怒りに拳を握り締めていると、奈津が声を上げる。


「おー、着いたー」

「えー……マジで行くの?」

「マジマジ」

「えっ……行きたかったのってここか……?」


 階段を上って辿り着いたのは我が教室──21HR。つまり、展示は、お化け屋敷である。


 僕の問いに奈津は笑顔で「はい」と応じた。姉と違って怖いのは大丈夫なのだろうか。


 しかし、懸念はある。


「んー……けど、ここ割りとリアルだからなぁ……。気を付けた方が良いと思うぞ……」


 昨日のは、紅葉と一緒にいたからという理由も少なからずあるが、かなりビックリしてしまった。まさかあそこまでのハイクオリティとは思ってもみなかったのだ。これも、準備に参加していなかった故の知識不足ということだろうか……。まぁ結局初見プレイが一番面白いのでセーフ。


 僕が忠告すると、空はあからさまに嫌そうな顔付きになる。


「えぇ……アタシ怖いの無理なんですけど……」

「大丈夫大丈夫。私が空を守ってあげるって。行こっ?」


 奈津はアニポケのヒロイン張りの勇気づけをして、嫌がる空の腕を取りずんずんと進んでいく。DPのリメイク出ないのかな。


 教室の前の受付嬢は、昨日と変わらず金髪の目付きが悪い女子生徒だ。……あの子、ちゃんと客引きできてるのかしら?

 奈津が空を引っ張りながら金髪に手を振る。


「紫苑ちゃん」


 奈津の呼び掛けに応じ、眠そうに目を細めていた金髪さんは立ち上がって頭を垂れる。


「奈津も空さんも、ようこそお越し下さいました」


 紫苑は二人の後方にいる僕にも気付いたようで、奈津に確認をとるように尋ねる。


「それ──……水野(みずの)君と来たんですね」

「おい、今『それ』って言ったか?」

「言っていませんよ。空耳ですよ、きっと」

「あっそう……」


 紫苑はあっけらかんとした態度で僕をいなし、お嬢様たちに向かう。


「三名様でよろしいでしょうか?」

「いや、僕は良いよ」


 首を横に振ると、空と奈津が振り返る。

 奈津は怪訝そうな表情で尋ねる。


「陸くん、良いんですか?」

「あぁ。僕はもう昨日行ったから、内容も分かっちゃってるし。初見の二人で行った方が良いと思うよ」


 言うと、空が目を円くする。


「お兄がお化け屋敷……あり得ない……」

「……何でそんな世紀の大事件みたいな顔してんの?」


 空は僕の言葉には構わず、驚愕を露にする。


「嘘だ。嘘じゃなかったら、何かの罰ゲーム……。いや、お兄に罰ゲームやらせてくれる友達なんて……。じゃあ、やっぱり嘘……?」

「……自分で堂々巡りするのは結構だが、人を傷付けながらループすんな。あと、嘘じゃねぇよ」


 僕が呆れて言うと、空は鋭い眼差しを向ける。


「……じゃあ、一人じゃなかったでしょ? お兄一人でこんなの入る訳ないし」

「『こんなの』って聞こえ悪いから止めなさい。……まぁ、確かに一人ではなかったけど」


 空は「良かったぁ」と胸を撫で下ろす。そんなに重大事ですかね……。あれか、僕がまだお子ちゃまだって言いたいのか。だったら僕、空ちゃんとお化け屋敷行きたいでちゅ。

 だが空の疑問はまだ尽きないらしく、さらに首を傾げる。


「でも、だったら誰とお化け屋敷入った訳? 『誰かと』っていうのも、お兄じゃ充分あり得ないし……。あ、もしかしてそれが昨日の夜のうるさキモかったヤツに関係あんの?」


 ゲ……我が妹ながら、なかなか勘の鋭い奴だ……。クーッ、兄に似て頭が切れる。おっと、僕の頭の良さがバレてしまったー。


 空の言葉に奈津が食いつく。


「『うるさキモかったヤツ』って何?」

「なんか昨日さ、お兄寝る前になってベッドで大声で何か言いながら泣いててさ、バカうるさかったの。……何? 悶えてたって言うのかな……とにかくキモかったんだよね」


 空はペラペラと開けっ広げに喋ってしまう。


「ばっ、おまっ……そんなこと言わなくても良いだろ」


 空をたしなめると、奈津は「へぇ……そうなんだ」と言って興味ありげにこちらを向いてくる。


 困っていると、そんなのは構わず空が尋ねてくる。


「ねぇ誰とお化け屋敷行ったの?」

「……普通に……アレだよ、アレ……。そう、友達と行ったんだよ」


 そんなの「はい、紅葉です」とか言える訳ない。恥ずかしいというのもあるが、この娘たちにかかるとすぐネタにされそうだ。これまでも彼女たちが僕と紅葉で何かを狙っていた節はあったが、今度は自発的だということで騒ぎ出すだろう。そうなるといよいよ問題なので、ここは死守せねばなるまい。


「嘘。お兄友達いないじゃん。バカじゃない?」

「グフェッ……。お前、どこでボクシング習った……」


 痛い、痛いよ……心が。


 苦しみに堪えながら、それでも口は割らない。

 すると、空はジーッと視線を僕から紫苑にスライドさせる。彼女はすぐことを察したようで口を開いた。


「あぁ、それはですね、く──」

「っとぉ、待ったぁ!」


 僕史上最大ボリュームの声を上げて、紫苑の言葉をストップさせる。もうこの際、外側からの目など気にしてはいられない。僕の社会的地位に関わる大問題だ。しくじったら、明日から自宅が職場だ。いや、最早家にもいられないかも。


 僕はダッと紫苑に詰め寄り、耳元で囁く。


「それ、言わなくて良いから」

「なぜです?」


 紫苑は特段驚いた様子も見せず、問い返す。


「どう考えてもあの二人だったらネタにするだろ、この話。そうしたら、僕だけじゃなくて紅葉だってなっちゃんにからかわれる」

「……確かに昨日のを見た限りでは、或いはそれもあり得るかも知れませんね……」


 紫苑が珍しく考え込むような様子を見せた。


「? 昨日のって……?」

「こっちの話です。お気になさらないで下さい」

「そ、そうか……? まぁ良いや。それに、どこで誰が聞き耳立ててるかなんて分かんないし。だから、これだけはマジで言わないでくれ。何でもするから、頼む」


 全力で懇願し頭を下げると、紫苑の口からフッと笑い声が漏れるのが聞こえた。


「『何でも』ですか……」

「え……?」


 嫌な予感がして顔を上げると、紫苑はニタァと僕をからかうような笑みを浮かべていた。まるで、食材をどんな風に料理してやろうかという極悪シェフさながらである。そして「分かりました。それなら、このことは私の名に掛けて守秘致しましょう」と、約束した。


 昨日のことが公にならないのは大変結構なのだが、しかし、何だろう、この人の笑顔は……。


 僕が不安に駆られていると、後ろから空の声が掛かる。


「……何やってんの?」


 笑顔で「いやいや何も」と応じる。紫苑も澄ました様子で「昨日のことにつきましてはお伝えでき兼ねます」と伝える。


 すると、奈津も参戦する。


「えぇ? 教えてくれないの……紫苑ちゃん?」

「はい約束事ですので」

「お兄」


 空がムッと僕を睨む。僕はそっぽを向いて口笛を吹くふりを実行する。意外と良い音が出た。


 ところが、何でか奈津も食い下がる。


「お願い、教えて紫苑ちゃん。私なんでもするから」


 おいおい、これで「はい、分かりました」とか言わないだろうな……。とビクビクしながら紫苑を振り向くと、果たして彼女は義理堅かった。


「奈津、それは了解し兼ねます。その内容は、既に水野君と約束したことにバッティングします。勝手ではありますが、優先順位は先着順です」

「……なら、仕方ないかな……」


 奈津は不満そうな顔をしつつも、ようやく引き下がる。


「さ、他のお客様がいらっしゃらない内にご入場下さい」


 紫苑はそう言って、二人を伴ってお化け屋敷のドアを開く。

 ひんやりとした空気が足元を伝った。

 二人はチラチラと僕の顔を見ていたが、諦めて、今度はお化け屋敷に興じることにしたらしい。


 紫苑は二人が中に入るのを見届け「いってらっしゃいませ」と言い、ドアを閉めた。


 そうしてスタスタと元いた場所に戻り、着席する。




 しばらくして「キャー」とか「ワー」とかいう悲鳴か歓声が聞こえてきた。


「紅葉って、今どこにいんの……?」

「気になりますか?」

「まぁ……」

「この中ですよ」

「お化け屋敷やってんの?」

「はい」


「……絶対言うなよ」

「昨日のことですか? 言いませんよ」

「絶対だぞ」

「絶対です」

「ホントのホントだな?」

「ホントのホントです」

「ホントのホントのホントだな?」

「ホントのホントのホントです」

「ホントのホントのホ──」

「しつこいですね。言いますよ。みーずのくんはー!」

「あぁ! ごめんなさい! ホンットにごめんなさい! いやもうマジでありがたいです! 感謝感激雨嵐です!」


 全力の土下座は、その後功を奏した。

クイズの答えのコーナー


 A.「2」期末テスト


 皆さんも私と一緒に期末しようぜ!



 完読ありがとうございます。

 最近頭がおかしくなって困ってます。許して下さい。はい、前回言いましたようにこの流れがあと二回くらいあります。そのくせ投稿ペースはこのザマなので、いかに私の執筆が進んでいないのかがお分かり頂けると思います。テスト終わったら本気出します。まぁ「本気出す」って言うヤツに限って本気出たところなんて見たことないんですけどね。

 という訳で、また次回(クイズはあるかも知れないしないかも知れません)!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ