天を破りて・後B02
「グラディランド・フルブラスター、敵陣第一波に接触します!」
「ライトアーマー、レフトアーマーに装着されている大型ビームシールド展開します!」
単独で敵陣を突破しようとしているグラディランド。フルブラスターの名を冠する3隻合体艦になると、これまでどうしても必要だったが、無理が祟ってコアが破損、二度と使えなくなってしまった大型ビームシールドが、なんとアスティオールと合体することで新たに補充されることとなった。
アスティオールは魔改造したグラディオス改よりも200メートルほど延長して製造された怪物を思わせる超弩級艦だ。露出していたり、内蔵されている武装の数は倍もある。でもまさか大型ビームシールドを開発して、最終局面に間に合わせるとは思いもしなかった。
グラディランドがアスティオールを背負う形で接続。分離してからジャケットシステムのように全身に装甲を纏う。
アスティオールは主要な部分や推進器以外をグラディランドに分け与えた形になるが、剥離した装甲の内側からも新たな装甲があった。ビーツ考案だろう。元のアスティオールに過剰なほどに装甲を取りつけたのだ。縦に延長するだけではなく、余剰パーツをこれでもかと取り付けて横にも伸ばしたのはそういう目的があったのだ。
そのお蔭でグラディランドの腕に接続されたアスティオールの外装の一部が、激戦を経てボロボロになってしまったグラディランドの装甲を守る鎧と化した。大型ビームシールドも両腕に新たに追加されていた。
前方のみならず上下左右を巨大なビームで覆うグラディランド・フルブラスターは、接触したアンノウンを轢き飛ばして敵陣のなかを推進する。
ところが、主砲を使うと決めたことでエネルギーをどうしても一部削減する必要があった。それが背後。ビームの膜が届かず、背負っているアスティオール側がどうしても無防備になってしまう。
………いいや、これはクスドのプランだ。ソータがパイロットで最強なら、クスドは参謀として最高の能力を秘めている。それは俺が一番よく知っている。
敵の布陣を2割まで突破したその時だった。グラディランド・フルブラスターを援護する砲火が放たれる。
支援要請したコーネリアの艦隊だ。ガリウスH部隊を投入後、コーネリアの指揮下に置かれて、グラディオスクルーが俺と、アリスランドクルーがビーツと再会、九死に一生を得たことによる感動をわかち合う時間を稼いでくれた。
それでもあの物量差だ。いくらコーネリアが優秀な部下を従え、師団をいくつも従える大部隊であっても、アンノウンの揃えた数には勝らず、どうしても被害が出てしまった。
そこでグラディランド・フルブラスターが前進。暴れ散らかしている間に後退し、部隊を再編制。まだ戦える艦隊を引き連れて布陣を整え、アンノウンがグラディランド・フルブラスターに注目し、集中砲火を浴びせている隙に、横から一斉射撃により攻勢を削いだ。見事な横槍だ。芸術的なタイミングとも呼べる。
かくして隙だらけの横っ腹に強烈なブローのような砲火を浴びたアンノウンはたまらず消滅していく。その間にもグラディランド・フルブラスターは微塵も怯まずに突貫し、広大な敵の布陣の中央に達した。
俺はレーダーと艦外カメラに意識を接続。一度は捉えたあの悪魔を索敵。ついにチェックメイトまでかけられたのだ。手を伸ばして、もう少しで掠めるところだった指先。
逃がさない。再び与えられた好機。絶対に無駄にはしない。
しかし、どれだけ意識を集中してもXタイプを探り当てることはできなかった。
《どうやらXタイプも、動き出したようだな》
《ああ。原作でもそうだったな。シドウがロングソードを突き立てようとした瞬間に、あの悪夢みてぇな時間が始まった。感応現象だ》
ビーツからの脳内チップ間の共鳴現象を利用した通信で、瞬時に意見を交換する。
《タイミングは読めるか?》
《原作とは異なり、奴は姿を隠した。指揮系統はまだ生きているので、尻尾を巻いて逃げたとも考えにくい。なら、どこかに引きこもっているのだろう。………おそらく、こちらが仕掛けると同時に、奴もカウンターを狙う。脳内チップを有する俺がそのタイミングを読む。貴様はカウンターのカウンターを、狙え………》
《………ビーツ? おい。どうした? 随分と具合悪そうじゃないか。変な声になってんぞ。気色悪い。ははーん? さてはお前、さっきの無茶が祟って、脳内チップがオーバーヒートして周辺の脳が焦げてんだろ?》
ビーツは前世から俺様至上主義というか、独裁者の気質があった。転生してからも自己中心的なスタンスは変わらなかった。
それが今や、俺と手を組むしかない状況になると、ポリシーというか、俺へのライバル意識さえ捻じ曲げて、自ら支援に徹しようとした。決定的な一打なら、まず自分が取りに行きたい子供じみた思考をしているくせに。
《黙れ………どこぞのヘタレが、簡単に心が折られてしまったからな。フォローするのも苦労する》
《ああ、そうかい。そりゃご苦労なことだな。その殊勝な心掛けに免じて、もしお前がこのままくたばったら壮大な葬式をしてやるよ。棺桶に猫や犬の糞をギッシリ詰めて土葬がいいかな? さぞかしカスでクズな野郎にはお似合いの末路だろうよ》
《貴様………》
《それが嫌ならくたばるな。戦え。クズでカスなお前にも、帰りを待ってくれる奴がいるじゃねぇか。俺はそいつらに恨まれたくないしな。だからなにがあっても生き残れ。泣き言ほざく前にその方法を編み出せよ。屁理屈は得意分野だろうが。………Xタイプの感応現象は俺が止めてやるよ。でもな、俺ひとりじゃ足りない。俺は発破だ。その直後に爆発的なエネルギーを生み出すのは、俺とテメェとシーナ。とにかくテンションを上げて、Xタイプのクソ現象を打ち破る》
《………貴様へのリベンジが済んでいないにも関わらず、くたばるのは下の下か。いいだろう。泥を食んででも生き残ってやる。だが現象、俺がそこまでエキサイティングするほどの余力があるかどうか………》
《安心しな。強引にでもブチ上げてやるよ。そうだな。ウィスキーとウォッカをチャンポンして一気飲みした新歓みたいな気持ちにさせてやる。あの時のお前、本当に面白かったなぁ》
《忘れろッ!!》
ビーツはクズでカスだけど、なにも本当に死んでほしいわけではない。だからと言って、ピンピンしているようでも面白くはないが。
そして今の俺の手持ちには、俺とビーツとシーナという、3人の転生者を狂喜させる切り札がある。
ファンなら誰でも知っているものだ。実は俺がグラディオスを強奪する前に完成させ、シーナに提出するつもりだった。シーナとともに完成の祝いをしたかったのだが、左腕の金属化やら、この最終決戦の調整や計算などで忙殺されるくらいのスケジュールだったゆえ、うっかり忘れていた。しかしそのうっかりが、これから訪れるであろう闇を打ち破る光となる。
シチュエーション、タイミング、経過時間。すべて良し。俺たちの真の反撃は、そこから始まる。
「グラディオス、敵陣を突破! 両断された敵勢力、コーネリア少将の艦隊により集中砲火を浴びて確実に数を減らしています!」
「レイライトブラスター、エネルギー充填100パーセント!」
「姿勢制御良好! 反転開始します!」
「コーネリア少将の艦隊が後退しつつ密集陣形に以降します。射角確保まで30!」
オペレーターたちが告げる。グラディランド・フルブラスターが物凄いスイングで反転する。
追撃に入ろうとしたアンノウンを正面に捉えて、さらに両方の肩部にアスティオールがさらに変形し、巨大な砲塔が接続される。なんとアスティオールの主砲は2門だったのだ。
「友軍、退避完了!」
「よし! 4連レイライトブラスター、撃てええええええッ!」
クランドの合図により、肩部と腹部の主砲が、巨大なビームを敵陣へ向けて照射した。
たくさんのブクマ、たくさんの評価、リアクションありがとうございます!
先日はたくさんのPVをいただき、気合いが入ります。書き溜めするモチベが上がりっ放しです。
来週に完結する予定ですので、そこで大量放出するのも手段なのかもしれません。期待していただけると嬉しいです。しかも、まだそれで終わり………ではないという。
作者からのお願いです。
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