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猛也の意識は漂う―
次元の狭間を…
其処で視る事実…
気付いてしまった悲哀―
気が付くと、猛也はよく解らない場所を漂っていた。
其処には全てが在った。
自分も、自分の感情も、人も、関わった人の人生も。
周りに色々な人生と人が視得る―
周囲に漂っている薄らと視得る人に視線を遣り、意識を集中すると、その人の様々な状態が視えた…
視えてしまった。
理屈ではない。
理解出来、そして説明が出来てしまう…
自分の事でさえ…
そうか…自分は、人を助けたかったのは…それが正しいと知っていたからだ…人助けは垣根無しにしたい事だった…困っている人を助けた時に、その事を感謝されたから…それを親に話したら、否定意見しかくれなかった…見知らぬ人に声を掛けちゃいけないとか…やった事は偉くても、お前が困った目に遭うかも知れないんだよ…事実、お父さんお母さんは何も困ってないだろう?…と。
それが嫌だった。
子供の頃から親は打算と数字で自分の世界に籠もり、それに気付かず、自分が困らず誰にも注意を受けないから正しいと信じ、結局トラブルに対処出来ない弱い人間と知ったのは、思春期の十四の頃か… 身内の諍いを影でコソコソと罵る事しか出来ない姿に本当に嫌気がさした。
それまでは父も母も何処か良い部分が在ると思い生きてきたが、その時本当に理解した。
自分はこの親と同じ人間になりたくはない。
その為に、力を付けねばならない。
正しい事をやるには力が必要だ。
そう思って、只管に力を付ける事以外やってこなかった…
力を得れば自分の正しい事が叶うと…信じて。
だが、違った。
あの、黒い男の言う通りだった。
今は、その全てを理解してしまった。
自分のやっていた事、信じていた事、仲間達の事、何より自分自身の事…
その全ての事実を知ってしまった今はもう…目的が無くなってしまった。
志良川…お前も大変だったんだな。
お前の姉に負けてるのがコンプレックスで、一番になりたかったのか…お前もオレと同じだな…はは…
最後は自嘲気味に笑ってしまった。
なんということか。
全て終わってから気付くだなどと。
愚かしくて涙が出る。
自分が人間でないと、また理解出来るのが、哀しかった。
これが、求めていた"力"
大事な物と引き換えに得た"力"―
上階全てが吹き飛んだその衝撃波の中心地に、赤守猛也は立ち尽くす―
HUDには-Transcendence-の文字…
猛也は物悲しくその場に立っていた―




