昔から一番近く
胸キュン
風見のサーキットで“本物の走り”を見た翌週。
遼は毎日のようにバイク屋へ通い、
整備を覚え、走りの話をし、
風見のZX-6Rを見て胸を熱くしていた。
そんな遼の変化は――
ほのかが一番最初に気づいた。
教室で帰り支度をしていると、
ほのかがそっと近づいてきた。
ほのか「ねぇ遼。
最近……なんか変わったよね?」
遼「……は? 何がだよ」
ほのかは遼の顔をじっと見つめる。
ほのか「目がね……前よりずっと“前を見てる”」
遼「……意味わかんねぇよ」
ほのか「わかるよ。
だって遼のこと、ずっと見てきたもん」
遼は少しだけ照れたように目をそらした。
ほのか「最近、放課後すぐ帰らないよね。
どこ行ってるの?」
遼「……別に。
ちょっとバイク屋に」
ほのか「バイク屋……?」
遼「風見さんって人がいて……
色々教えてもらってる」
ほのかは少し驚いたように目を丸くした。
ほのか「遼、バイク好きだったんだ?」
遼「……最近、好きになった」
ほのかはふわっと笑った。
ほのか「そっか。
なんかね……遼、楽しそうだよ」
遼「……そう見えるか?」
ほのか「うん。
前よりずっと……“生きてる”って感じ」
遼「……」
ほのかは続ける。
ほのか「中学の頃の遼は、
なんかずっと苦しそうだった。
家のことも、部活のことも……
全部抱え込んでたから」
遼「……別に抱え込んでねぇよ」
ほのか「ううん。
遼はつらい時ほど“平気”って言うから」
遼は言い返せなかった。
ほのか「でもね、最近の遼は違うよ。
なんか……目がキラキラしてる」
遼「……キラキラってなんだよ」
ほのか「うまく言えないけど……
“好きなものを見つけた人の目”って感じ」
遼「……バイク、かもな」
ほのか「うん。
遼が何かに夢中になってるの、嬉しい」
遼「……なんで嬉しいんだよ」
ほのかは少しだけ頬を赤くして言った。
ほのか「だって……
遼が笑ってると、私も嬉しいから」
遼「……っ」
遼は言葉を失った。
ほのか「遼、なんか前より強くなった気がする。
自分の道を見つけた人って感じ」
遼「……まだ見つけてねぇよ」
ほのか「でも、見つけようとしてるでしょ?」
遼「……まぁ、ちょっとな」
ほのかは優しく微笑んだ。
ほのか「遼がどんな道を選んでも、
私は応援するからね」
遼「……なんでそんなこと言うんだよ」
ほのか「だって……
遼のこと、ずっと気にしてるから」
遼は胸が少し熱くなった。
(……ほのかは、昔から俺のことを見てくれてたんだな)
腐れ縁




