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勇者裁判  作者: ワンワールド
名誉裁判2
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初対面と再会

 「よし」指示された路地に勇者が行くと、大きな荷車があった。荷台上には、黒い布で覆われた四角い形と分かる物が乗っていた。


 「何だべさあ」息が荒い興奮気味の勇者が現れ、荷車の近くに居た黄の人物と緑の人物が警戒した。


 「六つ目魔物か」勇者の問いに二人は戸惑った。


 じ~と二人は勇者を見た。


 「勇者だべか」黄の人物が聞いたが、勇者は無視し、先程と同じ質問を繰り返す。黄の人物も勇者を無視し、勇者本人か確認を取る。


 「勇者さん。待ってくれ」と赤の人物が勇者と黄の人物の間に入って経緯を話した。


 賢者も数秒後に勇者の元へ来た。体力がない賢者は気分が悪くなり、その場に座り話に参加する余裕はなかった。


 「黄さん。緑さん見せてやってくれ」黒い布を黄の人物と緑の人物が取り払った。布が取られると、荷車は木の護送車だった。護送車の中には鼠色の布で覆われた大きな物体が動いていた。


 「これが魔物か」護送車の木の柱に手を掛け勇者が鼠色の布を見た。


 「ああ勇者さんのお望みの物だ。さあ金を貰おうか」勇者に向かい赤の人物が手を出した。


 「待て。目の確認と俺が求めている魔物か聞きたい」

 「分かりやんしたが、早く確認してください。人に見られたくないんでねえ」


 赤・黄・緑が周りを警戒した。


 布の中身をじっくり勇者は見るが、布がすっぽり魔物を包み、分からなかった。勇者は魔物に声を掛けた。


 「お前は、六つ目魔物か?魔王裁判を開いた」布が大きく揺れ、気味が悪い笑い声が聞こえた。

 「変な音を出すな。俺の質問に答えろ」布の一部が浮き上がった。


 「ゆうしゃ~」浮き上がった布の奥から目が光って見えた。


 勇者は目を数えた。一・二・三・・六つ目を数え終えた。


 「目の数はよし。おいお前は裁判を開いたことあるか」同じ質問を勇者が繰り返す。


 「うるさいぞ。裁判、裁判と」

 「質問に答えろ。裁判を開いたことがあるのか」

 「開いたことがあるか、知るか。ゆうしゃごときに答えるものか。散々魔物を苦しめた人間が」


 布の隙間から透明な液体が勇者に向かって飛んだ。液体は勇者のズボンに付いた。勇者は液体を触ると粘々していた。


 「草。おえ~」液体に触れた手を嗅ぐと勇者は嗚咽が出た。臭いは野草(ペンペン草)が五倍濃縮されたものに近かった。


 「魔物が」逆上した勇者が炎系魔法を唱えようと右手を構えようとした。


 賢者は立ち上がり止めに入ろうとする。勇者の体に触れようとしたが、すでに賢者以外の三人が覆い被さっていた。


 「勇者さん。せっかく運んだ魔物殺されたら困る」

 「ホノオ」勇者の右手に炎玉が現れた。

 「んだべ。冷静に勇者どん」今までの努力を不意にならないよう三人は必死だ。


 「辛抱です。裁判のために」この賢者の言葉で勇者は冷静さを取り戻した。炎は鎮火した。


 「手に付いた臭いを燃やしていただけだ」取って付けたように勇者が言った。三人は勇者から離れたが、いつ暴れても対応できる位置に居た。賢者も気分が悪いが立って勇者を見守った。


 「お前は魔王裁判を開いた魔物か」

 「右手の炎で暴れ出す。噂通りの人間。質問する。お前は訴えられたことがあるか人間」


 布の隙間から六つ目の指が出て来た。爪が鋭く勇者に向いた。


 「俺が聞いているんだ。ささっと答えろ」


 勇者と六つ目の会話は互いに罵声が飛び交い一向に話は進まなかった。気分が少し改善した賢者が話に入った。


 「誤解していました。魔物は無知で凶暴と思っていましたが、六つ目さんを見、魔物にも裁判が開けると推測できました。六つ目さん、私の推測は当たっていますか」


 当たっていないと答えてください。裁判を開いたことない魔物違いと。賢者は勇者が求める魔物でないことを願った。


 「人間。推測通り裁判を開いてきた。二度ほど」とあっさりと六つ目魔物は認めた。    

 「おい賢者には何で簡単に答えるんだ。ふざけんな」

 「ゆうしゃの言うことに従うか。愚か者」勇者と六つ目は口喧嘩するので、賢者が間を取り持った。


 それでも二人はやめないので、

 「勇者こちらの方に報酬を」の言葉に勇者は納得しない顔で宿屋に金を取りに行った。

  

 「ははは。ただちに金を払いますんで」笑顔で賢者がその場を繋いでいた。


 賢者は勇者が宿屋に入る所を見て、六つ目に聞いた。


 「本当に裁判を開いた魔物なんですか」と確認を取ったが六つ目の答えは変わらなかった。賢者は六つ目に質問したことに後悔した。



 五分後小箱を持った勇者が戻った。勇者が報酬を三人に払い、宿屋前に全員で六つ目を運んだ。部屋に運び込もうとしたが、檻は大きかった。勇者は宿主に頼んだ。


 「あれ外に置いてもいい」

 「宿屋の前に置かれると困るんだけどね。不気味で客が寄り付かないよ」宿主は額のしわが深くなるほど嫌な顔をした。


 「おばちゃん。頼む。ちょっとの間置かして」

 「少しだけだろうね」賢者が頭を下げ勇者が言葉で説得し、宿屋前に六つ目が入った護送車を置くことに扱ぎ付けた。


 泊まっている部屋の窓から勇者と賢者は布のに覆われた護送車を見て、

 「目立ち過ぎだぞ」

 「くう~目立ちますね」六つ目の保管場所を考えた。

 


 翌日朝。王都宿屋前、宿主のおばちゃんが出入り口を掃除。


 「さっさっさ」箒でゴミを掃く。埃が宙を舞う。

 「ごほごほ」

 「あ、すみません」埃を吸って咳き込む人に宿主がお辞儀した。


 「・・・・」たじろぐ宿主、半歩後ろに下がった。咳き込んだ相手に威圧され宿主は改まって、丁寧に頭を下げ謝った。咳き込んだ相手の反応が変わらなかった。


 怒っているわけじゃないと宿主は咳き込んだ相手の風貌で判断し、

 「・・・御用はなんでしょうか」と聞いた。


 「家宅捜索に入る」と巻物を広げ咳き込んでいた西洋甲冑を着た兵士が言った。


 宿主が説明を求める前に巻物を兵士が渡し読めと命令。兵士は手を挙げ前に倒すと、一斉に三十名の兵士が宿屋に殺到した。


 「待ってください。お客様が・・・待って・・待ってや」豹変する宿主を無視し、兵は宿屋に入った。


 散々音を立て、宿屋を荒らすので、泊まっていた客が起き出した。


 「きゃあ~」客室まで入り兵士たちは何かを探していた。宿屋より泊まっていた客が逃げ出し、宿主に詰めかけた。


 「お前ら何しやがる」勇者の泊まる部屋も例外ではなかった。朝から兵士たちの暴挙に勇者は怒った。


 「ぱり~ん」


 「どん。ばっ。どん」二階勇者部屋の窓が割れ兵士が背中を向けて落ちた。その先に六つ目の護送車があった。落ちた兵士は護送車に一度落ちた反動で、一回横に転がり地面に叩き付けられ、三度転がり兵士は横を向いたまま動かなかった。


 兵士を投げたのは勇者だった。勇者は賢者と兵士に抑え込まれていた。


 「居たぞ」宿屋前より兵士の声が響いた。兵士たちはその声を聴くと外に出て行った。勇者と賢者は唖然していた。


 「何だあいつら」と勇者も宿屋の外へ。賢者も後に続き行った。宿屋前に人だかりと兵士が集まっているところを勇者と賢者が割って行くと。


 「ばれた」布が取られた護送車が見え勇者が呟いた。


 六つ目は鼠色の布に包まれているとは言え、体の大きさで怪しさが伝わるのに充分だ。


 「勇者様。召喚命令が出ています。この荷物と共に」巻物を呼んだ兵士が勇者に言った。


 「誰が呼んでいる」兵士は宿主より巻物を取り上げ、勇者に渡した。


 巻物に目を通す勇者と賢者がしていると、

 「うわ~」布の中身の六つ目が動いたのを見た人々から声が出た。


 「早くいきましょう」兵士に促され勇者と賢者は護送車を供に召喚された。



 「ぱんぱらぱ~ん」ラッパが鳴る。

 「勇者様。ご到着」大きな扉が開いた。勇者と賢者が部屋に入る。部屋中央に来ると二人は片膝を付いた。


 「勇者殿よく来られた」

 「いいえ。とんでもない、王様」勇者に声を掛けたのは裁判で争った王だった。王の傍らには白髪の大臣が居た。


 挨拶を済ませる間勇者は、朝からお前の顔を見なくてはいけない。あれだけ裁判でいがみ合ったのに、羞恥心はないのかとふつふつと恨みが籠るのだった。


 召喚の理由を勇者が聞くと王は、

 「勇者が六つ目魔物を捕まえたと聞いてのう」髭を撫でながら答えた。


 「召喚はどういったことでしょうか。王の手を煩わすことはないはず」

 「そう邪険にするでない。裁判で争ったが儂はそちを友と思っているぞ」


 よく抜けぬけと言える、

 「友などとんでもない。身分が違います」と勇者は心の声と音に出す声を分けていた。


 「六つ目魔物をどうする気じゃ。裁判に証魔するのか」


 正直に言うか?嘘をつくか?嘘つくにしても案が浮かばん。

 「はい。裁判に使います」言ってしまったと勇者は精神に痛みを伴った。


 「じゃったか。よかろう。国は六つ目を保護することを誓おう」

 「お構いなく。私たちが管理します」


 力強い目つきで王を見る勇者。王も威圧的な目つきで勇者を見た。


 「勇者よ。六つ目は魔物じゃ。もし逃げだしたら国民に危害が加えられるかもしれん。許せ。裁判が開かれるまで預かる」


 勇者は立った。


 「管理は俺たちでしますんで、任してください」

 「任せられんのう。国民の命を守るのは王の義務じゃ。よいな」


 くそ。六つ目を取り上げる気だな。引き下がるか。手に力が入り拳を勇者が作りながら言った。


 「裁判で揉めるのは王も嫌でしょう。二度と。悲劇を生まないためにも、誓詞を書いてください。六つ目を裁判で証魔するまで預かる。裁判まで六つ目に何か起きれば、王が責任を持つと署名を」


 「何と無礼な」大臣が口を挿む。王は勇者の前で見せたこともない恐ろしい顔になっていた。


 王は椅子の肘掛けに片手を置き拳を作りその上に顔を乗せた。三十秒後、王はよかろうと答え、勇者に誓詞をしたため宿屋に帰した。



 勇者が居なくなった王の間では、

「小賢しい勇者め。大臣、六つ目に会いに行く」と地下牢に向かう王だった。



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