しろくろ
自分の魔法でデモを台無しにする勇者。自由兄弟、デモ参加者の努力を吹き飛ばす。打開策はあるのか?勇者は裁判が開けるのかを書いています。
王城の主な構成は塔が三つ。王や従者が住む塔。武器や宝物がある塔。祭事を行う塔ですべて石造り。
塔を囲むように城壁があり出口は一つ。硬く木の扉が城を守る。三角形の端と端のように塔が設置され真中に庭があった。
城は威厳に満ちていたが、デモを境に威厳を通り越し人々に不気味がられた。
「か~か~」黒目のカラスが鳴く。城の至る所に住み着き、不気味がられる元凶になる。
「あ~」と鳴く声が城の地下より響く。
「バンバン」者と物が当たる効果音が一緒に聞こえた。あともう一つ違う音が、
「やれ、徹底的にしろ」と命令する声がした。
地上より地下の方が不気味な光景が広がる。あ~と叫んでいたのは人間。両手・両足を十字形をした木に鉄の鎖で拘束されていた。
「お前が任務を遂行できなかったせいじゃ。やれ」
「バンバン」拘束されし人間と物が当たる。人間と触れ合うのは鞭。
「あ~あ~」
「もっともっと強くじゃ」命令をしていたのは王。鞭を持つ拷問者に拘束者を攻めるよう命令する声を出す。拷問者は鞭を振るった。鞭の動きは無限の記号を描いた。拘束者の厚い胸板は赤く黒い線が刻まれた。線が出来るたびに王はもっとしろと煽った。
「はあはあ」と拷問者が無限の記号を描けなくなる頃には、拘束者は失神していた。
「これぐらいで勘弁してやるかのう。次はないと思え」王は地上へ向かい階段を上がった。
地下より王が消えると、拘束者の鎖が外され拷問者に担がれた。拷問者の肩に拘束者の髪が垂れ下がった。
「未だに髪を伸ばし未練たらしい男だ。いい加減切るんだな」拷問者が呟き地上へ向かった。
英雄念願叶う。炎のデモが民意の気持ちに火を点けた。俺はおやじの名誉を回復する。今度の裁判で。
デモ一週間後の世界新聞に勇者の記事が載った。その新聞を勇者と賢者は王都宿屋で一緒に読んだ。
「バン」部屋の丸机の上に勇者が新聞を置いた。新聞は勇者の記事が載る所で開かられていた。
「いいなこの挿絵。書いた人物は俺のことを分かっているぞ」
「ですね。現場で勇者を見たのでしょう。臨場感が伝わります」
勇者の記事に文字と共に挿絵も付いてあった。その絵は英雄念願叶うの見出し文字を撃ち抜くように、勇者が右手を前に炎を出している横の姿。二人は挿絵を見ながら笑って話していると、裁判を開くまでの苦労が蘇った。
「新聞の記事になるまで大変でしたね」苦労話を始める切っ掛けを賢者が提供した。
「だな。この時はどうなるかと」机の新聞をじっと見つめ勇者は物思いに。
魔法を勢いで撃つとスッキリするが、当初の計画が飛んで困ったんだよな。沢山の人に助けて貰わなければ今頃。笑って記事を読めなかった。自由・・。
「勇者。勇者」賢者が物思いにふける勇者を邪魔するように声を掛けた。
「ああ~何だ」
「いやあ~突然黙っるので、どうしたのかと思い」
「考え事していただけだ」邪魔され勇者の機嫌は下降。その機嫌を上昇させようと賢者が謝り、機嫌は元に。
賢者は更に勇者が何を考えたのか聞いた。
「自由兄弟やデモ参加者のことだ」
「裁判を開くまでにお世話になった人のことを考えたのですね」
勇者は頷き、「自由兄弟が特にな」と言った。
自由兄弟と聞き賢者にこみ上げる思いが来る。賢者は思いを言葉に表した。
「デモ後、新聞に勇者が炎を撃った経緯や、自由兄弟がデモを起こした気持ちを言ってくれなかったら・・・感謝しきれません」述べていると賢者は涙を流し出す。
流れるものを見て勇者は、
すぐ泣く。賢者、お前は心が弱すぎだ。と勇者が言ってやろうかと思ったが、・・・気持ちは分かるし、皮肉言うのはやめるか。賢者を気遣う言葉を掛けた。
「自由兄弟には感謝しきれん。ただ自由兄弟の記事を見て二度目、三度目と毎日続けてデモに参加してくれた人にも感謝だな。あの出来事が裁判を開く結果になるとは」
自由兄弟に視点が向いている賢者の気持ちを、不特定多数のデモ参加者に向けようと勇者が画策した。
しかし配慮が足らず思い描いた画は違った。勇者の中では笑顔の賢者を浮かべていたが、出来上がった画は涙の賢者だった。
「私を余り泣かさないでください」
「悪い」
賢者の中で感謝する人が増えるほど、涙は止まらなかった。十秒しても涙が止まらないので勇者のイライラが貯まり、
「だあ~。泣くな」
「そう言われても止まらないのです」と賢者との間で会話が飛んだ。けど、涙は止まらず。勇者は呆れはて、最終決断を下した。
「出て行け。涙が止まるまで、帰って来るな」
「分かりました。外に行ってきます。涙が消えるまで戻ってきませんよ」若干おこり気味で賢者が勇者の意見を聞き部屋を出て行った。




