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無力の俺による世界革命物語──早くて安くて美味い料理を知った。クソマズ飯しかない世界を変えようと思う。──  作者: 御魂海色
第三章 クエストを受けよう

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第17話 路地裏、女の子、やめてください

「お姉さん、クエスト受けたいんすけど」


 ギルドに赴いて、俺はカウンターに居たいつぞやの受付嬢に声をかけた。


「あら、また薬草でも集めますか?」


「今金に困ってて、できればもっと金になるクエスト無いっすか?」


 薬草採取なんて貰える金はゼロに等しい。トキの一回分の食事にも遠く満たないからな。奴はそれを三食きっちり食べる。だから金が無くなったのだ。


「と言われましても、魂力のない貴方では危険なクエストは……」


 俺の事を知っているお姉さんは困ったような顔をした。


 報酬が高くなるにつれて、危険度も上がっていく。


 金欲しさに身の丈に合わないクエストでも受けて悲惨な目に遭った冒険者を多く見てきたのだろう。相当悩んでいる様子だった。


「兄ちゃん、金に困ってんの?」


 その時、カウンター近くのテーブルを囲んでいたクランらしき三人組の一人が声をかけてきた。


 長身でガタイが良い。タンク……いや、筋肉の付き方から見るにアタッカーだな。


「そうっすね。結構困ってて」


「じゃあさ。俺達とクエストいかね? まだランク低いんでしょ。山分けになっちゃうけど、それなりに渡せるはずだぜ」


 親指でメンバーらしき人たちを指さすと、彼らは席から立ちあがって男の後ろに並んだ。


 服装などから察するに、タンクに魔術師といったところか。バランスが良いとはいえないが、悪くは無い。


「ちょ、それは――」


「お願いしてもいいですか?」


 受付のお姉さんが止めようとしたので、俺は被せるようにその申し出を受けた。


「決まりだ。装備は見えないけど、何を使うんだ?」


「んー、剣も使えますけど基本弓っすね」


 いつもは素手だが、それだと怪しまれてしまうので嘘を吐いておく。


「おお! それはちょうどいい。弓使い欲しかったんだよね」


 メンバーを見た感じそうだと思って弓使いだと言ったので、予想通りの反応を示してくれた。


 近距離も欲しいかと思ったが、それ以上に遠距離の物理アタッカーが居ないのが問題だと思ったのでそちらにしてみた。なんならナイフか何かを持っておけば近接もいけるしな。


 弓とかいう遠距離武器を使う機会なんてないから新鮮味もあっていいだろう。


 家に居た頃に少し教えてもらった程度だがどうにかなる、と俺は楽観的に考えていた。


「武器はどうしているんだ?」


「前の任務で壊れちゃって今無いんですよー」


「なるほどな。じゃあ買ってからだな。俺達は門で待ってるから早く来いよ」


「すみませーん」


 ニコニコと顔に笑顔を張り付けて愛想をよくしておく。リーダーらしきアタッカーの男と話している間ずっとお姉さんに睨まれていたのは内緒だ。


「じゃ、そういうことなんで。この四人でクエスト行ってきます」


 男たちは受付のお姉さんにそう告げて、ギルドを出て行ってしまった。


「……クロムスさん?」


「そういえばお姉さん名前なんて言うんですか?」


「カナリアです。……ってそうじゃなくて!」


 グチグチ言われそうだったので話を逸らそうとしたのだが失敗に終わってしまった。なら次のプランに移行するしかない。


「じゃ俺弓買わないとなんで。クエスト終わったらまた来ますね。カナリアさん!」


「ちょっと、待ちなさいっ!」


 カナリアお姉さんの制止を無視して、俺は逃げるようにギルドを出た。


「さて、まずは弓を買わないとだな」


 あのクランに言ってしまったからな。今日の俺は弓使いにならないといけない。


 弓はどこで売っているのだろうか。やはり武器屋だろうか。しかしそこらの武器屋では質が高いものは多くない。


 質の悪い弓でもクエストを受ける分には問題ないが、できれば俺の力に耐えうるものが欲しい。妹曰く俺は馬鹿力らしいからな。木製の弓ってどれくらい頑丈なんだろうか。


「やめてくださいっ!」


 弓を求めて歩いていると、路地裏からそんな声が聞こえてきた。


 ここから先の展開を、俺は何故か簡単に予測できていた。


 これは在り来りなアニメ的展開だ。どうせ美少女が路地裏で怖いお兄さん達に捕まったのだろう。そこで主人公が登場して颯爽と助けていくんだ。


 さてここで問題を一つ出すことにしよう。


 俺は次にどういう行動を取ると思う?


 シンキングタイムは与えない。なぜなら今この一瞬で結論を出さないといけないからだ。リアルの世界というのは止まってはくれないのである。


「さっ、弓どこにあるかな」


 正解は、見て見ぬふりである。


 こんなものに首を突っ込んだら面倒極まりないことは分かりきっている。それなのに自ら突っ込むバカなんてこの世界にはどこにも居ない。


「やめてって……言ってるでしょッ!!」


 通り過ぎようとしたその時、ドカッと低い音が聞こえてきた。


 ……おい、嘘だろ。こんな展開あるんか。


 俺は気になって路地裏を覗き込んでしまった。


「マジか……」


 その光景を目の当たりにした俺は驚きから言葉を零してしまった。


 それを聞かれてしまったようで、蹴散らされた男達の中心に立った女の人がこちらへ顔を向けた。


「アンタ、こいつらの仲間?」


「違う」


「じゃあ何でこんなとこ覗き込んでるの」


 力強く地面を踏みしめながら、こちらへ近づいてきた。どうやら俺を男達の仲間だと勘違いしているらしい。まるで鬼のような形相で、拳を固めた。


「まて。ほんとに俺は関係な――」


 俺は両手を突き出して後退る。と次の瞬間、俺の腹部に女の拳が突き刺さっていた。


「グフォ!?」


 俺は肉体の頑丈さにそれなりの自信があったのだが、それがへし折られてしまうほど、女の拳が俺の腹にめり込んでいた。


 女とは思えないほどの力で振りぬかれて、俺は吹き飛ばされて反対の建物に激突してしまった。


「ふんっ。これに懲りたら盗賊なんて辞めて真面目に働くことね」


 女はぐったりと倒れた俺の傍まで近づいて言い放った。


 なるほど、彼女は盗賊に襲われていたのか。それを自分で撃退してしまうとは。いやはや恐ろしいものである。パンチの威力も納得だな。


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