第二話 ね、オレの自慢
残酷な描写ありです、ご注意を!
家から外に出て、生い茂る草木をかき分けながら進む。時折、上空にいる鳥たちが木々の間を縫うようにして飛行し、楽しげに遊んでいる声が聞こえる。
「今日のお客サンはー?」
李仁はいつも通りの毒がある笑顔で聞く。
琳は灰を取り出して握りつぶす。
「今日は…ここ退廃の森から数十キロの街だな」
琳。名字なし。性別男。色通力は灰色を通しての索敵。
(これがまた便利なんだよなー。お客サンの場所が一発で分かる)
やっぱり琳はいいコだと思いながらニヒルに笑う。
「りょーかい。んじゃ、今日も今日とてイイコトしますか」
背伸びをする。猫が日向ぼっこスポットを見つけてうーんと伸びをするみたいに。
「イイコトって…」
呆れてますと言わんばかりの顔である。
「イイコトだろ。善行なんだから♡」
塵も積もれば山となるってやつだと笑う。
「その善行は、はたから見れば狂気の沙汰なんだがな」
やれやれと言いながら、付いてくるところ、本気で嫌がってるわけではない。ただ琳は常識人ぶりたいだけだ。
「灰魔なんて普通なら捕まえるかその場で即殺処分だろう?…研究材料になるか死ぬかならオレは死ぬを選ぶな」
痛すぎて無理だろうしと言う呟きは聞かなかったことにしてあげよう。
「そんな灰魔助けてやってんだからさ、そんなぶーぶー言うなって」
灰魔。色を妬んで襲ってくる化け物。形は色々ある。ドロドロだったり、獣みたいだったりと。ホントーーーーに様々だ。
「ま、オレの力は色を与える力だ。全てを黒に染める。灰魔に色を上乗せしてやるんだよ。黒と言う色をな。これ以上ないほどのイイコトだろ?」
墨汁ケースをとんとんと叩く。
「…一つ気になるんだが。色がないから灰魔なんだろう?上乗せじゃないじゃないか」
必ずする質問である。いつもいつもはぐらかせられるが今日こそはと。
「それはまだ秘密ー♪」
口笛交じりにそうキッパリ言われてしまい、それ以上食い下がっても何も得られないことを知って、口を閉じた琳。賢明である。
_数分歩いてたら
「いたぞ、灰魔」
指を指す。その数十メートル先に獣型の灰魔が子供を襲っていた。
(助けなきゃーとか言わないんだな。流石オレが育てた子。情はあっても怖いだろうにとかの感情移入はしない)
何も感じないようにしてる二人である。他人と割り切れるのがいいとこなのか悪いとこなのか。
「…イイコトしに来たんだからヒーローするかァ」
墨汁から墨を取り出して、それを操る。
「黒操術」
狼のようにして灰魔を噛み千切る。
「灰魔の特徴その一。2色攻撃しないと死なないから、いくらでもサンドバッグにできる♡」
灰魔に一歩近付く。黒曜石のような髪が揺れる。
「灰魔の特徴その二」
噛み千切られた灰魔は少しの時間をようしてから復活し、李仁の方を見てガルルと唸る。
「形によって鳴き声が違う!」
ドヤ顔である。李仁のドヤ顔は顔だけはいいのでまぁまぁ…まぁまぁである。
「どーでもいいわ。んなこと」
その言葉を一刀両断しながら琳は子供に駆け寄り。
「支えてくれ、灰色」
灰を握り潰し、黒い光が溢れる。それが子供を包み、回復させてる。
子供は治り次第、退廃の森の魔女たちだと泣きながら逃げるように何処かへ行った。
「酷くね?」
眼の前の灰魔から目線を子供の背中へと変えて琳に言う。
「酷いな、珍しく優しく治してやったのに」
いつもの琳の治療は逆再生なので痛みありである。楽らしい。逆再生の方が。
2人でぶーぶー言ってたら灰魔が無視すんじゃねぇと言わんばかりに襲ってきた。
「おっと」
李仁はサラッと踊るように避ける。
「おわっ!?」
琳は驚きつつ少し見苦しいが避けた。
「そろそろ、片付けてフツーに戻してやるか」
カワイソーだしなと可哀想と微塵も思ってない顔で灰魔の頭を掴みニヒルに笑う。
「大丈夫大丈夫。痛いのは30秒。すぐ終わる」
バリバリッ゙と紫電とともに音がなる。
「グォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙!!!!」
悲痛な雄叫びを上げながら転がりまわろうとする。
「ほらほら、我慢我慢。な?」
低く威圧する声。指一本動かせなくなる冷たい海の奥底のような死を連想する声。
ピタリと動きをとめる灰魔。
「イイコイイコ!」
ニカッと人好きが良さそうな笑顔を浮かべて、頭を撫でてやる。その頭に指を食い込ませながら。
「色染め」
灰魔の灰色の体が末端から黒に染まる。徐々に、徐々に。侵食するように。
「はーい、終わり。またな」
このまま放置。そうしとけば治るらしいと琳は前に言われた言葉を思い出してる。
「帰るぞー」
「おう」
気ままにとか言いながらめっっっっちゃ時間経っての投稿です…その通りになってますね!




