第三話 迷ったな!これは!
「…なァ、林檎ー」
退廃の森をうろうろして十分以上。これは完全に
「迷ってねぇか?」
ギクリと琳の肩が揺れる。
「ナンノコトカ、ワカランナ」
琳は振り向きざまに笑顔を浮かべようとして失敗したみたいな笑顔を浮かべる。
(片言にその笑顔…わざと迷ってるんだな。伊達にずーーーっと一緒にいるだけとは思うなよ?)
猫みたいなものである。困っちゃうなーって言われたいみたいな感じ。
「困っちゃうなー、オレ。林檎がちゃんと道案内してくれねぇと、林檎の飯食えねぇ」
さっきのよくやったって褒められたいんだろうが、まだ褒めねぇよと言わんばかりの顔である。
「チッ。分かってやってんだろ」
舌打ち。あのカワイー(?)琳が。
「はいはい、また今度な、褒めるのは♡」
琳はその言葉に返事はせず、そのまま家へと道案内し始めた。
「助かるー♪」
_その数十分後
「マジで迷ってんじゃねぇか」
焦りまくってる琳。腹が減ってイライラしてきた李仁。地獄とはこのこと。
「腹減ったー!イライラするぅぅーー!!」
ガシガシと頭をかきむしる李仁。
「赤ちゃんかよ」
「おう!赤ちゃんで悪いか!!」
認めんなよと琳は頭を抱える。
「あともうちょい…いや、いいや。灰使う」
李仁はその手を止めて。
「勿体ないぞ、そりゃあ。腹立つが、腹が減って超腹立つが」
じゃあどうすんだよと聞く琳。分からんと答える李仁。詰んでる。
「来た道戻るかぁ。あのガキが行った方向に街があるだろ。街行けば分かるし。地図とかもらえば」
李仁はくるりと背を向けて歩き出す。
「なぁ、李仁」
一つ、気になることがあるらしい。
「なんで迷ったんだ?いつもは迷わないのに、お前がなんかしただろ」
ニヒルに笑う李仁
「秘密ー♪」
またそれだ、また秘密。腹が立つ。
「…ここで声を荒げても何もならんことくらい知ってる」
ぎゅっと拳を握りしめて
「乗ってやるよ」
(それでこそ、オレの琳だ。オレの自慢。あいつらとは違う。オレだけの琳)
「じゃ、行こっか」
✿
「大きな街だな…」
王都…とまではいかないが、それに近い街、水色街である。
ここの街は、名前の通り、住民の色通力がほぼ全員水色なのだ。
「…いた。いた!!」
ずーーーっとキョロキョロしてた李仁がある一点を見つめて動かない。
(見つけた…また会えたね、嵐神白玖)
「オレの憎くて憎くて愛おしくて狂おしい最愛の弟よ」
ニヒルなような壊れたような笑顔を浮かべた。




