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Dimensional Vibrator -Transcendencer-   作者: 小礒岳人
―Savage Land―
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4

作戦開始―

二人は"ギア"を纏い、敵対者の巣くうビルへと足を踏み込む―

2019年10月下旬 深夜


虎ノ門五丁目 廃ビル1階 正面入口前



周囲がプレディクトルによって閉鎖されたビルは、より一層静かだった。


都心のド真ん中と思えない程に静まりかえり、そこは1988年から時が止まっていた。


バブルの土地買い占めにより住人が減り、バブルの崩壊で放置され、ゴーストタウンと化しているこの地も、国からの再開発計画が上がり、今年(2019年)から着工が始まっている。


だが、一つの問題が()()だった。


正体不明の()()()が、夜な夜なこの再開発予定の虎ノ門五丁目で現れ、作業員に被害を与えているというのだ。


アドヴェルサリィ(敵対する者)…それは、目撃自体なら十五年前からされていた、"Being(次元の) between(狭間に) dimensions(居る者)"…

どのようにして生まれたかは定かではなく、多重次元震動エネルギーでしか斃す事の出来ない存在。


個体パターンは動物の様な個体から、人型まで存在する。

そして、形状は全身が水晶の様に結晶化しており、結晶の中には、様々な"()()()()()()()"が映っている。

例えば腕の部分にあたる結晶は傷付いていたりするが、角度を変えると傷も無い状態、顔であれば苦しんでいたりしても、角度を変えると喜んでいる表情だったりする。

それが虚ろな動きで人に近付いていき、触れられた者も結晶化してしまうというものだった。


それに対するスタッフとチームを一から立ち上げ作られたのが、"プレディクトル"+実働部隊"OUTWAIN"なのである。


そしてこの度国からの正式な要請を受け、初出動となったのである。


"アドヴェルサリィ"達BBD(次元の狭間に居る者)に対抗するために研究された多重次元震動兵器を有する、唯一の組織であるOUTWAINに。


猛也「さて、行くか…」


そう言いながら身を屈め、足早に入り口横の壁に背を付け中を窺う。


正美「…位置に付きました」


そう言いつつ猛也の後方にあるコンクリートの壁に屈み込み、小声で述べる。


マーカス『了解だ それでは各自DVギアとリンクを開始後、作戦開始(オペレーシヨンスタート)


正美「了解」


ギアの耳元に在るスピーカーからマーカスの声が響く。と同時にそう答える。


二人「スタンバイ、リンケージ」


AI『レディ』


二人「マーク…!」


その音声コマンドを入力すると、脊髄反射コネクターが起動し、ギアと肉体が一体化する。

それと同時に(チン)ガードがメットの左右からスライドして現れ、顎の部分で繋がる。そして眼部にバイザー外枠、次いで青いバイザーが下りる。

このリンケージ(連動)によって、ギアのAI、通信、機能面に於いて100%のサポートと、身体能力が四倍に強化、身体の一部と認識したギアの直感的操作、思考するだけで行えるデジタルデータ操作という恩恵が得られる。


麻妃『お二人のギアとこちらのシステムをリンクしました』


そう麻妃が言うと、HUDのノクトビジョンが起動し、明るくなった視界内に、ビル内のデジタルマップが照らし合わさって映る。


視界内には遮蔽物が有りながらも、"赤い点"として()()()()()()アドヴェルサリィが映っている。


それを見た猛也は溢れ出る"()()()()()()()()()()()"を抑えられず、笑みが溢れた。


猛也「…よし…!」


正美「それじゃ、私が射撃でバックアップするから、先ずは正面の個体を狙って近付…」


正美のその言葉を聞く前に猛也は入り口コンクリートの壁から飛び出し、前に出ていた。


正美「?!ちょッ!!」


その正美の制止も届かず、猛也は背中に形成されたバックパックのイオンスラスターを全開に吹かし、高速で一番近くにいるアドヴェルサリィに突っ込んだ。



同刻 フリングホルニ内



麻妃「DVG―02α、単独行動です」


マーカス「構わん それならばそちらに修正だ 彼の戦闘データを最優先」


麻妃「了解です」



同刻ビル内



猛也「ぉおおおぉぉぉッ!」


そして右の拳に力を込めると、右腕装甲が開き、その下のコンダクションオービットに次元震動エネルギーが集まり、発光し始める。


思い切り振りかぶって、打ち抜く様に右ストレートをアドヴェルサリィの胴体にブチ込む。


大型の個体だったか、吹き飛びはしないにしても、その結晶体のボディに衝撃が走る。


続け様に拳に溜まっていた次元震動エネルギーをアドヴェルサリィの胴体部分に、()()()()()()()()()打ち込む。


すると、胴体に振動が起きたかと思うと、衝撃が胴体を貫き、貫いた部分から結晶が内側に折り畳まれ、振動しながら四方八方に四散、消滅が()()()()()()()()()()()()()()()

つまり、消滅方法が()()()()()()()()のだ。


正美「な…!!?」


正美は初めて見るその状態に呆気に取られてしまった。


猛也の独断専行など、バックアップなど、一瞬忘れるくらいに。


猛也「せェェええぇぇッ!」


続け様、猛也は右奥にいるもう一体のアドヴェルサリィに跳躍し、縦に一回転し、遠心力と、今回は物理エネルギーとして変換された次元震動エネルギーを込めた右延髄蹴りを首と思われる位置に、打ち込んだ。


斬り裂く様に左右真っ二つに割れたアドヴェルサリィは、裂かれた内側に折り畳まれ、小さくなったかと思ったら、注入された物理エネルギーで誘爆を起こした。


正美「あッ…アイツっ…!」


その爆発で我に返ったか、正美が最後の一体に向け、Vガンをを数発放つ。


電磁加速された次元震動弾が数発当たると、当たった部分から動きが止まり、消滅が始まった。


更に撃ち込もうと照準を合わせる。が、射線上に猛也が侵入してきた。


正美「!ちょッ…! 赤守ッ!!」


その正美の制止も無視し、右大腿部アーマーに収納されたDブレードを射出し、右手でその柄を握る。


握った瞬間、バイザーの端にDブレードの武装アイコンと"Active"の文字が表示される。

それと共に、反りのある透明な光る刃が形成される。


猛也「ぬぅぅううぅッ!」


そのまま背部スラスターを吹かし、アドヴェルサリィの胴体を横一線、擦れ違い様に斬り抜く。


斬られたアドヴェルサリィは消滅霧散した。


猛也「凄いな…」


一息吐いた後に、刃が無くなったDブレード、DVギアに視線を落としながらそう漏らす。


正美「…アンタ! 何考えてんの…?!」


ズカズカと猛也に詰め寄る。


正美「私がバックアップで牽制するって説明してんのに無視して突っ込んで、挙げ句私が撃ったらそれも無視?! どーゆう神経してんの!?」


猛也「オレ一人で十分だ」


思いも寄らない返答で一瞬間が出来た。


正美「…は?!」


そして苛立ちがMAXになったのか、つい大声で返す。


猛也「マニュアル通りの戦闘なんぞ無意味だ お前の意見通りにやっていたらその間に被害も拡がるし死ぬ人間もいる 聞いていられるか 現にお前は感情が揺さ振られ過ぎだ 一々ギアの機能や敵の状態変化に一喜一憂顔に出しているようじゃな」


正美「なっ…! お前だってさっき凄いなっつってただろうが!」


猛也「別に口に出しただけだ それにこの階の対象は全て殲滅した 問題は無いだろ」


そう言って先に進み出した。


正美「ふっ…!ざけんな! 子供かお前!」


怒りの余り口汚い口調になり、そう罵りながらも、正美の眼からは少し涙が零れていた。


確かに感情が揺さ振られ過ぎているのは事実なのだ。


悔しい。


それが出来ずに、こんな非常識なヤツに心の中を()()()()()のが。



同刻 フリングホルニ内



麻妃「…宜しいんですか?」


状況全てを聞いていた麻妃が、流石にコレはどうなのかと思い、マーカスに聞く。


マーカス「構わない 良いデータが取れた その代わり、録画は残すな 流石にコレは報告出来ないからね」


最後は柔らかく言うと、麻妃は溜息を吐いた。




2019年10月下旬 深夜


アークヒルズ仙石山森タワー スカイデッキ



誰も居ない深夜のスカイデッキのルーフ上鉄骨に佇む黒い影が在った。


??「…」


全身黒いコートで覆っており、無言で下方の廃ビルを眺めている。


そして、少し間を置いた後、倒れ込む様に夜の闇の中へと落下していった。


上階へ登る二人―

其処には大量の敵対者…そして―?

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