とつぜん
発作
放課後。
遼はいつものように MOTO GARAGE のドアを開けた。
(今日も整備教えてもらおう)
そう思って店に入った瞬間――
遼の足が止まった。
工具が散乱した床。
作業台にもたれかかるように座り込む風見。
胸を押さえ、荒い呼吸を繰り返している。
そしてその横で――
店長・佐伯 が必死に支えていた。
佐伯店長「駿! 深呼吸しろ、ゆっくりだ……!」
風見「……っ……は……っ……
だい……じょうぶ……です……」
佐伯店長「大丈夫じゃねぇ! 無理すんなって言っただろ!」
遼「……風見さん!?!?!?」
遼の声が店内に響いた。
佐伯店長が振り返り、驚いたように遼を見る。
佐伯店長「遼か……! 悪い、今ちょっと手が離せねぇ!」
遼「風見さん、どうしたんだよ!!」
風見は苦しそうに笑おうとした。
風見「……遼……来たのか……
ちょっと……心臓が……暴れてるだけ……」
遼「暴れてるってレベルじゃねぇだろ!!」
佐伯店長「駿、胸の痛みは? 強いか?」
風見「……っ……少し……
でも……いつもの……発作……です……」
佐伯店長「いつものって言うな!
お前はもう無理できる身体じゃねぇんだよ!」
風見「……仕事……途中だったんで……」
佐伯店長「仕事より命だろうが!!」
遼は初めて見る店長の怒鳴り声に、
胸がぎゅっと締め付けられた。
(……風見さん、こんなに苦しんでたのかよ……
俺、何も知らなかった……)
遼「風見さん……
なんで言わねぇんだよ……
こんなに苦しいなら……」
風見はゆっくり遼の方を見た。
風見「……言ったら……
お前……心配するだろ……
それが……嫌なんだよ……」
遼「心配するに決まってんだろ!!」
佐伯店長は遼の肩に手を置いた。
佐伯店長「遼……駿は昔からこうなんだ。
無理して、誰にも言わねぇ。
“走りたい”気持ちが強すぎるんだよ」
遼「……っ……」
佐伯店長「でもな、駿は病気を抱えてる。
発作が出たら、こうして動けなくなる」
遼は風見の苦しそうな呼吸を見て、
胸が痛くなった。
数分後。
風見の呼吸がゆっくりと整い始めた。
風見「……は……
よし……もう大丈夫です……」
佐伯店長「大丈夫じゃねぇよ。
今日はもう帰れ。仕事は俺がやる」
風見「……すみません……店長……」
佐伯店長「謝るな。
お前は病気なんだ。無理すんな」
遼はその言葉に胸が締め付けられた。
(……風見さんは、走りたいのに……
身体がそれを許してくれないんだ……)
遼「……風見さん」
風見「ん……?」
遼「……俺、もっと早く気づくべきだった。
整備教えてもらってばっかで……
風見さんの身体のこと、何も知らなかった」
風見は弱い笑顔を見せた。
風見「……遼が来ると……
楽しいから……
つい……無理しちまうんだよ……」
遼「無理すんなよ……
俺、そんなの望んでねぇよ……」
風見「……ありがとな……遼……」
佐伯店長は二人を見て、
少しだけ優しい表情になった。
佐伯店長「遼。
駿のこと……頼むな」
遼「……はい」
遼は強く頷いた。
持病




