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面倒な僕を助けてくれ  作者: 柱蜂 機械
第三章 二年一学期編
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第48話 灰色

 こんにちは。

 やっぱりイヴは乗り鉄ですね(笑)。中京辺りを乗ってきます。だから、クリぼっちなどでは無いのです。

 一通り作業が終わった為、誰にも何も、言わず言われず、ソロソロリと教室から退散する。未だに教室ではリア充達がゲームしたり、駄弁ったりしている。

 ああいうのって、結局学校好きだよなぁ。「がっこマジだりぃ」とか言ってる割に。

 学校への愛着の裏返しなのだろうか? やはり何処に行ってもツンデレは居るようである。


 早く家帰ろと思い、駐輪場への道を急いでいると、何人か居る僕の前を歩く生徒の中に、見覚えのある後ろ姿を見つけた。薄く白っぽい黒髪。地味に身長が高くて縁無し眼鏡を掛けているようで意識が高そうなのに、リュックには萌えそうな缶バッジとキーホルダー。あれは……まぁ良いや。


 正直どうでも良かったので、バレて絡まれないようにゆっくり歩き、マイチャリの元へ向かう。リュックなんて重い物はずっと背負ってはいられない為、カゴにぶち込み、鍵を差してロック解除。さっさと飛び乗ってチャリを漕ぎ出す。


 暫くして鼻歌混じりに帰路を快走していると、右隣に並走してくる奴が現れる。


「よお水野(みずの)

「ちょっと……並列で僕まで警察に止められたくないんだけど……」

「いやいないって、警察(ポリスマン)なんて」

「……分かってないな」


 あれは、何て事ない左折だった。ただ、曲がった先に割りと老けた女性警官が立っていただけなのだ。その警官は「あー、信号無視っちゃったでしょー?」と謎のにやつき顔で、僕を止めたのだ。何かウザかった。

 ってか、アレ完全に隠れてたでしょ。曲がった奴止めようとしてるだけじゃん。悪意あるって。交通ルール守らせるんじゃないじゃん。交通ルール守らせたいんだったらもっと目立つ所に居ろよ。そうすれば違反する奴なんて出てこないんだから。

 しかもその時の僕の横を通過していった他の生徒共。あの笑った目。「あーあー。止められてる止められてる。御愁傷様プークスクス」という最悪の視線。

 ちょっとお巡りさん、アイツらも信号無視ってますよ。

 本当に言おうかと思ったが、女性警官は目の衰えが進んでいたらしく、税関並みに徹底的に老眼鏡の捜索を行っていた為、発言は憚られた。何で老眼鏡探すのに一分も掛かんの……。お蔭で学校にも遅刻した。

 ここで僕から一句。


「気をつけろ 曲がり角には ポリスマン」


 皆さんも警察に止められない通勤通学をなさって下さい。


 深沢(ふかざわ)(れん)は何だか分からないが、ニヤニヤとしている。まぁいつもの事か。


「テスト、どんな感じだった?」

「あ? 五教科だった」

「チゲぇよ。出来たか出来なかったか程度の話だわ」

「まぁまぁ」

「そう? 俺何かすげぇ出来たんだけどさ」

「あぁそう良かったね」

「んー、今回は、100位以内行っちゃうかなぁ? ガハハ」

「へー」


 やっべぇ。割りと本気で死ぬ程どうでも良い情報ゲットしちゃった。どの位どうでも良いかって言うと、昼の情報番組で「銀座(ぎんざ)とか虎ノ門(とらのもん)に何々が出来ましたぁ。今回は、何々でお買い物してみたいと思います」並みにどうでも良い。アレ、全国放送なのに何でいつも東京(とうきょう)の事しか放送しないんだろう? 皆そんなにしょっちゅう東京とか行かないし、金持ちじゃない。恐らくああいう番組の目的は、宣伝では無く、単純に地方の人間や金の無い人間に「良いなぁ」と思わせる事なのだろう。そうして、都会暮らしや金持ちに憧れるように仕向ける。メディアは割りと、地方から人が出ていくのを助長している希ガス……。まぁそれもどうでも良いな。


 国一を跨ぐ為に信号待ちをする最中、深沢はまたしても結構どうでも良い情報をもたらす。


「──でさー、仁科(にしな)がさ、言っちゃったぽいんだよ。そしたらさ、花音(かのん)が俺の事さ『良い人だと思うよ』とかって言ってたっぽいんだよねぇ! これもうモテ期到来なんだけど。勝ったな!」

「へーフーンソーナンダー」


 おお、コイツ「花音」さんに遠回しに面倒臭い奴って思われてんの気づいてないのかよ……。あと、その「仁科」とかいうのは単に面白がってるリア充のなりそこないみたいな奴だな。話聞いてるだけでウザい。


 僕がそれでも、適当な返事をして聞いていると、深沢が漸く決定的な発言をした。


「いやーでも、仁科が大川井とバンドやるとか、驚きだよなー」

「……あ? バンド? 何、どゆこと?」

「いや、だからさ、え? ってか知らねぇの? アレだぜ、文化祭のPV的なのでやってるヤツ」

「……マジで?」

「マジ卍」


 おぉぅ取り敢えずそのよく分からん笑顔止めろ。


 っていうか、聞いた事あるな、バンドがPVどうのっていうの。去年も何だか、校舎の何処かでそんな感じの映像を垂れ流していたようなしていなかったような……。


「あの人、そういうのも行けんの……?」

「らしいけどな。いやぁ俺もああいうの出来れば、もっとモテんのかなぁ」


 そのクズ性分だと、まぁ無理だな。


「それって何、その……楽器って何やってんの?」

「んー? ギターって聞いたけどな……」

「マジか……」

「マジ卍」


 うぜぇ。


 あの人、勉強も運動も出来るけど、まさか音楽方面も行けるクチなんですか? いよいよ空恐ろしいな……。ってかそれって人間なの?

 彼女と関わるようになって早二ヶ月経って、色々な凄さを見せつけられてきたがまだそんな能力があったとは……。一体そんな物、どうやって体得したのだろうか。やはり先天的な才能というヤツなのだろうか。普段の様子を見てる限りでは、全くそうとしか思えない。


 信号が漸く青に変わり、チャリのペダルを漕ぎ出す。


 やはり僕とは生きている次元が違うらしい。努力をしても天才には追い付けない。彼女は、それを人々に知らしめる存在のようだ。

 しかし、そんな彼女と気軽にお喋りさせて貰えているというのは、恐らくきっと「光栄」という物なのだろう。


 テストも終わり、文化祭の準備も始まり、学校はますますと盛り上がってきている。

 それなのに、空の方は相変わらずぱっとしないまま。

 もう梅雨入りだろうか。

 本来広い青色の場所は、灰色の雲に覆われている。

 最後までお読み下さりありがとうございます。

 今回はちょっと短かったですね。久々にクソ眼鏡が登場しました。自分は割りとこのウザい感じが好きなので、頻繁とは行かなくともちょくちょく出したいなぁ等と思っています。


 この間見たら、いきなり評価点が増えててビビりました。ありがとうございます。これからも、良ければ感想や評価して下さると嬉しいです。暇だったらしてみて下さい。

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