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もう戻れないB15

 俺たちが初めてEタイプに遭遇したのは原作で言う7話である。


 その頃の俺はといえば、アイリに一生残ってしまう肉体的な傷と、トラウマなどの心の傷や、ソータとのすれ違いをどうしても回避したく、グラディオス全体を欺いてレイライトブラスターの区画で試行錯誤していた。


 俺はまだ本格的な自機を持てずにいたし、ドローンカメラのパイロット程度の立場。実際にはEタイプと対面していない。それからしばらくして第11話でやっと初となるEタイプと遭遇し、討伐した。


 そしてグラディオスは、その時からなにも進歩していないわけではない。


 これまではガリウスでチマチマと攻撃してコアを探り、内部に潜るというリスク高めな攻撃方法で討伐したりしていたが、グラディオスに徹甲榴弾や、ガリウス用に高性能貫通弾を開発。あまりの破壊力のため対人戦においては絶対に使用してはいけないとクランドが人道的な判断を下したため先の戦争では用いることがなかったが、今回は違う。


『これならお前の弱点を探るまでもない』


 シェリーも覚醒を使う。


 Eタイプは巨大な龍の頭を模した、アンノウン最大級の巨大な空母である。


 それに対し、シェリーは専用のスナイパーライフルを構え、可動域を確実に狙撃した。


 内蔵するアンノウンを吐き出す上顎と下顎の関節二ヶ所を間髪入れず射抜き、ガクンと下顎が力なく垂れ下がったところで口腔を狙撃。内部を滅茶苦茶にしながら破壊していく。されどもコアには届かない。


 されどもシェリーは単独で行動しているわけではない。周囲のガリウスG部隊がシェリーに続きライフルを発砲。穴を広げていく。


『雷、来るぞ! 止めろ!』


『了解したわ!』


 Eタイプの新たな攻撃モーション、落雷が発動。二本角に電流を纏い、上空に打ち上げて降らせるのだ。雷雲がなくとも落雷を発生させることができる。


 それをさせまいと、マイアを主軸にしたキルカ、ナリヤの3機がフォーメーションを組み、主翼の下に懸架したミサイルポッドで爆撃を行う。可変機ならではの、元戦闘機乗りゆえの連携。Eタイプの角が折れる。


 次々とEタイプの攻撃方法が奪われるなかで、焦りを覚えたのか吠えると、周囲のCタイプが集合し壁になろうとするのだが、Cタイプを減らしていたハナとアイリが割り込んで妨害。


『眼球みたいなところを厚くした。そうか。そこがお前のコアか!』


 シェリーの優れた観察眼により、敵の弱点が露呈する。


 Eタイプに直接攻撃を行っていたヒナとユリンは、毛髪が触手のように迫る攻撃をそれぞれの回避方法で潜り抜ける。副隊長権限で2機の状態を確認したが、数秒とはいえ高熱の塊に接近し過ぎた。排熱を余儀なくされる。


『ここは俺がやる! ヒナとユリンは後退! シェリー、確実に仕留めろ!』


 成熟し、実力のあるパイロットだからとはいえ、シドウは自らヒナとユリンのポジションを交代する。単独で注意を引きながら髭や毛髪の攻撃を回避するのは流石だ。注意しかけたのは俺の見損じである。シドウもまた成長しているのだ。俺の知るなかでもっとも隊長に相応しい男になった。最初はあんなツンデレだったのにな。


 Eタイプはこれで討たれるだろう。地上も制圧しつつある。グラディオスの武装は未だ半減しているが、甲板からアレンがミサイルシャワーを放ち十分な火力で支援している。


 第22話の終盤にして、誰も欠けることなく健在というのは、やはり壮観である。どれほどのマルチタスクに追われても、すぐに対応できる。


 これが俺のやってきたこと。原作破壊行為の成果。


『………む?』


 その時だ。赤いタキオンをソータとともに猛追する途中で、ケイスマンの意志が発言する。


『これはなんだ? メッセージ? 暗号にしては複雑で、解読させるつもりがないのか? いやそれとも、簡単に解読されないよう周到に複雑化させた………』


《なんだ? 報告があるなら簡潔に言えよ》


『あのイレギュラーなる者から、なにかが送信されたのだ』


《は? イレギュラーからだと!?》


 腕の端末にはグラディオスを統御する高性能AIハルモニと、リヴァイヴのレイライトリアクターにはケイスマンの意志が人工知能化され搭載されている。いずれにせよ俺には必要不可欠なものだ。


 しかし二刀流の運用というのは俺の考え以上に難しい。ケイスマンの意志ならともかく、ハルモニに二刀流の使用を悟られてはいけないのだ。ハルモニはグラディオスと繋がっている。ケイスマンと旧知の仲だというカイドウに、その存在を知られては、俺の生還などでは合点のいく説明はできるだろうが、なぜそうなったのかという、これまでの過程を語らなければならない。


 ケイスマンの意志は俺が転生者であることを知っている。そこに興味を持ち、協力してくれているのだ。


 それゆえに使用する際は細心の注意を払わなければならない。分割化といえばイメージしやすい。脳内チップの能力を拡張し、ハルモニとケイスマンの意志で分別して頭のなかで利用しているのだ。


 というのも、グラディオスに合流する前に、このことをケイスマンの意志に相談していたのだが、分割して使えばいいと冗談みたいな提案をされ、実行してみたらできてしまったのだ。俺も驚く一方で、やれてしまう化け物みたいな頭脳になってしまったことを少しだけ呆れた。


《それで? イレギュラーはなんだって? 命乞いでもしてるのか?》


『それは不明だ。私でさえすぐに解読できるものではない。む、余計なことを言ってしまったな。このメッセージは預かっておく。きみは戦いに集中したまえ』


 だったら戦闘中ではなく、戦闘後にそれとなく言ってくれればいいものを。


「俺をターゲットしているのに、メッセージを送ってくるだと? いったいなにを企んでやがる。うおっ!?」


 イレギュラーの奇行に苛立ちを覚えたのが失着だった。一瞬とはいえ集中力を欠いた。赤いタキオンはリヴァイヴの挙動から見抜いたのだろう。ヘビィガンをノールックで発砲し、ソータの猛追にフェイントを仕掛けて離れ、今度はリヴァイヴを襲う。


 ヘビィガンをローリングで躱した眼前に赤いタキオンがいた。


 ヒートナイフをショートライフルのブレードで受けるまでは初撃と同じだが、学習した赤いタキオンはその状態でドリルのように全身を回転させることで強引に防御をこじ開けようとした。


 やられる───全身の細胞が危険信号を発しているような感覚。


 カウンターシステムが作動し、無意識のうちにナノマシンが発動しようとした、その時。


『テンセイ………シテミテ………ナニヲ、オモッタ?』


「なに!?」


『コタエロ………オマエハ、コノセカイデ………ナニヲ、ナス? ドンナ、ガイアクト、ナル?』


 それは赤いタキオンからの問いかけであった。


 なにを成すのか。どのような害悪となるのか。だと?


 前よりも愉快な質問をしてくれやがる。


 それよりも笑えない、不愉快なことをしてくれた。


 赤いタキオン、イレギュラーは俺だけでなく、ここら一帯に呼びかけた。


 つまりパイロットのみならず、グラディオスにも当然届いている。


『なんだこの声は! 特定しろ!』


『そ、それが………赤いタキオンから通信です!』


『なんだと!? そんな知性が………ならば私が応じる。そこの赤いタキオン。我々は諸君らのことをイレギュラーと呼称している。私はこの艦の艦長、クランド・デネトリアだ。応答が可能ならば応じてもらいたい。テンセイシャとはなんだ?』


 まずい。クランドが応じてしまった。


 解答権は俺だけにしかないなら、まだしも───


『ハイイロ、アカ、ロボット………ノッテイルモノノ、ショウタイヲ、シラヌノカ?』


 やりやがった。イレギュラーめ、面倒なことを!


ブクマ、リアクションありがとうございます!

本日は夜に予定が入ってしまいましたため、夜の更新ができなくなってしまいました。申し訳ありません。


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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