表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

505/557

因縁との決着B07

「第2フェイズ終了。第3フェイズに移行する。グラディオス、戻るぞ! ハナ!」


『了解だ。しっかり掴まっていろよ、コウ!』


 アリスランドの直上にて、グラディオスがレイライトブラスターを使用し、墜落するアリスランドに追撃し、航行能力を奪ったコウの十二号機は、ハナの改修型三号機のファイターモードをフライトシステムとし、その背に片膝立ちして陽電子砲を折り畳んで背部のハードポイントに戻した。


 第1フェイズがグラディオスのレイライトブラスター。第2フェイズが十二号機のブラスタージャケットの追撃。第3フェイズこそさらなる追撃。それがクスドが組み立てた戦略である。


 これまで飛翔能力を有する対艦戦のセオリーを選び、さらに改善案を出しては修正を繰り返してきたが、幾度も相対する機会があったゆえ、アリスランドの性能は、クスドの頭のなかにすべてインプットされていた。さらにレイシアに教えを乞うことで心理学を学び、ビーツの思考を分析。裏をかくことに成功したのである。


 ビーツなら初手からレイライトブラスターを使用することは読めていた。早期終結を目論んで───は、いないだろう。ビーツの目的はグラディオスの飛翔能力と航行能力を奪うことにある。制空権を掌握するためだ。


 ならば、アリスランドよりも早く動いて、そのまま返してしまえばいい。


 さらにクスドは、宇宙空間で使用することが念頭に置かれるはずの陽電子砲を強引にジャケット化した、ブラスタージャケットをコウの十二号機に換装させ、ハナの三号機を輸送手段としてより上空に配備。次撃でついにアリスランドの移動手段を奪った。


 コウの十二号機が改修型三号機によって運搬される。ブラスタージャケットは、レイライトリアクターによって生産されるエネルギーの、フルで貯蔵した動力の八割を消費する。一撃放っただけでも機能停止寸前まで追い込まれる上に、とても重く衝撃も強い。


 とてもではないが軽量化と可変機構が追加された改修機では撃てない。撃てば関節がほぼ故障し、変形できなくなる。よって以前の頑丈と堅牢が特徴の改修前のガリウスGに搭載するのが正解なのだ。


 大気圏内においては甲板に出て、固定砲台と化していたが、クスドのガリウスG改修型による大胆な運搬方法が採用され、戦果を発揮した。


「アリスランド、海面に着水! 浮上していますが、浸水が激しく後部から沈没しかけている模様!」


「しかし前部レイライトリアクターは健在。サブスラスターも被害は軽微。完全な沈没には至りません」


「アリスランドのハッチが開きました! 艦載機が出撃する模様。また、アメリカ支部の艦隊も動き始め、アリスランドの防壁となる予想です!」


 オペレーターたちが戦況を伝達する。


 クランドは誰にも見られないアングルで、グッと拳を握り込む。それから副艦長の席に座るクスドへ目配せした。


「第3フェイズ、発動可能です!」


「了解した。第3フェイズ発動! 誘導弾、砲門開け! リニアカノンに鉄鋼榴弾装填! アメリカ支部の艦隊が到着するまでが勝負だ。アリスランドに休む暇を与えるな!」


「ハッ! 目標、甲板ならび艦首! 誘導弾は拡散弾頭に変更を確認。並びリニアカノンに鉄鋼榴弾装填完了! 砲撃開始します!」


 砲術長が叫ぶ。ミサイルだけではない。全武装がグラディオスの怒りが込められていた。


 ビーツが支配し、これまですべてがまかり通ると勘違いしているアリスランドへ、逆襲の放火を叩き込む。


 ところが、第3フェイズからグラディオスの攻撃が通らなくなった。


「アリスランド艦載機、ガリウスH部隊が展開! ビームシールドです! 支部防衛並みの高出力のバリアを展開!」


「構わん! 撃ち続けろ! 所詮はガリウスGを模して作られた機体だ。レイライトリアクターまで新型にはできないはずだ。ガリウスFのレイライトリアクター程度のエネルギー生産率など知れている。ならば消耗するまで撃ち込んでやればいい。エネルギーを消耗するだけのシールドなど、なんの脅威にもならないと教えてやれ!」


「アリスランドより漆黒のガリウスが出撃! これは………タキオンです!」


「ついに出たか。………こちらもガリウスG部隊、全機スクランブル! タキオンは………イレイザーに対処させろ。アメリカ支部の艦載機はどうだ?」


「第1のイーグル師団が展開中。ドイツ支部の、コーネリア少将が指揮を執るガリウスF部隊と交戦に突入します。また第2のレオ大隊もアリスランド防衛のために左舷より展開することが予想できます!」


「アメリカ支部か。………ワプス支部長には恩がある。情もある。だがこの時においては容赦することの一切を禁ずる。全パイロットに、レオ大隊とアリスランドの艦載機の相手をするよう伝達。コクピット以外ならどこに当てても構わん。敵対する者はすべて海に叩き落とせ! 沈めるのはアリスランドのみでいい!」


 容赦は禁じると言っても、殺意を込めるのはあくまでアリスランドのみである。アメリカ支部の艦隊は今は敵だが、クランドはワプスの手腕を知りながら、その戦術にどこか違和感を覚えた。


 総司令を据えておきながら、積極的に守ろうとしないのだ。レオ大隊の動きがそうである。艦のみならともかく、フライトユニットを装備したガリウスF部隊のみなら、もっと迅速に防衛網を展開可能だと思ったのだ。


「ワプス支部長は………やはり」


「はい。ビーツ艦長ならびオルコット氏の軍門に下りつつも、この戦争においては積極性が見られないことから、なにか弱味を握られているのかもしれません」


 クランドは静かに独り言ったつもりだったが、クスドには聞かれていたらしい。


 同時に自分と同じ、いやそれ以外の見解を持つクスドを、再び振り返った。


「なぜそう思う?」


「ワプス支部長が指揮を執る第1のイーグル師団の動きを観察しておりました。片手間の見解で申し訳ありませんが、双方の被害、損耗率を鑑みるに、いくらコーネリア少将が指揮を執っているとしてもドイツ支部艦隊のそれが低すぎるのです。アメリカ支部艦隊は、攻撃こそ苛烈ではありますが、外見で、つまり見せかけの攻撃を繰り返しているように思えます。2発中1発が必ず外れる計算です。アメリカ支部艦隊の防御は堅牢で、ドイツ支部艦隊の全力であっても、あまり効果が見られない。これはつまり、指揮を執っているワプス支部長が、数と質で圧倒的優位にあるにも関わらず、手を抜いている証拠です。そしてコーネリア少将は、そんなワプス支部長になにも言わない。ビーツ艦長には容赦のない言葉を投げかけていた少将と、ワプス支部長がまるで事前に取り組んでいたかのような───そう、表現はもっとも相応しくありませんが、まるで茶番を演じているかのような」


「茶番………?」


 気になったクランドは、シートに備え付けられたモニターで、この海域のすべてを3Dマッピング化したものを展開する。リアルタイムで更新し続けるそれには、確かにクスドが言うとおりの戦況となっていた。


 特に旗艦でありながら、矢面に立ち、部下やドイツ支部の艦隊に檄を飛ばし、指揮を執るコーネリアが搭乗する艦に砲撃が集中する割には被害が少ない。


「ふっ………アメリカ支部にも、抵抗する力があるということだ。やってくれるではないかワプス支部長!」


 クランドはビーツとワプスのやり取りを知らない。しかしビーツが理不尽を強いていることは容易に想像できた。きっとこれは、ワプスなりの反抗である。防御をあえて遅らせ、ビーツを焦らせている。


 また、ワプスの意図を知らないアメリカ支部の軍人らは、飛び立ったばかりのアリスランドがいきなり沈没しかけた事実に士気が弱まっている。


 ならばまだ、やりようはいくらでもある。


ブクマ、リアクションありがとうございます!

2回目です! 次回は13時頃に更新します!

続けて15時頃に更新できそうなのですが………皆様からの応援が必要です!

ご協力お願いします!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ