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風を追う — オートレーサーを目指す少年  作者: sasaki


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そして風見は

― 倒れた男が、また走ろうとしている。遼はその言葉に胸がざわついた ―

風見が店で倒れてから数日。

遼は毎日のように MOTO GARAGEに顔を出し、

風見の様子を確認していた。


佐伯店長の介抱のおかげで、

風見はゆっくりと体調を取り戻していった。


そして――

ある夕方。


遼が店に入ると、

風見は作業台の前で、いつものように工具を触っていた。


遼「……風見さん、もう大丈夫なのかよ」


風見「ん。だいぶな。

 心臓も落ち着いてる」


遼「無理すんなよ」


風見「無理してねぇよ。

 ほら、顔色いいだろ?」


遼はじっと見つめた。


遼「……まぁ、前よりはな」


風見はニッと笑った。


風見「遼。

 来月、サーキットの大会出るわ」


遼「……は?」


風見「大会。

 ミドルクラスのタイムアタック。

 毎年出てるやつ」


遼「いやいやいやいや……

 倒れたばっかじゃん!!」


風見「倒れた“から”だよ」


遼「意味わかんねぇよ!!」


風見は工具を置き、

真剣な目で遼を見た。


風見「遼。

 俺は病気だ。

 それはもう変わらねぇ」


遼「……」


風見「でもな。

 走れるうちは走りたいんだよ。

 走れる身体があるうちは、

 風を掴みたいんだ」


遼は言葉を失った。


風見「大会は無茶じゃねぇ。

 医者にも相談した。

 “発作が出なければ問題ない”ってよ」


遼「出たらどうすんだよ……」


風見「出ねぇように調整する。

 体調管理もする。

 店長にも手伝ってもらう」


遼「……それでも心配だよ」


風見はふっと笑った。


風見「遼。

 お前が心配してくれるのは嬉しいけどな。

 俺は走るために生きてんだよ」


遼「……っ」



倒れた時の弱々しい風見とは違う。

今の風見は、

サーキットでZX-6Rを走らせた時と同じ目をしていた。


遼(心の中)

(……この人は、本当に走りたいんだ……

 病気でも、倒れても……

 それでも走りたいんだ……)


風見「遼。

 大会までの整備、手伝ってくれ」


遼「……当たり前だろ」


風見「よし。

 じゃあ今日から“大会仕様”に仕上げるぞ」


遼「……ほんとに出るんだな」


風見「出るよ。

 俺はまだ終わってねぇからな」


遼の胸が熱くなった。

風をつかむ

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