物語は突然に終局を
僕に待っていたのは、ナツキとの幸せな時間だけではなかった。日に日に敵の侵攻は増えていき、連日のように僕とカイザリオンは戦っていた。今までは一体ずつ倒してきたが、最近は、何体も同時に、違う次元から侵攻しようとしている。そして。
「カイザリオン、ギャザッシュカノンは!?」
『すまないが、これ以上は使えない。我がリアクターが限界だ』
機体性能では遥かに高い鎧神慨装。とはいえ、こちらは一機のみ。対する奴らはまだ十体もいる。
しかも、だ。
奴らは異次元ではなく、会の住む三上崎に居るのだ。街並みを破壊し、燃やさんとする機械の化け物。迫り来る奴らをカイゼルブレードで薙ぎ払う。
「くそ、くっそぉぉぉぉぉぉ!!」
カイゼルブレードを分離し、それぞれ両手に持ち、目の前の二体を串刺しにする。それでもって奴らの体を裂いて、その後ろのもう一体を殺す。突如、降り注ぐ、閃光。上空からの攻撃。
「遂に決着の時が近づいてきたようだな、夜剣廻」
アルクォーネと、ナイトブレイドだった。アルクォーネは両腕のカイゼルブレードを起動させると、残っていた、機械どもを切り裂いていった。
「邪魔されてはたまらんからな、クククク・・・」
飛び掛かる、白い鎧神慨装。踊るように、舞うように。両の手より、ビームの刃を振るう。避けようとする、カイザリオンだが、確実に刃は目標を捉えていた、頭部を狙っている。
反射が間に合わない!廻は焦る。ふと、カイザリオンは左腕で庇う。二本の刃は一瞬、受け止められたが、それもすぐに破られた。
切断される、左腕。カイザリオン、そして、搭乗者の廻を襲う激痛。
「痛かろう?だが、これからだ。本当の絶望を知ってもらうぞ」
姿を消すアルクォーネ。痛みに打ちひしがれる、鎧神慨装のもとにすぐに現れる。だが、その手には。
ナツキが握られていた。
「ナツキッ!!」
叫ぶ僕。彼女の口が動く。
た、す、け、て。
「クククハハハハ・・・そこで見ていろ、夜剣廻よ。己の無力をなぁ!!」
そして。
握りつぶす、アルクォーネ。飛び散る鮮血。けたたましい、ナイトブレイドの笑い声。
「殺してやる、殺してやるぞっ!!!」
憎しみに駆られた僕がいた。
『モード、ジェノサイド発動』
カイザリオンが言ったモードを知らないが、気にせずに廻は敵に飛び掛かる。高速で振り下ろされる、一本の刃。それはアルクォーネの両腕を切り裂いた。
「そうだ、これだ。ククク、聞いているか、夜剣廻よ。遅かれ速かれ、彼女は死んでいた」
「死ね、死ねよ…」
「あぁ、死んでやろう。だが、言いたいことがある。何故、一体しかいない、鎧神慨装が二体居ると思う?」
答えない廻。なおも続けるナイトブレイド。睨み合う、二機の鎧神慨装。
「鎧神慨装が二体。一つはお前のカイザリオン。そして、私のアルクォーネ・・・いや、カイザリオン」
固まる廻。笑う声が聞こえる。
「数ある世界でカイザリオンを動かせるのは、そう、ひとりだけ。夜剣廻ただひとり。ならば、私はいったいなんだろうなぁ?」
導き出される一つの答え。
「そうだ、私も夜剣廻という、存在だ」
衝撃に動けない廻。
「私は彼女を失い、考えた。ヴァーウルの次元統治を行えば、次元は重なり合い、再構築されるのではないかと。私の知る、彼女がな」
狂う男の声。
「私はだから、仲間を増やそうとした。それはつまり、同位体である、夜剣廻のことだ。だが、どの次元の廻も、途中で死んでいった。だが、貴様は違った」
「私と共に来い。そして、次元を統一し、彼女を、ナツキを…」
「お前ごときが・・・」
冷たい憎悪の声が廻より漏れ出る。
「ナツキの名前を口にするな・・・!!」
変貌のカイザリオン。再生する左腕。黒い走行は白くなっていき、やがて。
二体のアルクォーネがそこにいた。
「殺してやるよ、‘夜剣廻’!!」
「来い、夜剣廻・・・」
再生する、敵の腕。
破壊への序曲はすでに始まっていた。
実は「鎧神慨装 カイザリオン」は三部構成の内の第一部です。この第一部は取り敢えず、バッドエンドです。




