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嫌われ者始めました〜転生リーマンの領地運営物語〜  作者: くま太郎


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パペータ戦

久し振りの更新です

胃が痛い。パペータが攻めて来るまで、待たなきゃいけない。しかも、今回は配下にも大勢参戦してもらう。死者が出たらその人のご家族に申し訳がたたない。

 結果、気分を紛らわせる為に、パソコンに向かう。そう、フライングシップの内装を変えて、事務仕事を出来る様にしたのだ。


「ジョージ、工業ギルドの職員が呼んでるぞ……ったく、こんな時まで仕事か?お前は大将なんだから、でんと構えてなきゃ駄目だろ?」

 そんな俺に声を掛けて来たのはボルフ先生。きちんとどっしり座って予算案を作ってるぞ。


「次の仕込みですよ。そろそろ国からグルウベとの戦いに参戦しろって命令が来そうですし」

 家格は低いけど、軍備で言えばボーブルはオリゾンでトップテンに入る。嫌でも参戦させられるだろう。

 食糧や医療品を準備しておかなくてはいけないのだ。問題はそれをどこに置くかだ。グルウベには持っていけないし、ボーブルから運んでいたら時間もコストも掛かり過ぎる。


「戦争になったら、確実にお前を潰しに来るだろうな」

 フェルゼン攻略を邪魔した上に、六魔枢と副将を倒した男……絶対にブラックリストに入ってるよね。だから先手は打ってある。


「活躍出来そうな陣地は有力貴族様にお任せして、うちは後方支援に徹しますよ」

 コネフル活用でそうなるように働きかけているし。

俺には軍を指揮する才能なんてないのだ。もしかしたら秘めた才能があるかも知れないが、現場で試す度胸なんてない。


「噂じゃ、ヌーボレ伯爵のヴァルムが大将の一人に選ばれたらしいぜ」

 ヴァルム・ヌボーレ、ヌボーレ伯爵家の長男。でも奴隷のマルールさんを溺愛して、結婚をしないので後継ぎレースから脱落しかけているそうだ。


「戦で活躍すればマルールさんを正妃として認めるなんて言われたら頑張るでしょうね」

 付き合わされる部下はいい迷惑だろうけど。


「獣人が貴族の正妃か……お前、カリナの嬢ちゃんに捨てられたら、後がないって事分かってるか?たまにはデートでも誘わないと振られちまうぞ……さあ、工業ギルドの所にいくぞ」

 言いたい事を言ってボルフ先生は出て行った。

そんな事、言われなくてもわかっているよ!でも仕事が忙しくて、時間がないの……これじゃ、家庭をないがしろにして三下り半を突きつけられた社畜の言い訳だ。

落ち着いたらカリナをデートに誘おう。

 デートプランを考えながら、工業ギルドの職員がいるテントにへと向かう。


「おい、ジョージ。この悪趣味なゴーレムはなんなんだ?」

 ボルフ先生の視線の先にあったのは、俺が開発依頼をした新型ゴーレム。身長はほぼ俺と同じ、ついでに顔も俺に似せてある。まあ、そばかすがあれば俺とそっくりになるんだけどね。


「お前(じょうじ)の顔を模したゴーレム。影武者にでもするつもりか?」

 谷君、ある意味正解です。まあ、生きた人間を影武者にしたくないし。


「影武者兼盾だよ。弓矢で狙われたらやばいからな」

 プラモを参考に作っており、少ない魔力で動かせるのが利点だ。マイナス点はプラモを参考にしているから、動作が限られるって事。俺そっくりな操り人形のようなものだ。


「ジョージ様、畑の土を固め終わりました」

 ジョージ人形の動作テストをしていると、サンダ先生が話し掛けて来た。予めサンダ先生に頼んで目の前にある畑の土を魔法で固くしておいてもらったのだ。


「ありがとうございます。それじゃ、ゴーレムジョージを畑の真ん中に移動しますね」

 魔力を流し込み、ゴーレムジョージを歩かせる。目指すはサンダ先生が設置してくれた魔法陣。


「ゴーレムだから仕方ないけど、無表情のまま動く姿は不気味だな……あれ、改造すれば人体模型に代用出来るんじゃないか」

 谷がとんでもない事を提案してきた。理科室に一体ゴーレムジョージを設置……落書きされてたら、領主様泣いちゃうぞ。


「絶対に反対だ!そろそろ持ち場についてろ。全員が持ち場に付いたら、幻覚魔法を詠唱。姿を隠すぞ」

 谷はアニエス率いるエルフ魔術師隊に同行する。サンダ先生には工業ギルドの職員を率いてもらい、ボルフ先生にはアサシン部隊を率いてもらう。


◇

 アーシック城から、昼を知らせる鐘が聞こえてきた。アーシック城では、これから昼休みな筈だ。


「ジョージ、陸王丸が立ったよ。あたい、みんなに知らせてくるね」

 流石は獅子人のカリナさん。陸王丸の動きに敏感に反応してくれた。


「交代時間の隙を付いてきたでござるな。戦時中だから、もっと緊張感を持って欲しいでござるよ」

 凛が呆れた感じで溜め息を漏らす。アーシック家と同格の風継の人間だけに遠慮がない様だ。


「ふわー、デカいだな。あれ、魔法も効かないんだよね」

 ドンガが陸王丸を見上げながら、呟く。でも、怯えた様子はなく、しっかりと戦闘態勢に入っていた。


「陸王丸の体には魔法を弾く仕掛けが施されているからな。ついでに半端な武器だと傷一つつかない」

 ゲームだとベルの涙に反応して動きを止めるけど、ここにベルはいない。いても泣いてくれないと思う。


「予想通り、真っ直ぐこっちに向かって来ている……しかし、歩幅がでかいな」

 陸王丸と俺達の間にあるのは森と畑だけ。人家を巻き込んだら、補償費を払わなきゃいけない。それがこの場所を選んだ理由の一つでもある。


「ジョージ、全部隊準備オッケーだよ。ボルフ先生から伝言“陸王丸の背後に魔族の部隊を確認。お前達を蹴散らした後、アーシック城に攻め入るつもりらしいぜ”だって」

 多分、陸王丸が勝手に動いた事でアーシック城はパニックになっているだろう。挟撃には期待しないでおく。


「後数分で陸王丸がゴーレムジョージを踏み潰す。工業ギルドの職員、バックパック構え。サンダ先生、指揮をお願いします」

 ゴーレムジョージの足元にある魔法陣を設置したのは、他ならぬサンダ先生だ。


「おいおい、領主が一人で挑んでくるのでちゅか。お望み通り潰しちゃお」

配下に良い所を見せたいのか、パペータが声高らかに宣言する。そしてゴーレムジョージが陸王丸に踏み潰された。人形と分かっていても、切ない。


「魔法陣への魔力遮断……放水開始。タニザキ様、お願いします」

 バックパックから放たれた水で陸王丸だけじゃなく、パペータもずぶ濡れになっている。


「冷たっ!これは水?」

 そう、水です。魔法で作った物じゃなく、正真正銘ただの水です。


「魔術師隊第一師団、アニエスに続いて雷魔法の詠唱開始。続いて第二師団はコントロールウインドウの詠唱準備に入れ」

 谷の堂々とした指令にエルフが頷く。流石は将来の婿様だ。


「ばーか、陸王丸には魔法は効かないんだよ。当然、俺様にも効かない」


「先生、見ていて下さいね。雷神エレクト・パウワー様に願います。その御力を雷刃と化してここにお示し下さい……エレクトブレイド!」

 次の瞬間、耳をつんざく様な音がして、巨大な雷が陸王丸を襲った。


「お前はマジックアイテムで陸王丸を操っているんだろ?陸王丸は魔法を無効化出来るかも知れないが、お前のマジックアイテムは違う。雷は水を伝って、ご自慢のマジックアイテムに集中。黒焦げになるんだよ……谷、頼む」

 マジックアイテムが黒焦げになれば、陸王丸の操作は無効だ。そしてここはドラ糞を使ったフカフカの畑。


「コントロールウインドウ、方向は真後ろだ……今から逃げても、畑に足を取られるから、遅いぜ」

 集団詠唱の威力もあり、陸王丸は魔族の軍団目掛けて転倒。結果、大勢の魔族が潰された。


「さてと、残りはパペータお前だけだ。工業ギルドの職員は弓を構え。魔術師隊は得意な魔法を詠唱。アサシン部隊は投げナイフの準備……それでは、攻撃開始っ!」

 我ながら見事なオーバーキルだ。生き残った魔族も散りぢりになって逃げていった。残ったのはもう動かない陸王丸とパペータから取れた汚れた魔石だけ。


◇

 パペータから取れた魔石を持って、目指すはアーシック城。


「ジ、ジョージ殿、パペータ討伐、大義であった。これが六魔枢の魔石か……コーカツ様やイジワール様の魔石と大分違うな」

 アーシックの王様ランドさん、魔石の汚さにドン引きです。

 

「有り難いお言葉感謝に堪えません。あの魔石は我が領で一度浄化をしましたので」

 だからと言って今回もやるとは言わない。そしてランドも頼み辛い筈。なにしろクロガネ戦が無報酬だったことが社交界で噂になり、アーシック家の評価が急降下中なのだ。

 開いて良かった。物産展!


「……その、言いにくいんじゃが、浄化も頼めるか。無論、ただでとは言わん。好きな褒美を取らせる」

 来た。俺が頼む事はもう決まっている。


「それでしたら廃鉱山の経営権、並びにアーシック領に前線基地を築く許可を願います」

 鉱山は既に候補が決まっている。前線基地をアーシック領に作れば、治安維持の責務はアーシック家になるのだ。


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