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不正規なエリア移動

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 長いこと森で戦って【魔力循環】の風属性纏いの検証は終了した。

 まず飛び道具系に対する耐性は、風の膜に飛び道具が触れると魔力を消費して風の膜の勢いが強くなり、それで適当な方向に弾き飛ばしてくれる。

 蜘蛛の糸はそこまで速度が出ているものではないのでMP消費はかなり少ないようだったが、もっと早いものを弾き飛ばそうと思ったらMP消費も馬鹿にならないような気がする。

 そして物理攻撃を勝手に避けてくれる機能は、空気中に漂う埃の気分になれるものだった。

 浮いている埃を掴もうとして勢いよく手を出すとふわあってなる感じ。

 そんな感じで敵の攻撃を避けてくれるので回避スペースさえあれば物理攻撃はかなり避けやすいと思う。

 オートで避けてくれる感じがあるのでさらに自分で回避行動を取ればよっぽど広範囲の攻撃以外は怖くないんじゃないだろうか。

 魔法攻撃は妖精の種族特性として軽減されるし、魔法系ステータスは高いはずなのでさらに軽減だ。

 高い回避能力に高い魔法耐性。ついでに体が小さいから狙いにくいし妖精ってもしかしたら最強種族なのかもしれない。

 それじゃあこの調子でボスの狼を倒しに行くとしようか。



 死にました。一瞬で。

 狼の鋭い爪が風の膜を切り裂いて普通に攻撃が当たりました。

 一定以上の速度の攻撃を持っている攻撃がダメなのか、斬撃がダメなのかは分からないけど無敵って訳でもないみたいだ。

 デスペナルティは30分の間HP最大値が1に固定されるというものだ。

 マスクデータが多いためステータス減少とか経験値没収とかはやりづらかったのだろう。

 ちなみに死亡によりストレージ内のアイテムが失われたり所持金が減ったりということは無い。

 ステータスがプレイヤー自身ですら大まかでしか分からないのでデスペナルティは割と軽いものになっている。

 これでデスペナルティが重かったらプレイヤー達は安全なフィールドに篭もり始めてしまうからね。

 ということで物理攻撃に当たったら即死の妖精ライフではそこまで意味が無いペナルティだ。

 魔法が出てくるようになるとデスペナ中は辛いけど、今は敵からの魔法攻撃ないしね。


 デスペナ中に生産活動とか街中でやれるスキル上げをできるようにSPもMPも減らさない設定をした運営は妖精に優しいなあ。



 一度死んだらもうアレだよね。

 長生き記録とかもうどうでも良くなる。

 ということで【魔力循環】に関する検証をなんとなくしてきました。

 検証相手はボス狼です。

 風の膜は遠距離攻撃に反応して自動で分厚くなったりするので自力でMPを注いで分厚くしてみたところ、分厚くすればボスの攻撃もよけられるらしい。

 というか普通に受け止めてた。

 代わりに消費MPが凄くて一気にゼロまで行ったけど。

 死んで生き返ってMP全快になった後は多分効率が良いスキル上げを行った。

 スキルを使うとスキルが強くなる――つまりスキルレベルが上がるということ以外詳しい条件がわかってないので【魔力放出】で放出するMPの量を馬鹿みたいに増やして街から吹き飛んでみたんですよ。

 そうしたら森のボスである狼を倒さないと行けないはずの山岳エリアにたどり着いてしまいました。

 ゴブリンがいるエリアとは違って森を抜けた先のなかなか敵が手強くなってくるエリアですね。

 出てくる敵は森から出てくるモンスターと二足歩行の犬のコボルト、ほとんど岩で出来ているロックアルマジロと同じく岩をまとっているロックコンドルだ。

 

 ここの敵は全部『獣』系素材を落とすので【使役術】の素材集めには便利だ。

 さらにポップ数は少ないが狐も出るので狐も倒して召喚傾向を操作するレアドロップアイテム入手を試みることが出来る。

 ちなみに、全モンスターに設定されていると思われる召喚傾向操作アイテムだが、うさぎと狼合わせて400体近くは倒しているが、2個しかドロップしていない。

 単純に200体に1個ということだな。

 MMO的にはそこそこ良心的なドロップ率だけど出にくいものは出にくい。

 頑張って狐を倒そうと思う。


 まあ、でも狩りの前にバグ報告だよね。

 左手首の腕輪からメニューを呼び出して報告する。

 詳しい過程は運営側がログをたどって調べてくれるので本当に軽くでいい。

 報告をしてから5分くらいすると、運営からメッセージが届く。

 バグの結果受けた損害を補填するためだったり、エリア移動をしてしまったユーザーを正しい位置に戻してくれたり、バグで有利な状況になったプレイヤーをバグが起こる前に戻して適当なアイテムをプレゼントしたりという感じだな。

 メッセージを開くと、簡単にまとめるとこんなことが書いてあった。


「通常の手段で帰ることは出来ないから死んで街に戻って。バグは修正しておくけどエリア移動はそこまで重大なものでもないから特に対応はしないよ。今度しっかりボス狼倒してね」


 うーん。普通に街に戻して何らかのアイテムをもらいたかった。

 もうそろそろログアウトの時間だけど少しだけ狩りをしてみようかな。


 ということでとりあえずロックアルマジロから。


 ごろごろごろと丸まっているロックアルマジロは防御力が高くなっているので腹ばいになって休憩しているロックアルマジロに狙いを定めて弱点魔法の風で攻撃する。

 【魔力循環】で風を纏っているおかげか親和性も上昇しているようで、ロックアルマジロを風の塊の一撃で撃破することが出来た。


 【精霊魔法】は属性魔法などと違い、効果がある程度決まっているスペル(アーツと似たようなもの)が存在しない。

 そのため使用者のイメージで大体の効力が決まる。

 といっても『親和性』という隠しパラメータが低いと碌な魔法が使用出来ないのだが。

 そして今回使った風の塊は属性をつけるとすれば『風』と『打撃』だ。

 ロックアルマジロは斬撃に耐性があるため、風の刃では撃破できなかった可能性もある。

 【精霊魔法】は『親和性』を確保できればスキルひとつで複数の属性を扱えて自由度も高い便利な魔法だが、手札の選択を誤ると属性魔法にも劣ることになる難しい魔法なのだ。

 エリミネイトの指輪で『親和性』を稼げていなかったら『親和性』上げが必要だったので立ち上がりが難しかったと思う。

 

 よし、次はコボルトだ。

 【魔力循環】の属性を火に変更して山を掘っているコボルトに着火。

 やっぱり動物型のモンスターは基本的に火に弱くていい。

 火属性は融通がききにくいかわりに火力だけは随一だ。

 それが弱点属性ならばその火力はかなりのものとなる。

 とりあえず魔法系のキャラは金策用に【火魔法】を取得してうさぎとか狼とか蜘蛛とか燃やして金を作って装備を揃えるのが基本となっているくらいだし。

 さて、燃えたコボルトの香ばしい匂いにつられてロックコンドルが。

 ロックコンドルは岩で体が覆われている鳥だ。

 鳥系モンスターの基本的な弱点は風で、岩系モンスターの弱点も風なのだが、こいつは風属性で攻撃するより濡らした方が楽に勝てる。

 一撃で倒せる火力があるのなら風属性でいいのだが、ステータスが見えない以上安全策で行きたい。

 鳥系モンスターと戦う時は羽ばたきによって起こる風による体勢崩しに気をつけなくてはならない。

 ロックコンドルはそこまで大きくなく、普通ならば気にしなくてもいいのだが、こっちは妖精で相対的にかなりの大きさとなっているから一撃で倒せないと辛いのだ。たぶん。

 

 ということで水球ドーン。

 燃えたコボルトをつついていたロックコンドルが驚いて飛ぼうとするが、濡れて重くなったロックコンドルは飛び立つことが出来ない。

 ロックコンドルは自分を飛ばすのでやっとなほど体重が重く、餌を巣に持ち帰ることすらできないモンスターなのだ。

 そのため、何らかの手段でさらに重くしてあげればただの的になる。

 そんな的に風の塊を叩きつけて撃破だ。


 ……一応このエリアでも通用するみたいだな。

 狐は火に耐性があって弱点を突くことが出来ないのでどうなるか分からないが、確か火の魔法とデバフを与えてくるタイプだったと思うけど妖精の魔法耐性があれば余裕だろう。

 とりあえず敵に狙われなさそうな木の枝の上でログアウトしよう。

 ログインする時にここから始められたら儲けものだし。


 街や一部のエリア以外でログアウトするとアバターが残るって言うのが厄介なところだな。

 仮にログアウト中にやられたとしても街からやり直しになるだけでログアウト中にデスペナも解消されるし全く問題は無いしそこまで不便はないか。

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