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天を破りて・後B07

『全機に通達! これより、新たな戦術を共有します!』


 この声はクスドだ。


 若干涙声であるが、気丈に振る舞っている。もう、彼はそれができるくらい成長したのだとわかる。


 腕の端末に新たな情報が送られる。ガリウスGはサブモニターに作戦の映像がながれている。俺とビーツの場合は脳内チップを介して、頭のなかで再生した。


『敵は未だ、主力を残して300ほど展開。また、Lタイプは狙撃されると危惧したXタイプが、後方より新たな群れを呼び寄せて、それを足して1300ほどになると予想されます』


 予備戦力も投入したか。いったいアンノウンはどれくらいいるのやら。


 しかし、もうすでに4000体は倒しているはずだ。今もなお、グラディランド・フルブラスターとコーネリアの艦隊、その指揮下に入ったガリウスH部隊が砲撃を継続して数を減らしている。


 もしかしたら、この世界にいるアンノウンのほぼすべてをこの戦いに投入しているのかもしれない。仮にこれを叩ければ、今後は楽になるだろう。だが戦争自体が終わるわけではない。劇場版の決定は覆されないだろう。新たな敵の出現が確定しているようなものだ。アンノウンはまた増える。それまで小競り合いが続くくらいか。


『この戦争は、もうすでに佳境に入っていると言えます。総力戦です。しかし消耗戦をするつもりはありません。最短で群れと、首魁を叩きます!』


 それを可能にするのがクスドの策だ。


 いやはや、自分で言っておいてなんだけど、マジでビビるわ。


 原作ではクスドはアークに撃ち殺されていて、グラディオスは優秀な戦術アドバイザーがいないから、感応現象を打ち破ってもグラディオスは中破していて、まともに戦えなかった。


 ソータとアークが決死の抵抗と特攻を仕掛ける。Xタイプまで届く寸前でアークまで殺されて、激昂したソータがXタイプを追い詰めて倒す。


 壮絶な痛みを抱え、そして双方とも無傷では済まされなかった消耗戦だ。


 しかしクスドは、それを選ばない。選ばないよう教えてきた。俺好みの参謀になってくれたことが、とても嬉しい。


『こちらの主力は………ソータ、アーク、エー先輩、ビーツ中佐、シーナとライラの5機を想定。各機、合図とともに散開しつつ前進! 進路を構築しつつ、5機は周囲を援護しつつXタイプへと突入してください! グラディランド・フルブラスターと、コーネリア少将の艦隊の援護はガリウスH部隊とコーネリア隊のガリウスFが担当します! こちらのことは気にせず、そして振り返らずに進んでください!』


 ………そう来たか。


 クスドらしい選択だ。


 主力をソータとアークに据えるのは大正解だ。オリジナルガリウスだし。


 そしてそこに、同じくオリジナルガリウスたるリヴァイヴの俺とブラックイレイザーのビーツ、ライラと同化したシーナを添えた。


 まさしく総力戦においての最適解。


 各機のサブモニターや、俺たちの脳内では3Dで作られた空間が、立体的な図を作り出していた。


 敵陣に食い込んだこちらの牙───という印象だ。円錐型のそれが時間を増すごとにより深く食い込んでいる。


 これを可能にできるかどうかは、俺たち次第。実際、旗艦の防衛は同行させたアリスランドの戦力に任せられ、後顧の憂いなく攻勢に特化することができるだろう。ただしその攻めの難易度が高い。少数精鋭でこれをやるという発想は、瞬間的には出せないものがあった。


『了解した』


 シドウが述べた。なんの躊躇いもなく。


 自信しかないのだろう。


 その自信はどこからくる? いや、これは多分、数多の戦場や修羅場を潜り抜けたからこそ出せる判断だろう。


『相変わらずクスドの策というのは、ぶっ飛んでいるな』


『その策に負けたのが、僕たちだよ。ビーツ艦長。だからこそ信頼に足る』


 今は味方であるアリスランド勢だったビーツとアークが苦笑して言った。


 クスドの無理難題は難易度が高いが高確率で効果を発揮することを知っているのだ。


 後ろを振り返らず、下手をすれば孤軍奮闘しそうな一点突破。すべては敵陣を突破し、俺たちをXタイプへ届けるためのもの。


 まぁ初めてこちら側にいるビーツも、興奮を禁じ得ないのだろう。これで喜んでいるのだ。あいつは。


『よし───各機散開! エース、ソータ、シーナ、アーク、ビーツをなんとしてでも突破させろ! オールウェポンズフリー! 短時間の勝負だ。しかしなにも臆することはない! これまでもそうだった。敵は強大で、時として何度も死を連想したこともあった。だがその度に、俺たちの問題ばかり起こす副隊長が奮闘して解決したな! 今回もきっとそうだ。エースを信じろ! どうせ、無策ではない! 俺たちを驚かせてくれるだろう! 俺はそれを見てみたい! 奴は実際、地球に降下する前にクランド艦長が冗談で仰った艦の変形をやり遂げたのだからな! この感情を共にするのであれば、躊躇いなく進め!』


『了解!!』


 シドウの命令で二号機から十三号機が飛び出す。


 隙間こそ生じるような数の減り方をしたが、まだ後方に予備戦力が控えていて、目の前を多い尽くす銀の光に向け、フルスロットルで突撃していく。


『………ソータ、アーク、ビーツ、シーナ、ライラ。よく聞け。お前たちのタイミングで飛び出していい。そこは任せる。みんなを支援しながらXタイプに仕掛けるぞ。簡単じゃないことはわかってる。でも、これが俺たちが知る最終決戦だ。安心しろ。俺たちが知ってるアニメの世界じゃ、ちゃんと勝った。そこに俺たちが加われば………数で圧倒的不利な状況でも、戦死者を出さずに勝てる。だから誰も死ぬんじゃねぇぞ? 生きて………生きて帰るんだ!』


 リヴァイヴも飛び出す。


 イレイザーとタキオン、ライラも続く。ワンテンポ遅れてブラックイレイザーも飛び出した。


 それぞれが異なる空間で戦い、円錐型を作ろうとしている。なら俺たちもそこに加わりながら進めばいい。


 実力のあるナンバーズの前半は、もうすでに敵陣の半分まで到達して、少数で組んで穴を広げていた。


 まず支援すべきは、手前である。


 タイタンジャケットより重量があり、推進力も劣る十三号機がいた。


 ヘッジホッグジャケットを纏い、凄まじい勢いでマイクロミサイルを発射している。


『よう、アレン! 調子良さそうだな!』


『おう、副隊長! 最っ高の気分だぜぇえええええええええ!!』


 面白いリアクションだこと。


 これでアレンは普段オロオロしてるくせに、戦闘になるとこうも性格変わるんだからな。


 原作ではつい数分前に戦死するはずが、瞬時に感応現象を相殺したことで、意識を肉体に戻して被弾を免れた。


 だが宇宙空間でもどちらかといえば愚鈍で、被弾しやすいことには違いない。ゆえに唯一、敵陣のなかに突撃することはできない。だがアレンはそのことについて悲観はしない。敵陣の前方で思うがままミサイルを放ち、友軍の支援ができることに喜びを覚えていた。


 リヴァイヴも十三号機の隣に並び、ショートライフルで砲撃を支援する。まずは近寄ろうとするアンノウンの数を減らす必要があった。イレイザーとタキオンも呼応して、少し下がったポジションから射撃を開始。ライラとブラックイレイザーは異なる空間から突入したが、ギリギリ円錐型の枠のなかにいる。


『そういえば俺、お前に謝らないといけないことがあったんだよな。悪かったよアレン。俺、あまりお前に構ってやれなかったな』


 第2クールから登場するキャラクターにおいてはそうだ。最終決戦まで生き残ることは知っていた。むしろシェリーやハーモンが危なかったため、どうしてもそちらに注力する必要があったのだ。


リアクションありがとうございます!

明日は可能なら2回更新します。


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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