第八話 さぁ、はじまりだ
残酷な描写注意です…!
「どうしたの?李仁ねーさん。ねーさんが呼んでくれて!僕!凄く嬉しいなぁ!」
崖上の、下に花畑がある場所。李仁がよく、一人になるために来る場所に白玖を招いた。
_空洞のような瞳の李仁と、勇気、愛情、友情に満ち満ちている白玖。
「でも、ホントーに珍しいね!どうしたの?何かあった?」
ニパッと花が咲くように、太陽のように笑う白玖。
_吐き気がする
「なんでもないさ。あのね、ここの下は花畑なんだよ。風が下から上に吹くと、花びらがここまで来るんだ。それを、見せようと思ってね…」
_あくまで優しく、毒は甘く。口に含めるように。
「下、見ててよ」
指を指す。そうすると、人間はそれを追って視線がそっちの方向を見る。下の方向を。
「ごめんね、もう嫌なんだ」
白玖の背中に縋るように抱きついて―
【サヨウナラ】
―――ドシャ
✿
「父さん!聞いて!白玖が!白玖が足をすべらせて崖から…!」
白々しいが血相を変えるフリをして父親の書斎に入る。
「あんなに…あんなに可愛くて…真面目な白玖が…どうして…!!」
母親は泣き崩れた。
_そこから先は、記憶がない。
どうしてちゃんと見てなかったのと怒られたのか、どうしてそんな危険なところにと悲しまれたのか、お前のせいじゃないと何も知らない父親に慰められたのか。
✿
「オェッ…!」
トイレで便座をつかんでえづく。
_吐き気が止まらなかった。
人を殺したからではない。何も思えなかった。義弟とは言え、家族を殺したのに。
「吐き気がする」
_家に、いられなくなった。顔を合わせる回数が減っていったから。白玖の話題で持ちきりで、見てくれなくて、死んでもずーーーーーっと、オレは白玖に叶わないと分かったから。




