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天を破りて・後B23

『エー先輩っ!?』


『ビーツ艦長!!』


 俺とビーツは、ソータとアークとシーナとライラを庇うように、小型のDタイプとの間にリヴァイヴとブラックイレイザーを割り込ませるのだった。


 次の瞬間、迫るDタイプを機体の全身で受ける。ソータたちを守るために、ビーツとともに身代わりとなった。


 だが、ただでは終わらない。リヴァイヴは損傷が激しくなったイレイザーとタキオンが、もうまともな武器を持っていないので、寸前でショートライフルを投げ渡す。


 ブラックイレイザーはXタイプが回避運動を取る前に、ダークネスジャケットからビットをすべて射出し遠隔攻撃を実行。レーザーブレードを展開し肉薄すると、それを避けようとしたXタイプの眼前からすべて消え、そして四肢に深々と突き立った。シーナのお返しだ。ライラのワープを使い、ビットを回避運動を取る方向にすべて向けて放ったのだ。


 憤慨するXタイプがビットを抜き取る前に、ビーツが自爆コマンドを入力。内側から爆発し、四肢すべてが半分ほど消失した。


『エー先輩………そんな、俺なんかのために!』


『おいおい。忘れたか? 俺はリヴァイヴを遠隔操縦してんだよ。だから痛くも痒くもないし、死ぬわけねぇだろ。ビーツもな。それよりライラは………よし、再生したな。ソータ。アーク。今がチャンスだ。Xタイプが完全再生する前に止めろ。全人類の希望をお前たちに託す。行け!!』


『………わかった! 行くぞアーク!』


『ああ! ソータ!』


 ああ………絶景だな。


 俺は主人公に夢と希望を託せた。


 アークは死ななかった。難局を乗り越えて、Xタイプにチェックメイトをかけようとしている。


 俺の転生生活、いや推し活にも、意味があったってもんだ。


 Xタイプは四肢を失い、迫るソータとアークを睨む。そして背中の膜を展開した。


『うっ!?』


『なんだよ………これは!』


 距離にして50メートルのところでイレイザとタキオンは停止してしまう。


 原因を調べる。衝撃波だ。あの背中の膜を展開することでXタイプの全周囲に防壁を構築しているのか。


 謂わば、Xタイプの最後の抵抗にして、最後の壁。しかし乗り越えるにはイレイザーとタキオンでも足りない。なんと、ここにきて推進力が欠如していた。イレイザーに至っては、マルチプルジャケットを放棄してしまったことが痛手となっている。


 Xタイプ最大の障壁を突破する手立てがソータたちにはない。イレイザーとタキオンは、いつまでも衝撃波に晒されていてはいずれダメージが耐久値を振り切って自爆してしまう。圧倒的に時間がない。


 ところが、そんな2機の間をより苛烈な勢いで通過する存在があった。


『テメェ、さっきはよくもやってくれたなぁ………ソータきゅんとアークきゅんばかり見てていいのかぁ? ここにはテメェの天敵がいるんだぜぇ? この程度の障害、私が突破してやらぁッ!!』


 回復したライラだった。小型Dタイプの猛攻を受けて、その凶刃こそ届かなかったものの、被弾した際の内部への衝撃は凄まじく、シーナは再び血を鼻や口から滲ませていた。覚醒は辛うじて維持できているらしく、怒りからくるアドレナリンなどがシーナを動かす原動力となっているのだろう。


 また、飛び出したライラは両腕を前に突き出して、障壁の中和を開始していた。イレイザーとタキオンは未だ推力不足で動けずにいたが、ダメージは緩和される。


『あと少しでサビなんだよぉ………オスたちが超かっこよくて、キラキラしてて、私のテンションがブチ上げられるその瞬間を、邪魔すんじゃねえッ!!』


 タイミング的にもあと少しだ。サビに入れば最大の見せ場。アニメの鉄則。


 だからこそ、俺たちもその時を息を潜めて待っていた。


『進めない………ジャケットを捨てたのが失敗だったなんて………』


『これじゃ、どうにもならない………』


『諦めんな!』


 ソータとアークらしからぬ弱音が聞こえた。それを振り払うように叫ぶ。


『ひとりじゃ無理でも、俺たちがいればやれる! お前たちが俺に教えてくれたんだろうが! それになソータ、お前の判断は間違っちゃいない!』


『エー先輩?』


『イレイザーのジャケットのハードポイント開けろ!』


『え?』


『い(・)ま(・)行(・)く(・)ぞ(・)!!』


 小型Dタイプの拡散弾で大破したリヴァイヴとブラックイレイザー。


 だがXタイプはひとつ見落とした。この機体はリモート操縦であること。


 そして俺たちの計算により、背中に庇っていたものすべてを守れたという事実。


 リヴァイヴとブラックイレイザーの背部で、ボンと初めて大きななにかが剥離する。


 パージされたのはジャケットだった。


 オールパーパスジャケットとダークネスジャケット。


 そう。俺たちは機体を捨て、ほぼ無傷で守り抜いたジャケットにリモート操縦をシフトしたのだ。


『推進力が足りないなら俺を使え!!』


『エー先輩………そうか。そういうことか!』


『お前のタキオンもジャケットシステムに対応している。背部のハードポイントを開け。アーク!』


『了解! ビーツ艦長!!』


 これはまさしく原作にないオリジナル展開だ。


 一貫してネイキッド状態だったイレイザーにオールパーパスジャケットが。同様にネイキッド状態を一貫したタキオンにダークネスジャケットが接続される。


『あ………テメェらモブオスども! チクショウ! サビに入ったからって、イケメンたちと合体しやがって! 羨ましいじゃねぇかこの野郎! クソが! この怒り、憎しみ、全部Xタイプにぶつけてやらぁああああ!!』


 ジャケットが支援機となって主力機に合体する。このロボットアニメならではの、熱い展開にシーナは嫉妬しないはずがない。


 イレイザーとタキオンが、より強力な推進力を得ると、停止していた場所から徐々に進み始めた。


 それに呼応するように、シーナがさらに出力を上げる。ライラは剣の切先のように壁に食い込み、ソータとアークの進路を形成。


『畜生! あいつまたDタイプを!』


『シーナ! そのまま進め!』


 オールパーパスジャケットのワイヤーを射出。ブレードを展開し、ライラの突撃を支援。この操縦はすべて俺によるものだ。ソータにナノマシンの影響は出ない。


 衝撃波のなかに小型Dタイプが混じり始めたので、ブレードでライラを防衛する。


『カウンターシステム、最大出力!』


『っ………もうお前が限界だ! 保って20秒と思え!』


『10秒保てばいい!』


 俺の体を管理していたケイスマンが告げる。


 障壁を突破するライラの防衛をより的確なものとするため、ナノマシンを起動。感覚とリンクさせ、ブレードを最適解の角度に調整しながら小型ドリルを切断する。複雑な絡み合いをするワイヤーは無事でも、ブレードの消耗が速い。が、ライラの勢いがより勢いを増し、完全に壊れる前に、ついにXタイプに手が届くところに到達した。




『調子乗ってんじゃねぇぞテメェ。人間様を舐めるなァッ!!』




 Xタイプの頭部を掴むライラ。ついに接触を果たし、シーナが宣言どおりの全力全開のBLアニメーションを注入開始。すると、これまでダメージを受けても身動ぎさえしなかったXタイプが、初めてビクンビクンと激しく痙攣する。おそらく、宣言どおりに劇場版アニメくらいの尺のイメージ映像を圧縮して、数秒単位で叩き込んでいるに違いない。恐ろしいことをする。Xタイプといえど、やはりこれを受けて理解できるはずがなく、自壊へと追い込まれていった。




『ひとりじゃダメでもふたりなら進める。この6人が揃ったことと、俺の推し活を止められなかったのがお前の敗因だッ!!』




『苛烈な演出ご苦労だったな。しかし転生者たる俺たちを前に、通用するはずがないッ!!』




 シーナとライラが切り開いたルートを、ジャケットを得てより加速性を高めたイレイザーとタキオンが駆け抜ける。ライラの両サイドから迫り、リヴァイヴが託したショートライフルに全エネルギーを集中。銃口から発生するビームを銃身の下にあるブレードに添わせ、巨大な刃を作る。





『未来を!』




『希望を!』




 イレイザーは右手に、タキオンは左手に構えたビームブレードを、突出するソータとアーク。




『奪うなぁぁあああああああああああ!』




 それはソータの最後の台詞だった。今回は生き残ったアークと分担し、最後はともに叫ぶ。なんて胸が熱くなる演出だろう。


 イレイザーとタキオンが放ったビームブレードが、Xタイプの胴を左右からクロスするように貫く。


『見たかXタイプ。………これが、俺の推し活の集大成だよ………』


 最大出力で発動したカウンターシステムが緊急停止する。本当にこれ以上は俺の生命活動に関わるのだろう。ケイスマンの意志の判断だ。


 ソータとアークの最後の一撃と、シーナの汚染により、Xタイプは何回か身悶えしたあと───やっと崩壊するのだった。


ブクマ、評価、リアクションありがとうございます!

明日は日曜日ですね。とりあえず、C1を0時に。12時頃にエピローグを更新し………それで完結となるのですが、実はまだ終わりません!

理由は最終回にヒントがありますので、お見逃しなく!

久々にブッパします!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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