第十九話 俺とは遊んでくれないのに
「最近、サイモンとよく遊んでるらしいな」
ある日、ダニーが、どこか拗ねたような口調でそう言い出した。
「誰から聞いたんだよ、それ」
「サイモンから聞いた。二人でよく飯行ってるって」
「行ってるけど、それが何だよ」
「僕とは全然遊んでくれないのに」
あまりに理不尽な言い分に、カインは思わず呆れた声を出した。
「お前の誘いは、大抵合コンだろうが。めんどくさいんだよ」
「そんなこと言うなよ!」
ダニーの目に、みるみるうちに涙が溜まっていく。
「事実だろ。お前が誘ってくるの、大体女絡みか、面倒事のどっちかしかねえじゃねえか」
「そんなことない! たまには普通に飯だけのときもあるじゃん!」
「その普通の飯のときも、大体お前が余計なこと言い出して面倒になるだろうが。 二時間並んでマズいラーメン食わされたの忘れてねーぞ」
「ぐお”お”お”お”ぉぉーー」
ダニーが、盛大に泣き出した。
「なんで泣くんだよ、これ」
「だって、僕だって、ただ普通に遊びたいだけなのに……」
「普通に遊びたいなら、普通に誘ってこいよ。変な下心とかお節介とか挟まずに」
「……そんなこと言われても」
ダニーは、鼻を啜りながら、なおも不満げな顔をしていた。
「サイモンとは、そんな面倒なことないから遊びやすいんだよ」
「うう……なんか悔しい……」
その悔しがり方に、カインは、少しだけ毒気を抜かれた。
「まあ、お前が変なことしなきゃ、普通に飯くらい行ってやるよ」
「ほんとに!?」
その一言で、ダニーの表情が、途端に明るくなった。
「その代わり、変な合コンとかお節介とか、一切なしだからな」
「分かった! 約束する!」
あまりにも簡単に機嫌を直すその様子に、カインは、なんとも言えない気分になった。
(この約束、どうせ守られねえんだろうな……)
その予感は、当然のように、後々証明されることになる。




