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勇者裁判  作者: ワンワールド
名誉裁判序曲2
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36/49

しろくろ

自分の魔法でデモを台無しにする勇者。自由兄弟、デモ参加者の努力を吹き飛ばす。打開策はあるのか?勇者は裁判が開けるのかを書いています。

 王城の主な構成は塔が三つ。王や従者が住む塔。武器や宝物がある塔。祭事を行う塔ですべて石造り。

塔を囲むように城壁があり出口は一つ。硬く木の扉が城を守る。三角形の端と端のように塔が設置され真中に庭があった。


 城は威厳に満ちていたが、デモを境に威厳を通り越し人々に不気味がられた。


 「か~か~」黒目のカラスが鳴く。城の至る所に住み着き、不気味がられる元凶になる。


 「あ~」と鳴く声が城の地下より響く。


 「バンバン」者と物が当たる効果音が一緒に聞こえた。あともう一つ違う音が、

 「やれ、徹底的にしろ」と命令する声がした。


 地上より地下の方が不気味な光景が広がる。あ~と叫んでいたのは人間。両手・両足を十字形をした木に鉄の鎖で拘束されていた。


 「お前が任務を遂行できなかったせいじゃ。やれ」

 「バンバン」拘束されし人間と物が当たる。人間と触れ合うのは鞭。


 「あ~あ~」


 「もっともっと強くじゃ」命令をしていたのは王。鞭を持つ拷問者に拘束者を攻めるよう命令する声を出す。拷問者は鞭を振るった。鞭の動きは無限の記号を描いた。拘束者の厚い胸板は赤く黒い線が刻まれた。線が出来るたびに王はもっとしろとあおった。


 「はあはあ」と拷問者が無限の記号を描けなくなる頃には、拘束者は失神していた。


 「これぐらいで勘弁してやるかのう。次はないと思え」王は地上へ向かい階段を上がった。


 地下より王が消えると、拘束者の鎖が外され拷問者に担がれた。拷問者の肩に拘束者の髪が垂れ下がった。


 「未だに髪を伸ばし未練たらしい男だ。いい加減切るんだな」拷問者が呟き地上へ向かった。

 




 英雄念願叶う。炎のデモが民意の気持ちに火を点けた。俺はおやじの名誉を回復する。今度の裁判で。

デモ一週間後の世界新聞に勇者の記事が載った。その新聞を勇者と賢者は王都宿屋で一緒に読んだ。


 「バン」部屋の丸机の上に勇者が新聞を置いた。新聞は勇者の記事が載る所で開かられていた。


 「いいなこの挿絵。書いた人物は俺のことを分かっているぞ」

 「ですね。現場で勇者を見たのでしょう。臨場感が伝わります」


 勇者の記事に文字と共に挿絵も付いてあった。その絵は英雄念願叶うの見出し文字を撃ち抜くように、勇者が右手を前に炎を出している横の姿。二人は挿絵を見ながら笑って話していると、裁判を開くまでの苦労が蘇った。


 「新聞の記事になるまで大変でしたね」苦労話を始める切っ掛けを賢者が提供した。

 「だな。この時はどうなるかと」机の新聞をじっと見つめ勇者は物思いに。


 魔法を勢いで撃つとスッキリするが、当初の計画が飛んで困ったんだよな。沢山の人に助けて貰わなければ今頃。笑って記事を読めなかった。自由・・。


 「勇者。勇者」賢者が物思いにふける勇者を邪魔するように声を掛けた。

 「ああ~何だ」

 「いやあ~突然黙っるので、どうしたのかと思い」


 「考え事していただけだ」邪魔され勇者の機嫌は下降。その機嫌を上昇させようと賢者が謝り、機嫌は元に。


 賢者は更に勇者が何を考えたのか聞いた。


 「自由兄弟やデモ参加者のことだ」

 「裁判を開くまでにお世話になった人のことを考えたのですね」


 勇者は頷き、「自由兄弟が特にな」と言った。


 自由兄弟と聞き賢者にこみ上げる思いが来る。賢者は思いを言葉に表した。


 「デモ後、新聞に勇者が炎を撃った経緯や、自由兄弟がデモを起こした気持ちを言ってくれなかったら・・・感謝しきれません」述べていると賢者は涙を流し出す。


 流れるものを見て勇者は、

 すぐ泣く。賢者、お前は心が弱すぎだ。と勇者が言ってやろうかと思ったが、・・・気持ちは分かるし、皮肉言うのはやめるか。賢者を気遣う言葉を掛けた。


 「自由兄弟には感謝しきれん。ただ自由兄弟の記事を見て二度目、三度目と毎日続けてデモに参加してくれた人にも感謝だな。あの出来事が裁判を開く結果になるとは」


 自由兄弟に視点が向いている賢者の気持ちを、不特定多数のデモ参加者に向けようと勇者が画策した。


 しかし配慮が足らず思い描いた画は違った。勇者の中では笑顔の賢者を浮かべていたが、出来上がった画は涙の賢者だった。


 「私を余り泣かさないでください」

 「悪い」


 賢者の中で感謝する人が増えるほど、涙は止まらなかった。十秒しても涙が止まらないので勇者のイライラが貯まり、

 「だあ~。泣くな」

 「そう言われても止まらないのです」と賢者との間で会話が飛んだ。けど、涙は止まらず。勇者は呆れはて、最終決断を下した。


 「出て行け。涙が止まるまで、帰って来るな」

 「分かりました。外に行ってきます。涙が消えるまで戻ってきませんよ」若干おこり気味で賢者が勇者の意見を聞き部屋を出て行った。


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