因縁の敵
「ご~ご~」
大量の水が岩壁(小さな山頂ぐらいの高さ)から流れる。水は永遠と流れ滝を形成した。その滝の裏に滝の洞窟と言われる洞窟があった。そこに目が七つ、鋏が八つのカニの魔物、別名”滝の洞窟の主”がいた。幾千の冒険者が挑むが太刀打ちできなかった伝説の魔物だ。
洞窟の主に新たに挑む者たちが、滝の洞窟に来た。数は三人。一人は、怒ると炎を出す賠償王こと勇者。二人目は、貧乏性でおひとよしの切れ者の賢者。真打は、日常は老人。でも、ここ一番で力を出す猫を被った盗賊じいさん。それぞれ剣と松明(勇者)・杖と竹の水筒(賢者)・ナイフ(盗賊)を持ち、三人は洞窟の奥深くに潜って行った。
滝の洞窟は洞窟全体が湿り、苔が生えていた。ただこの洞窟は特殊で、主以外の魔物は存在していなかった。主が食ったのではと人間たちの噂した。実際は主が他の魔物に住処を荒らされるのが嫌で、入ってこさせ無くしていた。
「作戦通りいきましょう」打ち合わせする賢者。松明を持って先頭を行く勇者が答えた。
「分かっている。俺が奴の鋏を切る」
「儂が足を狙うんじゃたかのう」呆けたふりをする盗賊が最後尾で賢者に聞いた。
「はい。そうしてください。私は遠目から二人の補助をしますので、安心して戦ってください」簡単な作戦の確認を済ませ主の元へ三人は行った。主の元へ行くまで、勇者の松明の火が三度ほど消えた。二度は天井の水敵が落ちたため消えた。しかし、三度目は水が原因ではなく泡だった。泡が松明に付き火を消し、泡が触れた箇所が溶けた。三人はこの先に主がいると確信する材料になった。前の戦いで、主の特徴をしていたからだ。勇者は溶けた松明を捨て、予備の松明を袋より取り出した。三人は警戒しながら進むと、勇者が微妙に体を反り替えした。大きい物体がほんの一瞬見えた。
勇者はじわじわと体を動かし前を見て・・・・・・「主だ」滝の主を確認。声が漏れた。三人の緊張感が高まる。
この先の広い空間に主はいた。勇者は壁に寄り添い体を隠しつつ、様子を見る。主は寝ていた。勇者は三十秒じっと主を見た。その間、賢者はやられた記憶が読みがえった。主の強さに恐怖して心が押しつぶされそうになった。だが、賢者は冷静さを保とうと心の中で恐怖に挑んでいた。盗賊は長年の恨みがこんこんと湧き、恐怖など感じなかった。むしろ、力が入り過ぎいつ飛びかかるか分からなかった。その気持ちを抑え込むのに力を注いだ。
勇者は主が寝ているのを確信、手を動かし二人に行動を促した。手の動きには行くぞと言う気持ちが込められた。勇者が先頭を切って飛び込んだ。走りながら右手を前に構え主の鋏目掛け、魔法を撃つ。
「炎」勇者最高の炎系魔法だった。
数時間後の滝の洞窟。三人は生き延びた。死闘の末、主を排除した。ただし、滝の洞窟も跡形もなくなりそうになった。賢者が主を倒すのに強力な土系魔法を使い、天井の岩を落とした。そのため洞窟が崩壊しだす。
「バカヤロウ。早く水くめ」盗賊のナイフを振り回して勇者が怒りながら賢者に命令した。
「はい」賢者は持って来た竹の水筒に水を入れた。
「ごごご」岩が無数に落ちる。小さいのから大きいいのまで。
勇者は主戦で右足を負傷した盗賊を背中に乗せ、言った。
「行けるか」水を入れ終えた賢者は盗賊に水筒を預け、脱出準備が整った。
「はい」脱出のため二人は走り出す。魔法を使い早く走りたかったが、ほぼ魔法は尽きていた。
「すみません」申し訳なさそうに、単なるご老人になった盗賊が勇者の背中で謝った。
必死に走っていた勇者の脳に賢者と盗賊でない声が・・・聞こえてきた。
「来た。先生」更生カウンセラーが魔法連絡してきた。魔力が尽きるのを恐れ勇者は早口になった。
「俺の魔力少ないから手短に言うぞ。水確保。今より洞窟出る。じいさんに、水預け・」魔力が尽きてしまい勇者は魔法連絡が使えなくなった。
「くそ。・・・無理か」口を何度も抑える勇者。魔法が発動しないことが分かると、根限り出口に走った。黙々と。
前方から風が流れてきた。出口だ。先頭を切って走る勇者が気付く。その間も崩壊は続いた。
「ごごご」
光が見えてきた。遠くにあった光の量が増えて行き、最後には、三人を包んだ。滝の裏側に出た。三人は洞窟を脱出することに成功した。暗闇に目が慣れた三人は眩しがった。すると、知らない声がした。
「勇者様一向ですね。ご帰還おめでとうございます」人影が滝の裏側に現れた。
「ごごごご」
目の視界が悪く顔などは三人とも認識できなかったが、人物の予想はついた。勇者がこう答えた。
「ああどうも。どうも」敵意のない振りを勇者がすると、あちらも自己紹介して来た。
「ごごごごごごっ」
「初めまして、私たちは国王直属近衛兵」と言ったおりに、すごい揺れがした。その場にいた全員が転んだ。
「ごごごごごご~~ごん。ぼ~」大量の水と岩が滝の洞窟より噴出、洞窟は崩壊した。
洞窟の崩壊で、生き場を失った大量の水が生き場を求めるように、岩壁を刳り抜き滝の幅が広がって行った。大量の水と岩がその場にいた全員を巻き込んだ。誰一人としても自然の力には逆らえなかった。全員が流され、滝幅が三倍に広がった。




