妖精さんのヒミツ
昨日はレア狼を倒したところでログアウトした。
個体としては強かったが、どのみち当たったら負けなので群れとの戦いの方が辛かったくらいだ。
«ステップ»の無敵時間を使っての回避もできるのでタイマンだとなかなかやられにくい。
ベータテストの時は今みたいに普通に躱すというのが難しかったから«ステップ»の無敵時間や瞬間的な短距離移動を使った回避を多用していたので«ステップ»は慣れている。
妖精は小さいし素早いし小回りもそこそこ効くので戦っていて結構楽しい。
モンスターがとても大きいのも戦っているあいだはそこまで気にならないというのもいい。
傍から見てるとでっかくて怖いんだけどね。
さて、今日はまず狼の素材の売却だ。
【使役術】の触媒として使える皮や牙、尻尾なんかは取っておくとしても肉は必要ない。
ある程度腐らせれば山でハゲワシを釣るのに使えるが、腐肉は臭いから使いたくない。
狼の肉は精肉店では買い取ってくれないので売却先は冒険者ギルドだ。
食用に適さないアイテムでもハゲワシのように釣ることが出来るモンスターがいるアイテムはそこそこの値段で買い取ってもらえる。
「いらっしゃいませ」
登録に来た時と同じ受付嬢に迎えられたが、彼女はわりと元気になっているようだ。
うさぎのクエストを受けに来た時は別の人だったから一安心。
狼20頭の討伐を8回分報告して報酬を受け取り、肉も売却する。
肉の量はかなりのものだったのでいいお金になった。
そろそろ魔法屋さんでそこそこいいものを買えるだろう。
高級品は最初の街に置いておいていいレベルではないほど高いのでまだ買えないが。
「いらっしゃいませ……って妖精さん。ようこそ。待っていたわよ」
相変わらず魔女って感じの店主さんだ。
「服を買いに来たんですけど、いいのありますか?」
今の服は布で袋を作って穴を開けた貫頭衣のようなものだ。
ボロボロってほどではないが、あまりいいとも言えない。
本来なら初期装備を着ているはずなのでこの貫頭衣姿になることは滅多にないのだが、妖精は実質初期装備がなく、妖精用の装備を売っているNPCショップが無かったのでベータテスト時代は生産職の人に作ってもらうほかなかったのだ。
しかし、正式版からはサイズ変更のエンチャントというものが追加されたためNPCショップから装備を仕入れることが出来るのだ。
さらに、サイズ変更のエンチャントはエンチャント枠を使うものの、装備のステータス補正自体は変わらないようなので妖精でも強い装備をすることができるようになったはずである。
ポーションの仕様変更といい、正式版からは妖精に追い風が吹いている。
しばらくして店主さんが店の奥から持ってきたのは最初から妖精サイズの服だった。
人形の服みたいなサイズだなぁ。
つまり、妖精が人形サイズってことなんだけどね。
その服は随分とフリフリのヒラヒラで、基本色は緑色だが、フリフリのヒラヒラの先っぽの方に行くにかけて明るい青色になっている不思議な服だった。
といっても何となく妖精っぽいと納得できるデザインなのだが。
貫頭衣の上からふりふりの服を着ると、貫頭衣が消滅して妖精の服だけになった。
うーん。随分フリフリ。
あと背中がとてもスースーする。
触ってみたところお臍の裏あたりまでバッサリと露出してる。
翅があったらちょうどいいのかもしれないけど妖精に翅ないんだよねー。
「あら、妖精さん翅生やせないの?」
翅が生えるという情報すら初耳です。
「妖精さんは【魔力放出】と【無属性魔法】は持ってるのよね? ならいつか生えると思うわ。便利な魔法系のスキルを何個か持ってるとより早く生やせるようになるかもね」
へー。というかベータテスト時代には判明してなかったのかな?
割と便利な組み合わせだと思ってたんだけど。
妖精に【魔力放出】は必須と言ってもいいし、妖精を使うなら十中八九【精霊魔法】を使う。となるとその穴埋めに【無属性魔法】を取得するのもあり得ると思うんだけど。
ついでに言えば【無属性魔法】は【錬金術】の時みたいに色々出来て便利な魔法だから不自由な妖精のサポートとして候補に上がるはずだ。
……って、そう言えばベータテストの終盤まで妖精は【召喚術】を初期にとって最初に選べる召喚獣をうさぎにしてうさぎに乗って移動するのが定番だった。
妖精が吹き飛ぶようになった時のインパクトが強すぎてすっかり忘れてた。
店主さんの話だと翅が生えたら普通に飛べるようになるらしいし、色々便利になるらしい。
いつ生えるのかは分からないけどモチベーションがさらに上昇した。
ヒラヒラの服とセットの靴下なんかを購入して店主さんと雑談しながら水晶にMPを注ぐ。
この服の背中がバッサリ露出してるのは翅の邪魔をしない為で、普通の服にサイズ調整のエンチャントをして装備すると服が破れたり翅が出せなかったりするらしい。
それから、ソロでの戦闘になかなか苦労していると言ったら【魔力循環】というスキルを入手して風属性の魔法を身にまとえば石礫や矢なら受け流せるし、モンスターの体当たりなんかは風の膜が押し流されてそれを纏っている自分ごと移動させてくれるので簡単によけられるらしい。
【魔力循環】はベータテスト時代はオーラを纏っているような見た目になれて若干MP回復速度が上がるスキルだと思っていたのだが、そんな使い方もできるのか。
ちなみに、水属性を纏えば水中呼吸に補正、火属性は付近の敵にダメージ、土属性は気温によるバッドステータスを軽減してくれるらしい。
【魔力循環】が上手くなったら複数属性を同時に纏うことも出来るみたい。
最近は【魔力放出】での単純な移動に使うMPより自動回復の方が早いから常に風属性の魔法を纏っていてもいいかもしれないと思った。
小さいもので妖精の手のひらに収まる(3ミリくらい?)大きさの水晶から大きくて2センチ程の水晶たちにMPを込め終えたあとにまた来ますと言って魔法屋さんを出た。
それじゃあ【魔力循環】を買いに行くとしよう。
◇
【魔力循環】を購入してスキルの数が10個になった。
これでスキル枠は最大まで使用したことになる。
スキルは鍛えていると上位スキルに進化したり属性魔法のように合体してそれまでのスキルの補正を合計して強くなったりする。
それでスキルスロットをやりくりして強いスキルを集め、ステータスを強くしていくのがこのゲームの醍醐味だ。
つまり、ようやくスタート地点にたどり着いたということだな。
今のステータス――といってもスキルくらいしか見れないけど――はこんな感じ。
――――――――――――――――――――――
PN『ルフレ』
種族『妖精』
スキル
【魔力放出】【無属性魔法】【精霊魔法】【錬金術】【精神力回復】【魔力察知】【使役術】【回避術】【魔力視】【魔力循環】
――――――――――――――――――――――
わかりやすく補正がかかっている能力値を書き出すとこうなる。
【魔力放出】魔法・全
【無属性魔法】魔法・全
【精霊魔法】魔法・霊力
【錬金術】魔法・全(大)
【精神力回復】魔法・全
【魔力察知】魔法・全
【使役術】魔法・霊力/呪力
【回避術】速度・瞬発力
【魔力視】魔法・全
【魔力循環】魔法・全
魔法系ステータスが満遍なく上がるものが多く、霊力が上がるのが2つ。
補正を無視して効果をとったスキルが1つとなっている。
ベータテスト時代に妖精が最前線にいなかった理由として、得意とする『霊力』スキルが少なかったことが理由のひとつにある。
純粋に『霊力』ひとつに補正がかかるのは精霊魔法くらいだったし、他に補正がかかるのは大体が【使役術】のように陰陽師系で大体が『呪力』と一緒に上がるタイプだった。
【陰陽術】【降霊術】とか。あとは『神力』と複合の【祈祷】なんかもあった。
精霊系の『霊力』と陰陽師や巫女、坊主が使う力を『霊力』と考えた感じの割り当てだろう。
ちなみに【陰陽術】を使うなら『呪力』と『霊力』に補正がかかる種族があるのでそちらを使えばよかったりするので脆い妖精は益々人気がなくなっていったのだ。
ちなみに、その種族がお狐様――狐人族である。
狐人は【呪術】や【陰陽術】によるデバフで優秀なサポートができたり、『神力』にも若干の補正があることから一般種族と比べて巫女系スキルでの回復にも優れていたので大人気の種族だった。
代わりに物理攻撃が妖精と同レベルで弱く、一般的な属性魔法が使えない弱点があったのだが、その弱点も気にならなくなるほど強かった。
さて、お狐様の話も魅力的だがいい加減スキルの考察に戻るとする。
魔力系は何個か合体してくれると思う。
あと【魔力放出】と【無属性魔法】は多分合体する。
ほかのスキルはどうなるかはまだ分からないかな。
スキルが合体して枠が空いたら魔法屋さんの店主さんが言う便利な魔法系スキルであろう【魔力〇〇】系を集めてみたいと思う。
こいつらは基本的にやれることが増える系のスキルだから便利なスキルと言えるだろう。
【使役術】でお狐様を呼び出したあとに有効になるであろう【騎乗術】なんかも入手候補のひとつだ。
これで一旦考察は終わり、狼から入手した触媒を消費しておこう。
◇
左手首の腕輪を弄って『使い魔』ウィンドウを開く。
今は使役しているモンスターはいないので当然空欄だ。
そのウィンドウの一番下に表示されている【使役術】というボタンを押して、『使い魔召喚』ウィンドウを開く。
【使役術】の『使い魔』獲得方法はモンスターの素材をこのウィンドウに捧げることである。
捧げる素材に設定されているこれまたマスクデータの属性をできるだけ揃えながら素材を捧げていき、『召喚』のボタンを押すとそれまでに捧げた素材の属性と、捧げた量からモンスターが選ばれ召喚されるのだ。
お狐様を呼び出すために必要なものは『獣』の属性である。
うさぎも狼も共に『獣』属性なのでお狐様への布石となるわけだ。
今捧げた素材でも召喚はできるが、まだお狐様が出ると確定はしていない。
今後、召喚する時に出てくるモンスターを絞れるアイテムが出てくるのでそれまでは素材を貯めに貯めてそのアイテムを使ってお狐様が出る確率を高めるのだ。
以上攻略サイトから抜粋。
ベータテスト時代には【使役術】を使ってなかったから受け売りなのも仕方ない。
さて、これからは【魔力循環】の性能を確かめるためにも森へ行こうかな。
森は蜘蛛が出るので蜘蛛の糸を風属性の力で弾くことが出来れば有利に戦うことが出来る。
【魔力循環】の性能を確かめ終わる頃には日が暮れているだろうし、森に出る狼相手に【魔力循環】で物理攻撃をよけられるかを試してそれからボス戦と行こう。
――――――――――――――――――――――
PN『ルフレ』
種族『妖精』
スキル
【魔力放出】【無属性魔法】【精霊魔法】【錬金術】【精神力回復】【魔力察知】【使役術】【回避術】【魔力視】【魔力循環】
―――――――――――――――――――――――
装備
頭 無
胴 フェアリーミニドレス
手 フェアリーロンググローブ
腰 指輪(人間サイズ)
足 フェアリーロングソックス
アクセサリー 聖銀の指輪 (エリミネイト)
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狐人族
狐耳狐尻尾(一本)の超絶キュート種族
魔法系ステータスではオーソドックスな『魔力』ステータス補正が低く、追い打ちとばかりにスキルスロットに属性魔法(火風水土光闇無)が装着できない(派生先も不可)代わりに、『霊力』『呪力』補正が高く、ついでに『神力』も高い。
FoEでは【回復魔法】というスキルがなく、各スキルに回復する魔法が用意されている。
属性魔法では水と光が回復に優れているためヒーラーはどちらかのスキルを取得するが、狐人族は属性魔法が使えないため『神力』系スキルで回復することになる。
『神力』系は即時回復魔法は少なく、リジェネ系が多いが蘇生魔法もあったためメインデバッファー兼サブヒーラーもできるかなり強い種族だった。
また、『呪力』系スキルはデバフを与えるとともにDoTを与える(各デバフにつき一定のダメージ、複数のデバフによるDoTの重複あり)ことも出来るためサブアタッカーまで兼任できることもあった。
さらに、全種族で平均的な速度系ステータスを持ち、『呪力』系スキルで敵の移動速度を遅くしてから『呪力』系攻撃スキルで攻撃することで後衛職ながらソロ戦闘もできる種族。
可愛いし強いし万能でとても人気な種族だった。
やれることが多いということは選択肢が多く、正解を選ばないといけないためプレイ難度は高く、MP管理も難しい。
そのため正式版ではスキル構成を真似ただけのなんちゃって狐人が増えているとかいないとか。




