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風を追う — オートレーサーを目指す少年  作者: sasaki


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遼は焦った

青春

その日も遼は放課後すぐにGARAGEに向かっていた。

風見のZX-6Rを磨き、チェーンの張りを見て、

クラッチレバーの遊びを調整する――

そんな時間が最近の遼の“日常”になっていた。


風見「遼、そこ力入れすぎ。

 チェーンは優しく速くだって言ったろ」


遼「わかってるよ……」


そんなやり取りをしていると――


カラン……

店のドアベルが鳴った。


風見「ん? 誰だ?」


遼「……え?」


遼が振り返ると、

そこに立っていたのは――


藤沢ほのか。


ほのか「……あ、遼」


遼「な、なんで……ここに……?」


ほのかは少し息を弾ませていた。

どうやら走って来たらしい。


ほのか「遼、最近ずっとここにいるって聞いて……

 心配になって……」


遼「心配って……なんでだよ」


ほのか「だって……

 急に毎日行くようになったから……」


遼は一瞬で顔が熱くなる。


(……なんで来るんだよ……

 なんでこんなタイミングで……

 風見さんいるし……ZX-6Rもあるし……

 めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど……)


風見はニヤニヤしていた。


風見「遼、彼女か?」


遼「ちげぇよ!!」


ほのか「えっ!? ち、違うよ!?

 ただの幼馴染だよ!?」


二人で同時に否定したせいで、

逆に怪しくなってしまう。


風見「はいはい、幼馴染ね。

 ……で、遼のこと心配して来たわけだ」


ほのか「……はい」


風見はほのかを見て、

少しだけ優しい声になった。


風見「遼は大丈夫だよ。

 最近は“走りたい”って顔してるからな」


ほのか「……走りたい?」


遼「風見さん!!」


風見「隠すなよ。

 ほのかちゃん、遼は今“走り”に夢中なんだよ」


ほのかは遼を見つめた。


ほのか「……遼、ほんとに変わったね」


遼「……うるせぇよ」


ほのかは店の奥にある ZX-6R を見て、

目を丸くした。


ほのか「……これ、遼が整備してるの?」


遼「いや、これは風見さんの。

 俺はちょっと手伝ってるだけ」


ほのか「すごい……

 なんか……遼、かっこいいね」


遼「っ……!」


風見「お、照れてる照れてる」


遼「黙れ!!」


ほのかは笑った。

その笑顔は、どこか安心したようだった。


ほのか「遼がここにいる理由、わかった気がする」


遼「……理由?」


ほのか「ここ、遼にとって“落ち着く場所”なんだね」


遼「……まぁ、そうかもな」


ほのか「よかった……

 遼が苦しんでるんじゃなくて……

 何かを見つけたんだって分かって……」


遼は胸が少し熱くなる。


風見はその様子を見て、

ニヤッと笑った。


風見「ほのかちゃん。

 遼はこれからもっと変わるぞ。

 走りたいって気持ちが本物だからな」


ほのか「……うん。

 なんか、そう思う」


遼「……なんでそんなに俺のこと分かるんだよ」


ほのかは少し照れながら言った。


ほのか「だって……

 遼のこと、ずっと見てきたから」


遼は言葉を失った。



羨ましい

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