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風を追う — オートレーサーを目指す少年  作者: sasaki


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それぞれの走行

……絶対に落ちない……

遼たちの組が終わり、

榊教官は次の候補生たちを呼び出す。


榊「次の組、整列しろ。

 白石、桐生、三浦、佐伯、成瀬。

 6周回、最終周回が17秒未満が基準だ」


緊張が走る。


ひかりは静かにスタートラインに立つ。

兄の影を背負いながらも、目は澄んでいる。


榊「白石……お前は“怖さを知ってる走り”だ。

 落ち着いて行け」


ひかり「はい」


スタート。


ひかりは無駄のない加速で1周目から安定した走り。

倒し込みもライン取りも丁寧で、

“恐怖を知っているからこその冷静さ”が光る。


最終周回――

ひかりはアクセルをほんの少し開ける。


(……兄が見ていた景色……私も見る)


榊「白石、上がり 16.5秒」


ひかりは静かに頷いた。


まどかは緊張で手が震えている。


まどか「はぁ……はぁ……落ち着いて……」


成瀬が声をかける。


成瀬「まどか、深呼吸しろ。

 焦ると転ぶぞ」


まどか「……はい……!」


スタート。


1〜3周目は慎重すぎるほど慎重。

倒し込みも浅く、スピードは遅い。


三浦「まどかーーー!!頑張れーーー!!」


まどか「ひぃ……!」


しかし、4周目から少しずつ安定してくる。


最終周回――

まどかは勇気を振り絞ってアクセルを開けた。


(……怖い……でも……やる……!)


榊「桐生、上がり 17.3秒」


ひかりがそっと肩に手を置く。


ひかり「まどか、よく頑張ったよ」


まどかは涙をこらえながら頷いた。


三浦「よっしゃああああ!!行くぞぉぉぉ!!」


高梨「お前は勢いだけだろ」


三浦「勢いが大事なんだよ!!」


スタート。


三浦は勢いだけで飛び出す。

倒し込みは雑だが、気持ちだけは誰よりも前へ。


榊「三浦、雑だ。

 そのままだと転ぶぞ」


三浦「うぉぉぉぉぉ!!」


最終周回――

勢いでアクセルを開ける。


榊「三浦、上がり 17.2秒」


三浦「おしいぃぃぃ!!」


高梨「まぁ、よくやったほうだろ」


三浦「うるせぇ!!」


あかりは静かにスタートラインに立つ。


あかり(……絶対に落ちない……)


スタート。


1〜3周目は丁寧すぎるほど丁寧。

社会人らしい慎重さが出てしまう。


黒川が遠くから見て呟く。


黒川「佐伯……丁寧すぎる。

 怖さを知らねぇ走りだ」


あかりはその言葉を聞いて、

アクセルを少し開けた。


(……怖さを知る……)


最終周回――

あかりは勇気を出して倒し込みを深くする。


榊「佐伯、上がり 16.7秒」


あかりは息を呑む。


あかり「……切った……!」


遼が笑う。


遼「佐伯さん、やりましたね」


あかり「相馬くんのおかげだよ」


成瀬は娘の写真を胸ポケットに入れ、

静かにスタートラインに立つ。


成瀬(……ひより……パパ頑張るからな)


スタート。


成瀬の走りは慎重で無駄がない。

倒し込みも深くはないが、安定している。


榊「成瀬……お前は“守る走り”だな」


成瀬「家族がいるんでね」


最終周回――

成瀬はほんの少しだけアクセルを開ける。


榊「成瀬、上がり 16.8秒」


成瀬は静かに息を吐いた。


成瀬「……よかった……」


三浦「成瀬さん!!やったっす!!」


榊教官が二人の名前を呼ぶ。


榊「三浦、桐生。

 お前らは“再試験”だ」


甘くはない…

家族がいるんでね

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