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決勝トーナメント 1

主人公がちょっと調子に乗っています。

あとこういう感じのイベントを書くのは初めてなので難しいですね。


総合評価3000超えました。ありがとうございます。

 決勝トーナメント進出者として予選会場から出てから十分ほどした後に、運営アナウンスで全予選が終了したため三十分の休憩の後に決勝トーナメントを開始すると通知された。

 本戦は回復アイテムを使ったり、爆弾系だったり投擲系のピックなどのアイテムを使うのは禁止――というかシステム的にできないように制限される――なので用意は意味ない。

 だから今から三十分を錬金術に当てる意味もない。

 たぶん掲示板には有名強者の情報が集まっているだろうし見てみるか?

 いや、ベータテスト時代の有名強者は把握している。

 彼らがベータテスト時代と同じ種族・ビルドで戦っているかこそ定かではないが、掲示板を見て時間を潰すくらいならばゆっくり思い出せばいいだろう。


 まず、確実に参加しているであろう目立ちたがり屋で、乱戦にもなれていて強い2人を。

 《††》と《†x†》彼らは、ロストアバターというレア種族の剣士だ。

 ロストアバターは、何か一つのステータスを失う代わりに他のステータスを高める種族である。

 そして彼らはマジックロストアバターだ。

 名前の通り、魔法は絶対に使えなくなった代わりに身体能力などが向上している種族だ。

 魔法ステータスが無くなるということは、魔法が使えない他に魔法に対する防御力なども皆無になることを意味するのでかなり難しい種族と言えるだろう。

 そもそも全部あって成り立っているものからひとつを取り除くのだから異常にピーキーになるのも仕方が無いだろう。


 《††》の方は二刀流の高速アタッカーである。

 魔法を失った代わりに筋力と速度というアタッカーに必須なステータスが大幅に増加し、攻撃を正確に命中させるための器用さや、攻撃をもらっても一撃でやられないための耐久度も手に入れている。

 彼のスキルスロットには筋力系生産と速度系生産、器用系、耐久系生産の四つがはめられていると言われるほどのバランサーで、それ以外のスキルは基本的な剣士と同じと言われている。

 ただでさえ補正が高い生産系スキルを四つ持っているということで、ステータスはかなりのものになっているだろうと予想され、プレイヤースキルもかなり高いのでボス戦などでは大活躍したプレイヤーだ。

 代わりに、生産スキルに枠を取られているため索敵機能などはかなり弱く、探索には向かないプレイヤーだ。

 しかし、タイマン最強決定戦である本イベントでは物理キャラ相手には無類の強さを誇るだろう。


 次は《†x†》だ。

 彼は、筋力と耐久が高めのタンカーである。

 彼のスキルスロットにも筋力速度器用耐久の四つの生産スキルがあるとされ、タンカーの基本である魔法【自己犠牲(サクリファイス)】を使えないのにも関わらずタンカーとして一線級の活躍を見せる凄腕タンカーである。

 あとは《††》と同じ感想なので割愛させてもらう。


 《アルフレッド》というプレイヤーがいる。

 彼は『勇者プレイヤー』などと蔑まれるタイプの勇者ではなく、本物の勇者であった。

 種族はセイントヒューマン。

 【魔力変質】などを使っても光魔法の以外の属性魔法を使えない代わりに高い魔力数値を持つヒューマンだ。

 【自己強化】【光魔法】のふたつを使い、戦闘スタイルは片手剣と中盾のオーソドックススタイル。

 【並列詠唱】というスキルで近接戦闘中の詠唱を可能にし、【詠唱短縮】というスキルで威力を犠牲に速射性を高めた光魔法で相手の隙を作りながら戦うのである。

 モンスター戦でこそ並程度の強さだが、PvP能力はかなり高く、タイマン戦はもちろん、パーティ単位でも、レイド単位でも大活躍するプレイヤーだ。

 彼自身の戦闘能力以外にも指揮能力が高く、複数人での戦いもお手の物というところが恐ろしいプレイヤーだ。


 次は《弓使い》というプレイヤー。

 実態は短剣の双剣士である。

 近距離戦闘を好み、ハイスピードバトルを行っていたと思ったらいつの間にか弓の距離まで離されていて、脳天に一撃。ということがあるプレイヤーだと聞いている。

 彼はソロプレイでは双剣、パーティプレイでは弓と使い分け、その両方を高い水準で保っているプレイヤーである。

 FOE以外のゲームならわからなく無いが、FOEは完全マニュアル。

 魔法と比べてはるかに難しい武器を使っての戦闘を、二種類の武器で行っているのだから驚きだ。


 彼らは乱戦も得意としている有名強者である。

 そのため確実に決勝トーナメントへ進出しているだろう。

 乱戦は乱戦でも、PvEが得意なプレイヤーならば《モン斬り抜刀斎》やら《器用万能》といった感じの人たちがいるのだが、彼らはきっと出てこないと思う。

 

 魔法使い系にもPvPを得意とする人はいるのだが、彼らは基本的にはチーム戦またはタイマンでの戦いを得意としているので全員敵な乱戦では勝ち抜けは厳しいだろう。

 特に魔法使いの人口が集中しているハイエルフやらリッチやらはもやし種族なので余計に厳しくなっているはずである。

 


 決勝トーナメントは一戦ずつ行われるらしい。

 三十二人いるから三十一戦だね。

 仮に各試合十分かかったとしても三百分程だから長すぎるって程でもないかな。

 多くの試合は五分くらいで終わるだろうし。

 

 あと、トーナメントと名打っているが、トーナメント表は配布されていない。

 一回戦を十六試合やって勝った十六人で組み合わせをランダムに決めてって感じでやるらしい。

 情報収集をするならばすべてのプレイヤーを見ておけって言うのはなかなか難しいことだとおもう。

 

 それじゃあ第一回戦を任されているし、いっちょやりますかね。

 対戦相手は《ユウタ》って人らしい。

 情報は全くないけど負けることは無い……とおもう。

 仮に切り札をすべて切っても負けるくらい強いって相手だったら有名になっているはずだしね。

 黒華を呼び出してその尻尾に隠れ、左手首のウィンドウから準備OKのボタンをタップする。

 

 すると、薄暗い通路の左右に松明が置かれ、正面には階段と、その上に光が差し込む場所へ転送された。

 なるほど。ここからあっちに歩いていけばいいんだな。


「とりあえず尻尾に隠れて【シンクロ】で見てるから黒華一人で頑張ってね。明らかに人型な黒華を初見で【使い魔】って見抜くのは難しいし、【使い魔】なしのプレイヤーだと参加者たちに誤認識してもらえれば有利に運べるから」

「かしこまりました。ところで、スキルはすべて使ってよろしいのでしょうか?」

「うん。開幕で相手に移動停止か詠唱禁止の【呪炎】を当てて【黒炎】で焼き殺しちゃっていいよ。液体呪炎銀はできる限り封印で」


 もちろん、負けるくらいなら使っちゃっていいけど。


 そして、黒華の尻尾に隠れたまま階段を上る。

 【シンクロ】から送られてくる黒華の視界に映るのは観客席が満員のコロッセオ。

 フィールドの広さは直径二十五メートル程か?

 

『さあ始まりました。FOE第一回戦タイマン最強決定戦。決勝トーナメント! 実況はわたくし、FOEのマスコットの中の人、望月がお送りいたします』


『『うおおおおおおおお!!!』』


 実況の自己紹介とともに観客席から歓声が上がる。

 マスコットの中の人は大人気キャラクターだ。

 マスコットより人気である。


『第一回戦は《ルフレ》さんと《ユウタ》さんの勝負となります! 《ルフレ》さんは狐さんですねー? 九尾です! アバター変更アイテムの購入ありがとうございまーす!』


 めっちゃ手を振って笑顔でこっちを向いているので黒華に手を振り返させる。

 運営といっても特別なモニターはないのかもしれないな。

 黒華のことをプレイヤーだと思っているみたいだし。

 実況にそういうのもたせるとポロッとビルドとかを漏らす可能性があるからかな。


『対する《ユウタ》さんは見た目からは種族が読み取れません! 武器は片手剣っぽいですね! そう言えばお互いに一人でこの場にたっていますね。 モフモフの【使い魔】がいないのは寂しいですが頑張ってください! それでは、カウントダウンを開始します! 十からどんどん下がっていきます!』


 ……三、二、一――スタート。


 開幕と同時に、十メートルほどの距離を《ユウタ》。

 黒華は直進してくる《ユウタ》に難なく移動停止のデバフをかけ、【黒炎】で燃やし尽くした。

 戦闘時間十二秒。

 魔法耐性が低かったのかな。結構簡単に焼き終わったね。


『試合終了! 試合時間は――十二秒! 圧倒的な火力で対戦相手を灰へ変えました! 第一回戦からとんでもないプレイヤーが現れました! この大会は一体どうなるんだ~!?』


『この興奮冷めぬうちに第二戦へと行こうかと思いまーす!』


 望月さんの言葉と同時に控え室へと戻される。

 

「さすが黒華。ほとんどのプレイヤーは何がどうなったのかすらわかってないんじゃない? このままわからん殺しで優勝できるほど甘くはないと思うけど、情報を漏らさないまま頑張ってね」

「もちろんです。それにしても随分と弱かったですね。この世界のトップ三十二が集まるという訳では無いのでしょうか」

「記念参加者ってやつじゃない? 乱戦だし、運良く生き延びた人だったんだよきっと」


 そう言って控え室に備え付けられたモニターから残る試合を眺めることにした。

種族


ロストアバター

非常にピーキーだがその分メリットも大きい。

筋力速度耐久器用全てを捨てて魔法特化にしようと考えた人がいたが、徒歩以上の速度は出せず、石ころが当たっただけで即死し、単体魔法はあらぬ方向に飛んでいく残念キャラとなった。

しかし、その魔法系ステータスの高さだけは紛れもなく、器用が足りずに変な方向に魔法が飛んでいくなら範囲魔法で攻撃すればいいじゃん。

そんな考えでベータテスト終了時までプレイしていたとか。

都市防衛イベントでは一人で何千体のモンスターを滅したという最強固定砲台種族。


マジックロストアバターはロストアバター派閥最大人数だが、自己犠牲や自己強化などの戦士向けの魔法もあるため数は少ない。

そもそもロストアバター自体の人気がない。


セイントヒューマン

属性魔法が光しか使えないだけで自己強化など、一部のサポート魔法は普通に使えるためピーキーなものが多いレア種族の中ではあまりデメリットが重くない。

代わりにメリットもそこまで多くないため、わざわざ魔法の選択肢を減らしてまでその補正を受けるか?

という考えをさせる種族。

基本的に不人気。

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