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愚王と呼ばれた男  作者: 中原九尾


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第十六話 最近どうしてんだろうな

「そういえば、この前愚王に合コン誘われて、散々な目に遭ったんだけどさ」


 FPCの休憩室で、カインがノアにそうこぼした。


「また何かやらかしたのか、あいつ」


「柄悪い客に自分から絡んでって、店追い出された。女の子たちにも普通に引かれて終わった」


「相変わらずだな……」


 ノアが、呆れたように笑った。


「そういや、最近愚王から連絡来る?」


 カインがそう尋ねると、ノアは少し考えるような顔をした。


「俺のとこは、たまにだな。まあ、俺は妻子持ちだし、合コンとかそういう誘いはさすがにしてこないんじゃないか」


「ああ、それはそうか」


「ブルーノは?」


 カインが、少し離れた場所にいたブルーノに声をかけると、ブルーノは首を横に振った。


「特にない。もともと、そんなに仲良くなかったし」


 その一言で、カインは何となく察した。ダニーからしつこく連絡が来ているのは、どうやら自分だけらしい。


「なんで俺だけ、こんな貧乏くじ引いてんだろうな……」


 カインがそう漏らすと、ノアもブルーノも、特に同情の言葉をかけるでもなく、それぞれ仕事に戻っていった。


 愚王がFPCを辞めて月日も経ち、ノアとブルーノの口からダニーの話題が出ることは、めっきりなくなっていった。


 それからしばらく経ったある日、先輩の女子社員が、カインに声をかけてきた。


「そういえば、この前、街でダニーくん見かけたよ」


「へえ、そうなんすね」


「可愛い女の子と一緒にいてね、なんかすごく楽しそうだった」


「へー、そうなんすねー」


 カインは、興味なさげにそう返した。だが、内心では、少し別のことを考えていた。


(合コンか何かで、また女ひっかけたのかな……)


 幻のクンニテクと18cmを、披露する相手が見つかったのだろうか。想像すると、なんとも言えない気分になった。


(あの合コンの一件以来、ほとんど連絡ないけど……まあ、元気にやってんだろうな)


 カインは、そんなことを思いながら、特に気にする様子もなく、仕事へと戻っていった。

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