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風を追う — オートレーサーを目指す少年  作者: sasaki


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またね

あれから

風見の事故から数日。

遼はほとんど眠れなかった。

夜になると、風見が空へ投げ出された瞬間が何度も脳裏に蘇る。


そして葬式当日。

遼は学生服を着て家を出た。

空はあの日と同じように曇っていた。


ほのかも同じ式場へ向かっていた。

遼を見つけると、そっと歩み寄る。


ほのか「……遼」


遼「……ああ」


ほのかは遼の顔を見て、

言葉を失った。

遼の目は赤く、

まるで世界の色が消えたようだった。


ほのか「……一緒に行こ」


遼は小さく頷いた。


遼とほのかが式場に入ると、

白い花に囲まれた風見の遺影が目に入った。


遼は息を飲んだ。


遺影の風見は、

GARAGEでいつも見せていたあの笑顔だった。


遼(心の中)

(……なんで……

 なんでいねぇんだよ……)


ほのかは遼の袖をそっと掴んだ。

遼の手が震えていたから。


佐伯店長は喪服姿で、

風見の遺影の前に立っていた。


遼とほのかが近づくと、

店長はゆっくり振り返った。


佐伯店長「……遼」


遼「……店長」


佐伯店長は遼の顔を見て、

一瞬だけ目を伏せた。


佐伯店長「……辛かったな」


遼は唇を噛んだ。

声が出ない。


ほのかが代わりに頭を下げる。


ほのか「……お世話になりました。

 風見さん……いつも遼のこと……」


佐伯店長「……あいつはな」


店長は遺影を見つめながら言った。


佐伯店長「遼のこと、ほんとに気に入ってたよ。

 “あいつは走れるようになる”って……

 何度も言ってた」


遼の胸が締め付けられた。


遼「……風見さん……

 俺に……走り方……教えてくれたんだ」


佐伯店長「知ってるよ。

 深夜にこそこそ練習してたろ」


遼「……っ」


ほのか「店長さん……

 風見さん、最後まで……走りたかったんですよね」


佐伯店長は静かに頷いた。


佐伯店長「……あいつは“走るために生きてた”。

 止めても無駄だった。

 病気でも、倒れても……

 走ることだけはやめなかった」


遼は涙をこらえられなかった。


遼「……俺……

 もっと……止めればよかった……

 もっと……」


佐伯店長は遼の肩を強く掴んだ。


佐伯店長「違う。

 遼のせいじゃない。

 誰のせいでもない。

 駿は……“走る人生”を選んだんだ」


遼は震える声で言った。


遼「……風見さん……

 最後に……俺のこと……見てくれたんだ」


佐伯店長「……ああ。

 お前が来るの、楽しみにしてたよ」


遼は涙が止まらなかった。


ほのかは遼の背中にそっと手を置いた。


ほのか「遼……

 一緒に……風見さんに挨拶しよ」


遼は頷き、

風見の遺影の前に立った。


遼「……風見さん……またね」


外は快晴だった

いつか

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