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面倒な僕を助けてくれ  作者: 柱蜂 機械
第三章 二年一学期編
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第45話 助言

 こんにちは。

 最近寒くて大変です。本編はまだ五月なんですけどね……。

「へぇ、それでお化け屋敷かぁ……」

「まぁそういう事だな……」


 僕の正面で話を聞いていた空は感心しているようなしていないような調子で言った。


 で、結論から言うと、僕のクラスはお化け屋敷なるものを文化祭でやる事になった。ちょっと時期が早い気もするがこれからムシムシしてくるし、ちょっとしたヒンヤリスポットにでもするのだろう。


 僕もビックリだったが、提案者は大川井(おおかわい)(はなだ)鳥羽山(とばやま)雄太(ゆうた)だ。大川井さんが提案し、それに乗っかる形で鳥羽山が補足した。


 大川井さんが藤ヶ谷(ふじがや)さんに、バカにするように言っていた器具の事から話そう。

 まずお化け屋敷な訳だし、室内は当然暗くなくてはならない。つまり、外光を遮断する黒いカーテンのような物が必要とされる。これには視聴覚室で使っている物を借用する事に決した。

 また真っ暗では見える物も見えないので、仄暗さを演出する為の明かりも使う事になる。こちらは家にある懐中電灯等を使用する。また色付きの物にする場合はセロファンで着色する。

 そしてお化け屋敷がヒンヤリしていないとはどういう事なのかという話になり、中身をひんやりさせるためにエアコンをガンガンに稼働する事になった。氷などを搬入する(サマーウォーズ的な)案もあったが冷やすのに時間が掛かる事、融けた後の水の処理、室内の湿度の上昇などの理由により却下された。


 とまぁこうする事によって、後は脅かす用の着ぐるみ的な物を用意すればそれで完璧だ。予算も限られている中、とても魅力的な提案だった。これをあの時に考えたというのだからやはり大川井さんとは化け物だ。


 当然反発しそうな女子は居たが、そこは鳥羽山が賛成に回った事により食い止められた。

 大川井さんが個の能力に秀でてるとすれば、鳥羽山は場を整える集の能力が高いのかも知れない。まぁ何かムカつくな。


 そして、大川井さんの提案は僕のようなほぼボッチ野郎からリア充連中までをもウィンウィンにする物だった。

 このお化け屋敷とかいう物の仕事分担は大きく分けて勧誘する人間と脅かす人間の二つだ。


 まず勧誘。

 ボッチ組はなるべく人と一緒にならない仕事をしたいと考えている。というか寧ろ仕事したくない。それでも一応仕事はしなくてはいけないので、取り敢えず無心で看板を持って「21HRです(お化け屋敷やってますの意味)……」で大丈夫だ。まぁ僕がやると不審者ですかね。テヘペロ☆ まぁとにかく一人で出来る。

 次にリア充。奴らは「む、群れてぇ! 群れてぇよぉっ!」と、群れないと死んでしまう病を抱えているので何かあるとすぐに群れてしまう。何海賊団の狙撃手だよ。っていうかアレ何で仕事無い奴もくっついてんの? 仕事大好き人間なの? 社畜になりたいの? という心配をしてしまうぐらいに奴らは群れる。そしてウェイウェイ騒ぎながら「21お化け屋敷やってまーすっ! え、来るら!? 今から行くら!? そうら!? イエーイ!!」とか言ってくんだけど何なのアイツら。……おっと私情が入ってしまいました。


 そして脅かす側。これにおいても両方に効果を発揮する。ボッチは日頃から人と接しない分、人間関係でストレスが溜まる事は無いが、リア充の態度がムカつく事はある。この鬱憤、どう晴らそうか。「あ、お化け屋敷で出来るんじゃね?」そう。お化け屋敷には沢山のリア充やカップルがやって来る。ムカつくな。という訳で、自分の姿が見えない以上本気で脅かす事が出来る。めっちゃ恥ずかしいけど。もしそれで男の方が格好悪くビックリした顔を見せた日には、もう笑いが止まらないだろう。へへっ! ザマァ無いな! とか心の中散々笑う事が出来る。嬉しすぎる……。

 一方リア充。

 まぁこちらはその、何と言うんですか? 「お化け屋敷やってるぞー! ウェーイ!」感を出したい連中なんですね。この青春楽しんでる感を実感したいが為にやる訳です。だからこちらも満足出来るんですね。しかしコイツら、やっている事を楽しんでいる為本気じゃない。ハッこれだから俄は……。


 はぁこんな所まで考えていたとしたら本当に天才だ。僕の事か。違うね。


 まぁ準備は手伝わないと心に決めているので、当日も出来れば僕の事を忘れていてほしい。


 説明していると空がにこりと笑う。


「お兄良かったじゃん。ノーメイクでお化けなんだし」

「あマジ? やっぱそう思う? いやぁ滲み出ちゃう才能って怖いわ。ゆくゆくは心霊現象的なのになってメディアから出演料貰っちゃおうかな」

「うーわゲッス。ってかそんなん無理だし。……でもお兄、その顔じゃ絶対就職できなくない?」

「心配すんな。そうなったら空に養ってもらうつもりだから」

「わーキモい。アタシお兄飼うつもり無いんですけど」

「え、マジで……?」

「ちょっと、何でマジにビックリしてんの? さすがに引く」


 空がキモい物を見る目を向けていた。え、ってかマジで? 僕、養って貰えないの? いや、嘘だぁ。僕が空好きなのと同じくらい空も僕の事を好きなはず。きっと、照れ隠しだな。うんそうに違いない。相変わらず可愛いヤツめっ。


 しかし僕の動揺は大きく、思わずスマホが地面に落下していた。


 空ははぁとため息。


「お兄、そろそろ妹離れしてもらわないとアタシだって困るんだけど」

「そ、そう……?」


 妹離れ……。何だか切ない響き。どれだけ切ないかっていうと、快速から、通過待ちしている普通を見て良い気になっている時に、新幹線に圧倒的スピードで追い抜かれるくらい切ない。鈍行の速い遅いとか、天下の新幹線と比べれば些細な事でしかないのだ。


「妹離れして、どっかの誰かとくっついちゃってよ。まぁ……貰ってくれるような人いるかどうか分かんないけど」

「はぁ……どっかに可愛くて高級取りで養ってくれる人いないかなぁ」

「理想高……。ってかそんなのマジで有り得ると思ってるの?」

「有り得ないから困ってんだよ」

「なぜ逆ギレ……。でもそれだったら努力くらいしてよ。モテる努力を」

「モテる努力? ハッ……金と整形か!」


 イケメンで金持ちとか、モテない要素が見当たらない。


 空は呆れたような顔になって言う。


「それは努力じゃなくて経済力があるだけ。ってか顔いきなり変わったらキモがられるから」

「む……それもそうだな」


 しかし、モテる努力とは何ぞや? 要はそれをするとモテる訳だから、モテる奴に聞くのが最も手っ取り早いか。いやいやそんなの聞ける人居ないし。大川井さんとか紅葉(くれは)とか紫苑(しおん)とかあの人っちモテるっぽいけど、男子から一方的に、な感じするしなぁ……。ってかそもそも性別違うし。

 何だろ、言葉に秘密でもあるのかな。「モテる」は漢字表記で「持てる」だ。「持つ」という動詞の可能形「持てる」──意味は「持つことができる」──から来ているのだろう。つまり異性にモテるというのは「異性を持つ(侍らす)ことができる」という能力を示す言葉な訳である。要は「それをする資格又は素質がある」という事だ。……だから何だよ。


 僕が首を捻っていると、空が問うてくる。


「だからさ、簡単に言うとお兄のゴミなとこを直せばいいんだよ」

「……そんなんある?」

「……それマジで言ってんの?」

「え……あ、ごめんなさい。沢山ありますそんなゴミを見る目で見ないで下さい……」

「そうなんだよね。いっぱいあるんだよね。まずは目──……どうしようもないか」

「早いよ。諦めんなよ」

「だって無理でしょ、その目は」


 そんなにヒドいんですか、僕の瞳は?


 僕がげんなりしていても空は続ける。


「で、性格云々とかもあるけど、やっぱ外見どうにかしないとねー」

「がいけん?」

「そ、外見。そもそも顔だけじゃなくて体全体か負のオーラ出てるし」

「え、何それカッコいい」

「えーキモーい」


 えーカッコいいよ。やっぱ僕の魔力が滲み出ちゃってるのかなぁ、隠しきれないくらいに。

 ……その身は万物の混沌の闇を抱き、深紅の血を飲み、大地に、永遠にして無限の影を落とす。世界の深淵より出でよ、我が眷族、三頭の番人(ケルベロス)!!

 というように中二になりそうな時期が僕にもありました。ふぅ、危ない危ない。……あのノートは捨てておこう。


 空は僕を否定した後も話を進める。


「お兄って、姿勢とか歩き方も何かカッコ悪いっていうかキモいっていうか……そんな感じなんだよね」

「なるほど分からん」


 今ので彼女は僕に何を伝えようとしたのだろう。僕の事嫌いなのかなぁ……シクシク。


「えっとさ、だからさ……えーっと、あ、そうだ。猫背猫背。お兄さ、何かいっつも猫背でがに股でポケットに手突っ込んでるじゃん。そういう人ってどう思う?」

「何かダサいかもな」

「そう、ダサいの。ダサいんだよお兄は!」

「いや、そんな嬉しそうに言われても……」


 お兄ちゃん泣いちゃうでしょーが。まぁ可愛いから許しちゃうぞ。


 空はふふんと得意気に鼻を鳴らし、人差し指をピンと立てる。


「だから、まずは背筋を伸ばして、がに股を止める。これだけでも結構マシになると思う。……あとは、そう、服装とか髪型とか。家にいるんだったらそんなん(Tシャツに短パン)でも良いけど、やっぱ外歩くんだったら少しはカッコつけないと」

「いや、僕さ、場とか人によってカッコつけたりへこへこしたりする奴嫌いなんだよね。だからそんな奴の真似るとか僕の主義に反するっていうか何て言うか……」

「そうだね、お兄はいつでも誰にでもへこへこしてるからそんな奴らとは違うよね、偉い偉い」

「そうだろ、僕は偉いんだ」


 なのにどうしてこんなに心が痛いんですか……。


「でも、行くって言ってもそんなんジャスコとかセブンぐらいだろ。まぁたまに静岡(しずおか)行くけど……」

「そういうちょっとしたとこから始めるのが大事なの。そうすればお兄だって、いつかは告られる日が来るかもよ」

「ほぅ、面白い事を言う奴だな……。僕が告られるとか、無いな永遠に絶対に!」

「うわー、上昇志向無っ。キモいなぁお兄。折角、日本一ゲーマーがリア充目指そうとしてるラノベ持ってんだから、少しは参考にでもすれば良いのに」


 いやあるけどさ、多分僕的には一生使わないっていうか使えないというか、そんなテクなんですよぅ。そもそも僕は弱キャラじゃないし、リア充も目指してない。僕は一匹狼という動物界の英雄で、つまり強者だし、目指しているのは超ヒモだ、理論じゃない方の。だからそこらのボッチとは一緒にしてもらっちゃ困る。僕は将来を見据えた一歩進んだボッチなのだ。だからその内、空ちゃんがゲットしてくれるに違いない。やったぜ!

 最後までお読み下さりありがとうございます。

 後書きの存在意義というのはどういうものなのでしょう? 別に無くても良い気がします。っていうかネタが無いだけなんだけど。後書き書きたいけどネタが無い。辛い。

 次回、漸くテストです。一話で終わります。散々引っ張った挙げ句短いです。すみません。だってテスト期間つまんないんだもん……。

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