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嫌われ者始めました〜転生リーマンの領地運営物語〜  作者: くま太郎


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活躍しても悪い知らせ?

またまた久し振りの更新です。新作を書いたりバタバタしてました

 おかしい。絶対に世の中間違っている。俺は六魔枢を四人も倒したんだぞ。ゲームならちょっとした勇者ブームが起きている頃だ。

 ……いや、勇者でもイケメンでもない俺にブームが来ないのは分かっていた……でも、あんまりだ。


「マルールさんが浮気ってなんだよ。ヴァルムは大将に任命されたばっかりなんだぞ」

 ヴァルムが任命されたのは、対グルウペ戦北東軍大将。

 ヌボーレ家の現状を調査しようとしたのが運の尽き。ヴァルムの恋人兼奴隷のマルールさんが浮気している事が分かったのだ。

 絶対に一波乱起きるって。こんな調査結果、誰にも話せないし、外部にも漏らせない。

 こんな事を相談出来るのは一人しかいない。

◇


「以上が調査結果だ。“愛する奴隷に自由を与えたら、浮気されました”なんて笑い話にもならねえって」

 俺が頼ったのは、谷だ。サンダ先生にはこんな昼ドラみたいなドロドロは刺激が強すぎるし、何もせずにモテるボルフ先生だとヴァルムの気持ちを理解出来ないだろう。

その点医者の谷なら冷静に診断してくれると思う。


「相手は同じ兎人か。しかも経歴は真っ赤な嘘……怪しいなんてもんじゃないな」

 浮気相手は王都にある八百屋で働いているそうだ。しかし、周囲に話している経歴は真っ赤な嘘。故郷の村を出てからの半生は、謎なのだ。

 浮気が始まったのは、例の真実の愛を語らうとかいう胡散臭いパーティーが始まってかららしい。パーティーに招いた講師の教えに感化されたヴァルムは、マルールさんの行動制限を撤廃したそうだ。


「自由に出歩ける様になったマルールさんは城下町に引っ越してきたばかりの幼馴染みと偶然再会。そこから浮気が始まったそうだ」

 幼馴染みとの関係がばれちゃやばいと思ったのか、マルールさんはヴァルムに愛を囁く様になったそうだ。ヴァルムは、それを真に受けて大喜びしているらしい……隷属の首輪でマルールさんを縛るヴァルムはいけ好かない。でもこの展開は、滑稽過ぎて悲し過ぎる。


「隷属の首輪は行動を制限するだけで、洗脳効果はない。自由を手に入れて、万能感に浸っているか……相手の男が唆しているかだな」

 脳内麻薬出まくってラりってるのか。二人が会っているのは、王都だ。いつかはバレてしまう。

そうしたら、マルールさんも相手の男も殺される。今のうちに手を打たないと。


「ヴァルムを説得するか。“隷属の首輪なんかじゃ、真実の愛は得られないんですよ”とか」

失恋を慰める手段には詳しい。だって何回も振られているし。問題は年下で格下な俺の説得に耳を貸してくれるかだ。


「やめとけ。お前とカリナちゃんの仲は、社交界で知れ渡っている。向こうからしたら、上から目線の嫌味だ」

 しかし、このままじゃ絶対にまずい。早急に手を打たないと。

 だって、俺ヴァルムの陣営に所属が決まったんだ……正確に言うと対グルウペ戦北東軍第六師団である。ヴァルムに何かあれば、俺にも害が及ぶ。

 このままじゃ北東軍は、空中分解してしまいそうだ。


「もう少し詳しく調べさせるか。今は軍備の増強に専念したいし」

 他人の心配をしていて、備えが不完全でしたなんて笑えない。笑えないと言えば、俺とカリナのカップル絵姿が売られたそうです。


「そういや前線基地は、いつ作るんだ」

 今は基地の資材を工業ギルドで作っている真っ最中だ。組立てだけ現地で行う予定である。


「下手に動けばグルウぺにばれて、因縁をつけられるからな。国からゴーサインが出るまで、大人しくしとくさ」

 何しろ理不尽な因縁をつけるのはグルウペの得意分野。クレーマーも真っ青な理不尽さなのだ。

 

「……その……ちょっと聞きたいんだけど、ウォーテックにはまだ行かないのか?ルラキ湖にも六魔枢が出るんだろ?」

 おやー、谷君、顔が赤いですよ?これはリベンジのチャンスかも知れない。ここぞとばかりにいじってやる。


「とりあえず、対策工事は着工してるよ……気になる?やっぱり、気になるよね。お前はエルフと接する機会が多いから、分かるよー」

 エルフと書いてアニエスと読みます。でも、丈治の受付窓口と書いてカリナと読むのは止めましょう。


「あの子……ルラキ湖が大好きだって言ってたんだ。水面に朝日が反射する光景、漁に出る帆船の勇壮さ、周辺で採れる果物の美味しさ。あの子の大切な物を守ってやりたいんだよ……丈治、頼む。俺を水の六魔枢退治に連れて行ってくれ」

 谷はそう言うと、俺に頭を下げてきた。こいつは俺の親友だ。何よりアミを救ってくれた恩がある。


「ルラキ湖を周辺に簡易砦ゴーレムを設置する。これで民の被害が防げるし、同時進行で対六魔枢アイテムを制作しているから安心しろ」

水の六魔枢の名はヴェルソー。こいつは神官で、治癒の水を使い無限に回復出来る。倒すには先に治癒の水が入った水槽を壊す必要があるんだけど、ゲームみたいに上手く壊せるか心配だ。

副将の名はイドル。こいつは魔物使いで、大勢の魔物を率いてる。俺がルラキ湖に砦を築いたのは、この為だ。ゲームだと中ボスとの連戦になるが、水上で囲まれたらやばいと思う。

(問題は誰を連れて行くかだよな。谷とアニエスさんは決定だとして、後は誰が良いんだろ?)


◇

 まずい。絶対にまずい。これは地雷を踏んでしまった。そんな訳で、オリゾン名物緊急会議の開催です。

 今日の参加者はボルフ先生、サンダ先生、谷、ロッコーさんの四人。参加者を男に限定したのには訳がある。


「まず今配布した資料を見て下さい」

 資料に書かれているのは、ヴァルムとマルールさんの関係。そしてマルールさんの浮気である。


「奴隷に自由を与えたら、裏切られたんですか。これでは悪趣味過ぎて寓話にもなりませんよ」

 奴隷制度を毛嫌いしているロッコーさんは辛辣だ。いや、俺もマルールさんには同情しても、ヴァルムには同情しないよ。


「これ位のスキャンダルで、大将は変わりませんよ。マルールさんには申し訳ありませんが、敢えて火中の栗を拾う必要ないと思います」

 サンダ先生の意見は冷静その物だ。出来れば俺も拾いたくない。でも、このままじゃ栗の皮が弾けて、俺の顔面にクリーンヒットしちゃうんです。


「しかし、この姉ちゃんはなんで浮気するかね。適当にあしらっておけば食いっぱぐれないってのに」

 ボルフ先生は興味自体がないらしい。俺も巻き込まれない為に調査していたんだけどね。


「ジョージ、これこの間と同じ資料だろ?……まさか、何か分かったのか!」

 分かったってもんじゃない。出来れば知りたくなかった。


「まずマルールさんの手引きをしていた奴が分かりました。リガエネ・リッサア、ヴァルムの親衛隊にいる騎士です」

 リアッサ家はヌボーレ家に仕える騎士で、リガエネは三男。以前はボーンタ派に所属していた。


「親衛隊が裏切ったのかよ……そいつって、確かお前に商会への紹介状を書いてくれって言った奴だよな」

ボルフ先生の言う通り、リガエネは奴隷にデレデレなヴァルムを嫌い、紹介状を書いてくれと頼みに来た事がある。


「ええ、あの頃はヴァルムを毛嫌いしていました。それが今や親衛隊一の忠臣だそうです。マルールさんの護衛を任される位のね。そして真実の愛を語らうパーティー、それを提案した男を紹介したのもリガエネだそうです」

 正に獅子身中の虫って奴だ。恋人と忠臣どっちの気持ちも偽物と分かったら、ヴァルムはどうなるんだろう?


「待ってください。それ程の伝手があるなら、どこの商会にでも入れる筈ですよ……まさか?」

 流石はサンダ先生、勘付いたか。さあ、胃の痛みを共有しましょう。


「ええ、背後にグルウペがいました。恐らくリガエネは最初から裏切る為に、ヴァルムの騎士になったんだと思います。そして例の幼馴染みもグルウペにいた事が分かりました……この手口に覚えがないですか?」

 人を手玉に取り、心を壊す事を至上の喜びとする男。


「ブリスコラか。グルウペは奴隷を持ってるだけで、いちゃもんをつけてくる。ヴァルムは格好のターゲットだよな」

 魔王軍総司令ブリスコラ、ファルコ伯爵の孫イリスさんを使ってオリゾンとフェルゼン帝国を仲違いさせようとした奴だ。

 早めに手を打って、なんとかしないと。


「会議の最中失礼します。ヴァルムがマルールに刺されました」

 会議室に飛び込んで来たのは、フーマ三姉妹の次女紅葉……時すでに遅し。


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