第四話 石頭頭突き
「李仁…?」
琳は初めて見た。李仁のあの顔を。狂おしくて愛しくて憎たらしいものを見るあの顔を。
「ふふふふ、アハハハハハ!やっぱ生きてたか!」
いつもは飄々としていて笑う時もぶふっと吹き出すように笑うだけなのに。
琳は怖かった。李仁がではない。それを知らなかった自分が。李仁はもともとトチ狂ったやつなのでそこまで怖くない。むしろ納得。ただ、それを知らなかった自分が怖い。李仁と出会ってはや数年。
それなのにまだ知らぬ一面がある。琳は、俺、李仁のこと何も知らないんだなと分かってしまった。感じてしまった。だから、怖かった。それを知ろうとしてない自分が。蓋をしてきた自分が。
「り、李仁」
声をかけても笑ってばっかりで無視。腹が立った。大体、お前がここに来たいって迷ったーなんて言わなくても言えばよかったのに。イライラしてきた琳。
「おいコラァ!李仁!!」
琳は李仁の胸ぐら掴んで全力頭突き。ちなみに琳は石頭である。
「いっっっっっっってぇぇぇ!!!!?」
ようやく現実に戻ったらしい。
(酷くね!?酷い!オレ、ちょーっとセンチメンタル?だったか分からんが!とにかく、そーゆー感じになってただけなのに!)
「なんで頭突きした!?言い訳によっては殴るぞ!!」
涙目のまま言っても怖さ半減である。
「殴ってみろよ!カワイーカワイー林檎ちゃんだぞ!こちとら!」
胸を張る。恥じらいのかけらもない。
「なんでそんなに自己肯定感高いのかね!?」
凄く不思議である。
「大体!お前分かりにくすぎ!街に来たいなら、街に来たいですくらい言えよ!」
一周回ってどうでもよくなって思ったことぶちまける琳。
「プライドてきにそれはノーだ!」
間髪入れずに反論する李仁。
「プライドてきにってプライドくらい捨ててみせろ!漢だろ!」
謎理論を展開。
「女だよッ!!」
正論で殴り、しばらくギャイギャイしてたら
「李仁ねーさん?」
李仁と対照的な短い綺麗な白い髪、黄色の瞳の小柄な青年、白玖が恐る恐るといった形だが話しかけてきた。




