↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風を追う — オートレーサーを目指す少年  作者: sasaki


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
67/81

さよならは言わないよ

白い花の香り

葬式を終え、

遼とほのかは式場の外へ出た。


白い花の香りがまだ鼻に残っている。

胸の奥は重く、空気は冷たく、

世界の色が少し薄く見えた。


遼はゆっくりと外に出て、

曇り空を見上げた。


その瞬間――

ふわり、と風が吹いた。


強くもなく、弱くもなく。

ただ、優しく遼の頬を撫でるような風。


遼「……風見さん……?」


ほのかは驚いたように遼を見た。


ほのか「遼……?」


遼は風の中で目を閉じた。

胸の奥が熱くなる。


(……この風……

 風見さんの走りの時と同じだ……)


深夜の工業地帯で、

風見の背中にしがみついて走ったあの夜。

大会前夜、GARAGEで聞いた風見の声。


“風を掴んでくる”


風見が最後に遼へ言った言葉が、

風と一緒に胸に蘇った。


遼「……風見さん……

 まだ……走ってんだな……」


ほのかは遼の横顔を見て、

そっと手を握った。


ほのか「遼……

 風見さん、きっと……見てるよ」


遼はゆっくりと息を吸った。

風が胸の奥まで入ってくる。


そして――

遼の中で、何かが“決まった”。


遼「……俺、決めた」


ほのか「……え?」


遼「俺……

 風見さんの夢、継ぐ」


ほのか「夢……?」


遼「オートレーサーになる。

 風見さんが諦めた夢……

 俺が叶える」


ほのかは目を見開いた。

でもすぐに、

涙をこらえながら微笑んだ。


ほのか「……遼なら、できるよ」


遼は曇り空を見上げた。

風がまた吹いた。


遼「風見さん……

 俺、走るよ。

 風……掴みに行く」


風は答えるように、

遼の頬をもう一度撫でた。


それはまるで――

風見が「行け」と背中を押してくれたようだった。

ーお前なら大丈夫だよ。風を掴んでこいー

まだ……走ってんだな……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。