もう一機の鎧神慨装
放課後。僕はさっさと家に帰りたかった。連日の戦闘は誰にも知られることなく、過ぎ去っていく。勿論疲れないわけがない。気だるい。だから、さっさと帰って次の戦いに備えたい。だというのに…。
彼女は僕を仁王立ちして通せんぼするのだ。彼女とは、勿論ナツキ・エリクソンだ。勝気な顔して僕を見る。
「今日は逃がさないんだから」
今まで逃げてきた、ツケか。その目は獲物を狩る猛禽類の目だ。あきらめる僕。いつだって彼女は僕に勝つのだ。
「・・・何の用だ」
「あんたさ・・・何か隠してない?」
彼女の射抜くような目。
「ないよ・・・僕には・・・」
「嘘ね。わかるわ」
「何がわかるって言うんだ。僕のことが・・・」
「わかるわよ。だって、ずっと・・・」
「異なる歴史、異なる過程を経ても、変わらぬものか。これも宿命か・・・」
僕とナツキのすぐそばに一人の男。黒髪に黒コート。サングラスで目は覆われていた。
「夜剣廻。見せてみろ、その決意を」
歪む空間。
「貴様だけが、鎧神慨装を使えるわけではないことを、教えてやろう」
「ナツキッ!!」
僕はその手を掴み、叫ぶ。
「カイザリオン!!」
『御意』
瞬間、僕たち二人を乗せたカイザリオンと、もう一機の鎧神慨装は、異次元にいた。
「何、ここ!?」
「黙っていろ、ナツキ!舌をかむぞっ」
しゅんとするナツキ。口を閉じる彼女を見て、僕は目前の敵に集中する。
「申し遅れた。我が名はナイトブレイド。そして、この機体の名は・・・」
白い機体。顔は違えど、その造形はカイザリオンに似通っていた。
「『鎧神慨装』アルクォーネ。参る」
一瞬で迫る、敵。腕より、ビームの刃が伸びている。
「ッ!!カイゼルブレード!!」
寸でのところで受け止める。そして、斬り返す。それを難なくかわすアルクォーネ。
「どうした?動きが遅いぞ。そんなものか?」
敵の手に、巻き起こるスパーク。
「ならば、この一撃で消し去ろう。永き螺旋に終止符を打ち、深き絶望を・・・」
迸る波動。次元を破壊せんとする、力。
「ギャザッシュマグナム・・・!!消え去れぇぇぇいぃ!!!」
まだ、終われない。決めたはずだろう?ナツキを今度こそ守るって。
「ナツキ」
こちらを見る、彼女。混乱していることが、よくわかる。
「守ってやる、だから何も言うな」
「行くぞ、カイザリオン!」
『御意』
『「ギャザッシュカノン!!」』
ぶつかる、二つの力。互いにスパークを奔らせ、空間を歪めていく。やだて二つの力はどちらともなく、消滅した。
「フフフ、まだ、終われぬか。だが、覚えておくがいい。貴様に待っているのは絶望。死よりも深き絶望よ・・・。選択の日は近い」
光り輝く、アルクォーネ。
気づけば、僕らは元の場所に居た。
「何、今の・・・?」
「わかったろ?僕に、関わるな」
強い拒絶を込めて言い放つ。彼女の顔を見ずに僕は岐路に着く。いや、怖かったのだ。彼女の顔を見るのが。




