最終周回
基礎走行
教官の低い声が響く。
榊「来週、中間試験を行う。
内容は整備・基礎走行・体力・座学の総合評価だ。
成績不良者は“退所勧告”もあり得る。
各自、準備しておけ。」
榊「また基礎走行試験は6周回の走行とし、
最終周回を17秒を切ることを基準とする。」
廊下の空気が一気に張り詰めた。
同期たちがざわつく声が聞こえる。
「マジかよ……」
「まだ基礎走行安定してねぇのに……」
「退所って……冗談じゃねぇだろ……」
遼は拳を握った。
(……来たな)
整備場に向かうと、
三浦「なぁ……来週の試験、マジでヤバくね?
俺、整備もう一回落ちたら終わりなんだけど」
高梨「お前はまず“焦ってネジを落とす癖”を直せ。
あれで何回黒川さんに怒られてんだよ」
三浦「うるせぇよ!
お前は走行だけで点取れるからいいんだよ!」
高梨「まぁ俺は走行は問題ねぇけど……
整備は黒川さんが怖すぎるんだよな。
“手が嘘ついてるぞ”って言われたし」
三浦「それ褒められてねぇからな?」
高梨「分かってるよ」
成瀬「俺は体力試験が不安だな……
若い連中には勝てねぇし」
三浦「成瀬さんは精神力がバケモンだから大丈夫っすよ!」
ひかりは黙々と整備を続けながら、
ふと三浦の方を見る。
ひかり「試験なんて、できるかどうかじゃない。
やるかどうかでしょ」
三浦「出たよひかりの名言……!」
高梨「いや、正論だろ。
お前はまず“やる”ところから始めろ」
三浦「うるせぇよ!」
まどか「わ、私は……走行が不安です……
押しがけ、まだ上手くできなくて……」
成瀬「まどかは整備が強いんだから、そこを伸ばせばいい。
黒川さんも“手の感覚がいい”って言ってたぞ」
まどか「……ほんとですか……?」
ひかり「まどかは丁寧だから伸びるよ。
焦らなければね」
まどか「……が、頑張ります……!」
颯斗は整備台の端で黙々と作業していたが、
遼の方をちらりと見た。
颯斗「……来週の試験。
落ちる奴は落ちるだけだ」
高梨「お前は余裕だろ」
颯斗「別に。
才能があるからじゃない。
“落ちたら父に笑われるから”だよ」
その言葉に、
ひかりがわずかに反応する。
(……家族の影……)
遼は黙って聞いていた。
三浦「そういや遼!
お前はどうなんだよ、試験!」
高梨「お前……最近目つき変わったよな。
なんか……覚悟決めた奴の目してる」
成瀬「若いっていいな。
その目、俺にも少し分けてくれ」
ひかりは遼の横顔を見て、
静かに言う。
ひかり「まぁ、大丈夫なんじゃない遼は」
颯斗だけが、
遼をじっと見ていた。
三浦「よし!
全員で来週まで練習しまくるぞ!」
高梨「お前はまずフォーム直せ」
三浦「うるせぇよ!」
成瀬「俺は体力メニュー増やすか……」
ひかり「私は反応速度の調整。
まどかは押しがけ練習ね」
まどか「が、頑張ります……!」
覚悟を決めた




