第二回名誉裁判
第一回名誉裁判より一週間後、第二回名誉裁判が開かれた。原告勇者は前回裁判で約束をした、訴えを裏付ける証拠物を裁判所に提出できなかった。何一つ。魔王を倒せる薬の成分表、魔王の首の解剖結果、魔物の文献、一週間と期限が短かった。原告が裁判長に約束を守れなかった告げ、第二回名誉裁判は偽薬裁判の記録について戦う局面へ移っていった。
「原告は訴える根拠をどうぞ」前回と同じ裁判長が原告側を手でさした。
原告側の賢者が立ち上がった。偽薬裁判記録から原告が訴えたいことは、三つほどあった。
「一つ目は、先代勇者が薬を調べて欲しい訴えを拒否したこと。
二つ目、刑罰を話す裁判のやり取りでの、裁判長と王側の何らかの繋がりが窺える進行。
三つ目、詐欺と言うが、先代勇者は薬を作るのを王に頼んだではいない。勝手に王が手伝ってきたのに、詐欺に掛かったと言うのは変で、その点が裁判では考慮されていない」
賢者は訴え終えると座った。
「被告側は原告の意見に言いたいことがありますか」被告側をさす裁判長。
被告側の青の人物が立つ。
「原告の五つの主張を一個ずつ見て行きますと、
一、裁判で提出前には何度も確認したのであれ以上調べても意味がなかった。
二、裁判長と王側が繋がっていたと言いますが、偶然、裁判進行がそうなったのです。被告の過剰な思い込みです。
三、王は平和な世の中を早く実現したかった。魔王が倒せる薬と聞き関わらない判断が王に出来ましょうか。出来ません。王なのです。それに先代勇者は勝手に薬作り手伝ったと言うが、そう仕向けたのではないでしょうか。自ら情報を流し、王を呼び寄せ詐欺を働いたのではありませんか。被告側の意見を終わります」
青の人物が椅子に座った。
裁判長は原告側に意見を求め、賢者が立った。
「一つ目は、第三者機関で薬を調べるべきだし、先代勇者の調べ方を利用する時間を掛けるべきでした。
二つ目は偽薬裁判の裁判官三人を証人として呼ぶつもりでしたが、全員偽薬裁判後亡くなっているのも変です。やはり王が何らかの・・」
「原告側、仮説で王を疑うのはやめなさい。名誉棄損になりますよ」裁判長が口を挿んだ。
一回口を閉ざし賢者は頷いた後、話を変えた。
「五つ目の訴えで、証人を呼びたいのですが」原告側の証人を呼ぶことを裁判長は認め、証人が法廷に入ってきた。
証人は法廷の真中にある椅子に座った。黒縁眼鏡に白衣を着た頭が剥げた中年男、冒険者カウンセラーだった。証人に付いて賢者が紹介。被告側の大臣が目を細め、偽薬裁判で先代勇者の弁護した人物かと思い出していた。
賢者は証人に質問した。
「王と薬の共同開発をしていた頃について聞きたい。王に魔王が倒せる薬があると情報を流しましたか」
太腿に手を置き証人が答えた。
「いいえ」
「望んで薬の共同開発をしようと考えていましたか」
「いいえ。王が無理やり薬の共同開発を望みました」
「詐欺をしようと思って共同開発を望んだわけではないと」
「はい。先代勇者は薬を早く完成したい気持ちで共同開発をしました」
「分かりました。裁判長以上です」賢者は椅子に座った。
「被告側意見はありますか」被告側に裁判長が聞いた。
青の人物は立ち意見を述べた。
「原告に言いたい偽薬裁判の関係者は流行病で亡くなったので王は関係ない。被害妄想で訴えを増やさないでください。裁判を複雑にしようとしているのが見えます。勝てないのをいいことにです」
勇者が立ち、
「するか。勝てないのはお前らだろ」と暴言。裁判長に止められ椅子に座った。
「原告側・被告側意見はないですか」裁判長が意思を確認し、どちらも意見はなかった。
裁判長は裁判官八人と意見を交わした。
十分後、
「判決を言い渡す」と裁判長が結論を述べようとしたら、勇者が真剣な面持ちで手を挙げた。
「原告どうかしましたか」
「裁判長お願いがある」勇者が頼み込むと裁判長が発言を許した。
「六つ目魔物の召喚を頼みたい」法廷中にざわめきが起きる。
「原告その魔物を裁判所に呼べと」前のめりで裁判長が聞くと、勇者がはいと答えた。
「意図は何ですか」
「その魔物に俺が魔王を倒したか、法廷で出された八つ目魔物の首を見て貰いたい」裁判官全員が嫌そうな顔を見せた。
裁判長が八人の裁判官と話し合いをし、勇者の頼みに答えを述べた。
「原告、次の裁判を開く時、自ら召喚しなさい。裁判所ではできない。六つ目クラスの魔物は冒険者の力でないと無理です。司法では対応できない。それに原告魔物を呼んで真実を話すとは思えないのだが」
「いえ。俺がある交渉を持ち掛ければ大丈夫」
「交渉とは」裁判長が突っ込んだ質問をする。
勇者が答えようとしたら、賢者が服の裾を引っ張り言った。
「やめてください。あの案はボツにしたはずですよ。交渉内容は秘密にしときましょう。あとから何とでもなるはずです」賢者の意見を聞き、裁判長の質問に勇者は答えるのをやめた。今度は勇者が賢者に質問した。
「秘密にしとけば、誤魔化せるな」と言われ、賢者は頷きと共に勇者の服の裾を離した。
「裁判長すまないが、交渉は秘密だ」
勇者が謎めいた言い方をするので、青の人物が不振がった。
「原告、交渉が秘密とは証人の発言が真実とは言えないのでは」
「被告側の言う通りです。交渉が秘密とは何らかの利益の授与が疑われ、証人の発言は裁判で考慮されません。原告、証人を呼ぶならその辺をはっきりしときなさい」被告の意見に裁判長が付け加え勇者を忠告した。
「分かりました。呼んだら、交渉の内容も公表する」
勇者の発言に賢者は、自分を追い込まないでほしかった。勇者の父も大事だが、私は親友として勇者自身が大切なのです。裁判何か・・・。といけない考えを抱いた。
裁判は五分後には判決が裁判官が述べていた。
「先代勇者は懲役十年執行猶予五年が妥当する。偽薬裁判の裁判官と国王医療機関の関係者は刑罰はなしとする。王は勇者に謝罪をすること」判決に原告側は落胆し、被告側は歓喜の声は上がらなかった。被告側も判決に不満が残っていた。
裁判官は判決に至った理由を述べた。
「薬は魔王らしき魔物を倒した。偽薬裁判の進行は確かに法を逸脱していた。刑の執行する速さ、刑罰の重さなどが言える。刑は懲役刑で執行猶予を付け、魔王を倒せる薬を先代勇者に使わす時間を与えてもよかった。判例もある。緑錆の海裁判とか。そのおかげで勇者は魔王らしき魔物を倒し、平和が訪れている。もし王が先代勇者に時間を与えれば、平和も早く実現したと思われます。王にも被があった。よって王は謝罪を国中に知らせるのです。二度とこのような悲劇が起きないように」
判決の理由を聞いても勇者は納得できなかった。おやじは無実だ。詐欺師でもないのに刑は死刑から懲役刑になっただけ。王の謝罪が何になる。くそ。六つ目捕まえてやる。と先代勇者に誓った。
賢者は悲しそうに勇者を見ていた。




