社会人のプライド
“機械は正直“
あかり「す、すみません……!
でも、どうしても感覚が掴めなくて……」
黒川「社会人経験は関係ねぇ。
整備は“手で覚える”んだよ」
あかりは悔しそうに唇を噛む。
(……できないの、悔しい……
でも絶対にできるようになりたい……)
三浦「佐伯さん、また黒川さんに怒られてる……」
高梨「佐伯さん、整備苦手なんだよな」
ひかりは横目であかりを見て言う。
ひかり「……佐伯さん、強いよ。
できないのに逃げない人は、強い」
まどかは小さく頷く。
まどか「佐伯さん……いつも遅くまで残ってます……
私よりずっと……」
成瀬は苦笑しながら言う。
成瀬「社会人経験あると、逆に“できない自分”が許せないんだよ。
俺もそうだった」
颯斗は興味なさそうに見えながらも、
あかりの手元をちらりと見て呟く。
颯斗「……あの人、努力型だな。
才能じゃなくて、積み重ねるタイプ」
遼は黙って見ていた。
(……佐伯さん、不器用だけど折れねぇ人だ)
あかりはまたネジを落とし、肩を落とした。
あかり「……はぁ……なんで私はこんなに下手なんだろ……」
遼はそっと近づいた。
遼「佐伯さん。
そのネジ、締める前に“触って”みたほうがいい」
あかり「え……?」
遼「黒川さんが言ってた。
“機械は正直だ。嘘つくのは人間のほうだ”って」
あかりはネジを指で触り、
ゆっくりと回し始めた。
あかり「……相馬くん、ありがとう。
あなた……整備、上手くなったね」
遼「まだまだっすよ」
あかりは少し笑った。
その笑顔は、社会人らしい落ち着きと、
負けず嫌いの火が混ざった笑顔だった。
三浦「佐伯さん、今日めっちゃ頑張ってるじゃん!」
高梨「整備苦手なのに、よくここまで食らいつくよな」
ひかり「……佐伯さんは強いよ。
自分の弱さを認めて向き合える人は、強い」
まどか「わ、私も……佐伯さんみたいに頑張ります……!」
成瀬「佐伯さんは社会人経験あるから、
“続ける力”があるんだよ」
颯斗はそっぽを向きながら言う。
颯斗「……まぁ、悪くない努力だと思うよ」
あかりは照れながら言った。
あかり「……みんな、ありがとう。
私、絶対に落ちないから」
遼はその言葉を聞いて、
胸の奥で思った。
(……俺だけじゃねぇ。
みんな必死なんだ)
試験まで後9日
“続ける力”




